日本アルプスの静けさに想う、人の可能性。
今朝は日本アルプスから。東京では桜が満開を迎える頃、朝目覚めると、そこは一面雪化粧。雄大な自然が広がり、微動だにしない静けさ、地に根を張るつなやかな強さと一体感に包み込まれました。地球がつくられ、私たちが生かされている、そのことに意義を感じずにはいられません。すべてがPurposeに向かって繋がっていると、そう思います。
顧客体験を突き詰めた快適なおもてなし空間で、いつも飽きさせない星野リゾート。今回は、界アルプスにて、20代限定の若者旅プロジェクトを利用して、お得に贅沢な旅を、20年来の友人とともに心ゆくまで楽しみました。
お料理や温泉、観光に出かけなくても、館内でアクティビティが完結するすばらしさもさることながら、長野県大町市の伝統工芸や建築、地元の食材を使ったお料理の演出まで、すべてに一貫性があり、お客さんはどうしたら喜ぶか?という顧客視点で、感動の連続です。
夜は、いろりを囲んで、なんとも雰囲気のあるジブリに出てきそうなご年配の男性スタッフに、熱かんをふるまっていただきながら、お話を聞かせていただきました。それがとても面白く、心に響いたのでシェアします。
■お客様は何を求めているのか?答えは現場にある。
男性は若い頃、スキー場のビジネスを始め、宿泊施設や当時珍しかったお土産店を多展開したり、今ではあたりまえになった冬の花火や、ヘリスキーなどを先駆けてやっておられました。なかでもレストラン事業では、他がカレーやラーメンを提供する中、メニューや材料にこだわった、本格派の料理を展開し大ウケ。リピート客には、オーダー前にまず瓶ビールをサービスすると、お客が客を呼び人気店になったのです。なぜ他に安いお店があるのに来てくれるのか聞いたところ、「安いファーストフードでは、お腹いっぱい満たされない。」とお客さん。お客さんが本当にお腹も心も満たされるには、何が必要なのかヒントがつまっています。
■信頼して任せられるか?現場を任される喜びから、本来の力を発揮する。
そんな彼は、現在星野グループに勤務し11年。社長や会社、メンバーのすばらしさを、嬉しそうに熱く語る姿はとても魅力的でした。社長は「現場を見ていない者がとやかく言うことはない」と具体的な指示や管理はしない主義で、信頼して任せてもらえることにメンバーはモチベーション高く、本来の力を最大限発揮できる環境なのです。社長が現場に足を運ぶ度に、メンバーが社長と1分でも話したいと、日頃の想いを伝えることにウキウキする、なんとも素敵な関係性です。
■お互いから素直に学べるか?都会と地域のコラボが生み出す新しい価値。
その土地の良さは眠っていて、ニーズがあるところに仕組みで届けたい相手に届ければ、都会も地域もHappyな価値創造ができるといいます。たとえば、後継者がおらず、立ちいかなくなった農家の技術に、東京の若者が目をつけ、地域のブランド米をおにぎりにして、東京のオフィスの一角でランチタイムに売り出す。忙しいビジネスパーソンに、コンビニ弁当ばかりでなく、身体によく本当においしい地元の食べものがもたらす喜びを体感してもらうことができます。アイディアひとつで、思いもかけないコラボレーションを生み出せる可能性があるのです。
最後に、今回若者旅を利用しましたが、母数も少なく、単価も低い、お金のない若者をターゲットに着目し、これからの未来をつくる若者こそ、本物の体験をしてほしいという考え方に、とても共感しました。ビジネス視点で儲かるからではなく、誰のために、何のために、その事業をするのか。これからの未来が向かう先は、もっとエモーショナルでウェットな関係性で、心が揺れ動かされる、そんな世界だと思うのです。
吉崎詩歩