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『丹田』と『チャクラ』と『腹横筋』
今回はアーサナ・呼吸法・瞑想といった、ヨガにおけるアプローチのいづれにおいても取り上げられる『丹田』についてまとめてみたいと思います。ヨガにおける『チャクラ』との類似点をお伝えする中で、西洋医学的観点から外れた表現もありますが、広い心で捉えていただけますと幸いです。
位置:『丹田』は正式には3箇所あります。『上丹田』は眉間に、『中丹田』は胸骨のあたり、『下丹田』は臍から指を横向きに置き3本分下がった位置にあるとされます。ただ、一般的には『下丹田』を指して言われることが多いです。
(以下、この記事では『下丹田』を『丹田』として記載します)
チャクラとの類似点:ヨガで言う『チャクラ』は脊柱に沿って下から上へ7つの地点で並んでいるとされています。下から二番目に位置する『第2チャクラ』と『丹田(下丹田)』はほぼ同じ位置となります。
『丹田』は気力の根源と言われ、この場所を鍛えることで精神的にも肉体的にも安定が得られ物事に動じにくくなるとされます。
『第2チャクラ(スワディシュターナ)』は、あるがままの状況を受け入れ恐怖を手放すことで本来の創造性を発揮することが可能となり安定を得ることが出来るとされます。
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『丹田』も『チャクラ』も概念的なものとされますが、解剖学的にもその意義を説明できるものはないのでしょうか。
腹横筋はインナーマッスルとして強制呼気時に腹圧を高める働きがあります。
胸腰筋膜からも起始するため腰部を安定させる働きもあります。
そして外層に位置する腹直筋はちょうど丹田の位置より下方で、『弓状線』を境として腹横筋の深層に潜り込む走行となっています。
弓状線より下では腹直筋鞘の後葉は完全に欠如しているため、全ての側腹筋の腱膜は両側の腹直筋の前面を走り、腹直筋は内面ではただ内腹壁筋膜すなわち横筋筋膜と腹膜に覆われているに過ぎない。
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丹田より下方では、腹直筋はインナーマッスルである腹横筋に押さえ込まれるような構造になっているのですね。
上記のように腰部を固定することで下肢を安定させ呼気延長を助ける構造にある腹横筋は『丹田』と関わりが深く、連動して心身ともに安定を深める役割を持つもののように感じられます。
ちなみに、『丹田呼吸(丹田に意識を置きながら吸気時に腹部を膨らませ呼気時に腹部を凹ませる)』を行う時に骨盤を起こさなければ効率的に行えないように感じるのですが、骨盤を後傾させると腹筋群は緩むことは解剖学的にも明らか(=骨盤後傾位では腹筋群を収縮させることは難しい)。
このため骨盤を起こすということは丹田呼吸を行う上でとても大切と考えられます。
このことは、その他の呼吸法や瞑想においても同様ですね。
今後の実践のお役に立てれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき有難うございます。
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