家族という、いちばんのやっかいもの
家族というものは、どうしてこうも厄介なのだろう?
親の離婚や結婚とともに、これまで4つの名字の人生を、生きてきた。その分、人よりも多く多種多様な家族の在り方と向き合ってきた。モラハラ、DV、嫁姑問題、マザコン、毒親、シングルマザー、裁判、病気、死別、一言では言い表せないような根深い問題が絡み合っていた。正しい答えはなく、幸せの形は人それぞれだと思い知らされた。そして、5年前に結婚して現在も、家族のことで頭を悩ませている。今思えば当時、経済力、経歴、育ちの良さ、一番嫌いなスペックを気にしていた。子どもには、普通の幸せな家庭環境を与えたいと願って。そもそも普通の幸せって?失敗があって、学びがある。ただ、縁を切ったり結んだり、そう簡単にはいかないのが家族だ。
私の理想の家族像は、お父さんはアメリカで働いていて、お母さんはシンガポール、子どもたちはニュージーランドやイギリスに留学していて、年に1回お正月に日本で集合する。それぞれが自分らしい道を、切り開いている。家族はどんな時も一緒にいなければならないのか?距離的にそばにいることだけが家族なのか?ひとつの家族ですべてを完結するなんて狭い世界だ。血の繋がりがなくても、心で繋がり、本当の家族のように見守って、お互いを大事にできる家族だっている。自分の可能性を信じてくれて、無条件で愛してくれるそんな存在。何もしなくてもそこにいていいんだよと、居場所をたくさん作ることができたら最高だろう。
先日、新しい家族の在り方をテーマにした、アート展に足を運んだ。同性婚同士で子どもが生まれる未来。女性から精子が、男性から卵子がつくれるのではないかという、iPS細胞の研究があるそう。ならば3人、4人、5人の遺伝的な親から子どもが生まれる可能性がある。複数の大人が関わって、経済的にも精神的にも、様々な形で子育てをシェアできたら素敵だ。
社会において最小のチームであり、いちばん身近な家族が、これまでうまくいかなかった。そんな経験から、チームを良くしたい、組織を良くしたいという思いが強い。会社のプロダクトやサービスには正直興味がなくて、いつも関心毎は、そこで働く人やその場の雰囲気だった。どうしたら同じ方向を向けるか?お互いを尊重して感謝する、愛のあるチームが作れるか?そんな思いの根底には、やはり実体験の葛藤があったから。今なお解決策は見いだせていない。だからこそより良い未来に向かって、自分を信じて向き合っていきたい。
#日経COMEMO #理想の家族