やっと巡り会えた定番ごはん

カレーである。
小さな頃から食卓に定期的に出ていたカレー。だけど我が家に定番カレーはなかった。

カレーが作れない私

何故ならカレーは父の料理で、そして毎回試行錯誤の末にできる「2度と作れない料理」として食卓に並べられるからだ。
しかも年々その腕はメキメキあがり、今やスパイスからカレーを作り上げるので料理ヒヨッコな私には受け継ぐことなど出来やしない。カレーの種類も毎回同じわけではないので、「カレーとは何か？」と哲学のように問いができそうな程である。
最終的にカレーの作り方がよく分からず、気づけば実家を出てから１度もカレーを作ったことがないという事態に陥っていた。

新しい定番カレー

私は周囲と比べると感動が薄い人間だと思う。でもたまに凄く心動かされる瞬間がある。
ドクっと体ごと飛び上がるくらいの凄く貴重な一瞬。
それが私にカレー作りを諦めさせた、まさかの父カレーで訪れた。しかもレシピがきちんとあるという奇跡付きで。
それは、食べた瞬間肉の旨味と生姜の味が効いていて、後からスパイスの味が後追いしてくるそんな肉肉しいキーマカレーだった。辛さも何故だがカレーの辛さだけ苦手な私にちょうど良い。
あまりに美味しくて速攻でレシピを聞き、自宅に帰って自分でまた作って食べた。
自分で作っても確実に美味しい。噛み締めた瞬間の肉汁の旨さが本当に美味しい。語彙力がないので美味しいとしか言えないことが残念で堪らない。
この日、私の定番カレーが出来上がった。

ちなみに使用するスパイスは、父のようにパウダースパイスをブレンドなどできやしないので普通にカレー粉使用している。
粒マスタードとマスタード（ホール）の違いが分からなかった私にはまだまだ早い代物だから。