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胸キュン
最近、仕事の関係で、いわゆる胸キュンドラマをずっと見ている。でも、なぜだか私の胸は全然キュンとしない。むしろ、かゆい。むずがゆい。30代だから? あと20歳若かったら、10代の自分が見たら、キュンとしたのだろうか。
10代の頃、私がハマったのは、矢沢あいの「天使なんかじゃない」だった。中学生のころ、教室のどこかに「天ない」の単行本がいつもあって、みんな読んでた少女漫画のバイブル。私は主人公の友達役のマミリンが大好きで、マミリンには名シーンと名台詞が多かった、と思う。この漫画はとても涙なしでは読み切れないと思っていて、「これを読んで泣けなくなったら、もう女の子じゃないってことやと思う」と豪語していた。
去年、結婚する前、実家の本棚を整理していると、角がボロボロになった「天使なんかじゃない」が出てきた。「もう売っちゃおっかな~」と思いながらページを開くと、ついつい面白くて読み進めてしまい、しかも、泣いた。昔と同じシーンで。よかった、まだ女の子だった。
数々の断捨離を生き延びてきたこの漫画、結局手放せなかった。
私が今見ているこのドラマに胸キュンできないように、今の10代の子たちは「天ない」を読んでも胸キュンできないのかもしれない。キュンとする胸の位置は、世代によって違うのかもしれない。