見出し画像

木島櫻谷と京都画壇

京都文化博物館で開催中の展覧会「木島櫻谷と京都画壇」へ行ってきました。

木島櫻谷(このしまおうこく)という人の存在は知らなかったけど、明治から昭和初期に活躍した日本画家で、当時は竹内栖鳳と並び人気を博したらしい。でも、後年はあまり高く評価されず精神を病み、最期は京阪電車にひかれて亡くなっている。動物の絵がどれもかわいかった。

絵そのものも面白かったけれど、木島櫻谷のパトロンとなっていた大橋松次郎という人物との関係が興味深かった。大橋家は木島櫻谷と同じく三条御倉町に住む一族で、同じくご近所に住む西村總左衛門家と共に染織業を営んでいた。その大橋家の四代目である大橋松次郎が美術を愛する人物で、木島櫻谷のパトロンとなっていたらしい。

大橋松次郎は木島櫻谷に、旅に出るたびに絵ハガキを描いて送るように頼んでいて、木島櫻谷はその約束を守りつづけた。木島櫻谷が送った絵ハガキを、大橋松次郎は1冊のアルバムにまとめて保存していた。展示されていた絵ハガキにはさらさらと、だけど丁寧に風景画が描かれている。どのハガキも、とても大切に保存されていたことが分かる。大橋松次郎がいかに、木島櫻谷を高く評価していたかが分かって、ほっこりした。

大橋家と共に染織業や貿易業を営んでいた西村總左衛門家が海外と国内の得意先へ毎年送っていた年賀状の展示も面白かった。これは木島櫻谷の作品ではないけれど、どれもモダンなデザインで、海外と国内宛てでデザインを変えてある。海外宛てには浮世絵風の絵に英語のメッセージ。デザインの中にカレンダーを入れて、1年中飾って使えるようになっているものもあった。

大橋家は平成まで続くが、2014年に後継者が不在となり、2016年に所蔵品が京都府へ寄贈されたことで、今回の展覧会が開催される運びとなったらしい。ちなみに、西村家は現在の千總(京友禅の着物屋さん)へと発展した。(知らなかった!)

とっても面白い展示でした。

いいなと思ったら応援しよう!