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現場を知るリーダーのみが作れる信頼――マリュー・ラミアスに学ぶリーダー像

先日、私の職場の上司が、「俺はマクロを見るから、ミクロを見るのはお前らの仕事だ」と言っていました。確かに、大局を見渡すことが上司の役割だというのは一理ありますが、次第にその言葉に違和感を覚えるようになりました。まるで自分の責任を放棄しているかのように感じたからです。

実際、彼は現場の実情に詳しくなく、細かな業務内容も把握していないため、部下から相談されても的確なアドバイスができません。その結果、業務上のリスクを見落としたり、非現実的な業務分担を言い渡したり、無茶な依頼を安易に引き受けてしまうことも少なくありません。とはいえ、マクロな視点で大局を見ている上司には、知らず知らずのうちに部下に負担をかけていることにも、なかなか気づかないのかもしれません。

この経験を通じて、リーダーにとって「現場感覚」ってすごく大事なんだなと感じるようになりました。現場を知らないと、部下の信頼を得るのは難しいし、チームのモチベーションも下がります。こういうリーダーの下で働いていると、どうしても不安や不満が募ってしまいます。

そんな時に、数か月前に『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』を観たときのことを思い出しました。この作品で、現場感覚を持った理想的なリーダーシップの例が描かれていたんです。それが、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズのマリュー・ラミアス艦長です。

マリューはアークエンジェル艦を指揮する際、ただ命令を出すだけではなく、クルーの一人ひとりの状況や感情に寄り添い、彼らと共に動くリーダーでした。彼女のリーダーシップは、現場の状況をきちんと理解することが土台となり、だからこそチームから信頼され、適切な指示を出すことができたんです。

たとえば、キラ・ヤマトは戦闘で大きな精神的な負担を抱えていました。彼は戦うことに対して疑問を感じ、葛藤していたのです。マリューはそんな彼に無理に命令を押し付けることはせずその葛藤に寄り添い、理解を示していました

また、マリューは戦場での現場指揮官として、常に最前線で状況を把握し、艦の進行方向や戦術の指示を常に適切に、かつ瞬時に判断していました。彼女のリーダーシップは、クルーと艦の生存を最優先に考えるという明確なゴールを据えた上で、艦長としての権限と責任のもとにチームを導くものでした。その姿こそが、まさに理想のリーダー像そのものでした。

一方で、アニメ本編の中での対照的なキャラクターがアズラエルです。彼は戦略的には優秀かもしれませんが、現場で戦う兵士たちの気持ちや状況を無視して冷徹な指揮をしていました。結果的に彼のリーダーシップは崩壊し、命を落とすことになったのです。現場を知らないリーダーがどれほど危険かを示す、典型的な例だと感じました。

この二人を比較すると、やはり現場を知っているリーダーの方が、長期的に信頼され、チームがまとまるのは明らかです。私の上司が「ミクロを見るのはお前らの仕事」と言い放つ姿勢は、どこかアズラエルのように、現場感覚を軽視しているように思えます。確かに、マクロを見ないといけない役割もあるけれど、それを言い訳にして、現場の声に耳を傾ける努力を怠ると、チーム全体が疲弊してしまうんじゃないかと思うんです。

逆に、マリューのように現場を知り、逃げずに部下と向き合い、その声に耳を傾け続けるリーダーは、部下に信頼され、強いチームを作り上げることができます。彼女はクルーたちのリーダーとして、過酷な戦場でも一緒に戦う姿勢を示し続けました。その結果、アークエンジェル艦は「不沈艦」として数々の戦場を乗り越えることができたのです。

結局のところ、リーダーシップに必要なのは、単に大局を見るだけではなく、現場の状況をも理解し、そこで働く人々の声に耳を傾けること。これが信頼を築き、強いチームを作る鍵だと思います。これからは、上司の姿を反面教師としながらも、現場感覚を忘れず、部下と信頼を築きながら共に成長できる強いチームを目指していきたいと、思わせてくれる出来事でした。

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