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小説を書く。その23【BL小説】
……苦しい。
頭がぼうっとする。
喉もめちゃくちゃ痛いし、関節がきしむ。
ああ……もうだめだ……。
「……そんなに落ち込むなよ」
「だってさ……」
よりによって大事な高校受験の当日に。
俺は布団を頭まで被ってから、大きな大きなため息をついた。
その上から、紘汰がぽんぽんと優しく叩いてくれる。
「答案用紙、半分も埋められなかった。もうこれ落ちてるよ、絶対」
涙声になってしまい、俺はさらに布団に潜り込む。
小さい頃からずっと一緒の紘汰。
頭のいいお前と一緒の高校行きたくて、寝る間も惜しんで勉強頑張ったのに。それなのに。
「まあ奇跡が起きるかもしれないだろ」
「奇跡って……」
そんな、気休め言うなよ。お前にとっては重要な出来事じゃないかもしれないけど、俺にとっては。
「とにかく、今はもう寝ろ。体治すのが先だろ」
布団に手を突っ込んできて、俺の髪を掻き混ぜる。もう泣きたい。
俺は「分かった」とくぐもった声で応えて、紘汰に背中を向けた。紘汰はふう、と軽くひと息ついて、立ち上がった。
「俺は信じてるよ、奇跡」
え。
今、なんて?
寝返りを打ってドアに視線を向けた時にはもう紘汰の姿は部屋になく、俺は一人熱い体を持て余していた。