呼吸と自律神経の関係
今回からは数回に分け、ヨガで行う『呼吸法=プラーナヤーマ』について改めてまとめてみたいと思います。
今回は、呼吸と自律神経の関係について。
『プラーナ』の意味としては『呼吸』が一般的には捉えやすいかと思いますが、ヨガ的には『気』とも表現されます。
『気』というものは生命エネルギーとも言われますが、そのように表現した途端、サーッと引いていく方がいるようないないような・・・笑
けれど、日本では武道でも馴染みの深いものであるでしょうし、『気合い』『気が弱い』『気が合う』といった言葉は普通に使われています。
私の体感としては、『呼吸』は『生命エネルギー』を整えるための手段であり、他にも『心臓をはじめとする内臓器官の働き』やそれらをどのように動かすかに影響する『思考の状態』も手段にあたると認識しています。
そして、それらの手段によって生じている『自身の状態・具合』を『生命エネルギー』と表現できるのではないかと思います。
『気』の話で随分尺をとってしまいましたが、『プラーナヤーマ』の後半部分の意味について。
『ヤーマ(アナヤーマ)』は『調整する』という意味合いです。
つまり、『プラーナヤーマ』は『気・エネルギーを調整する』、前述した私的捉え方としては、『身体機能・思考を包括的に捉えた状態を整えること』とも言えるのではないかと思います。
そして、そこには自律神経が大きく影響する。
自律神経は、その時その時の状態に合わせて私たちの体が適応した動きをとることが出来る為に発達した機能です。
想像上のものではなく、解剖学的・生理学的に存在とその機序を説明できるものです。
元々は野生生活において適応した行動をとることが出来る為。
例えば闘争・逃走場面では、自律神経は交感神経優位となり心臓の拍動を早め血管を収縮させ筋肉を働かせる為に素早く血液を届けます。
これにより素早く闘う・もしくは逃げるといった動きを起こすことが可能です。
そして、集中的に筋肉へ血液を送ることが最優先事項なので、その際には消化吸収に関わる内臓といった不必要な器官の機能は抑制されます。
反対に、安全な場面では自律神経は副交感神経優位となり心臓の拍動はゆっくりに、血管を弛緩させることで血流は全身にくまなく循環し、内臓機能は高まり消化・吸収を行いやすい状況へ誘導されます。
ただ、現代社会では社会が複雑化し精神的ストレスが増大しやすい傾向にあります。そして、精神的ストレスに対しての自律神経反応は、肉体的ストレス時とは異なり複雑な自律神経反応が生じます。その辺りのことについて、最近よく話題にあがるポリヴェーガル理論が関連してきますが、そのことはまたの機会として。
精神的ストレスは適度であれば自己の成長の為に有効なものながら、過剰であったり、しかも持続すると身体機能面に不具合を起こしてしまいます(心身症:心疾患・糖尿病など)。
また、そのような状況に陥ると改善に時間を要するもの、場合によっては不可逆的なものとなってしまいます。
時にはストレス環境に身を置かぬようにする必要もあるかと思うのですが、社会人になるとなかなか逃げられない場面も多いですよね。
そんな時の為に、普段から自身の自律神経の状態を整えストレス耐性を身につけておくことはとても大切なことかと私は感じています。
ここで呼吸の話に戻ります。
呼吸は、体性神経と自律神経の二重神経支配を受けています。
この為、随意的に呼吸をコントロールすることにより自律神経の状態をある程度良い方向へコントロールすることが可能です。
けれど、随意的にコントロールできるということは、『思考・物事の捉え方』の影響を受けるということでもあります。
メンタルがブレブレだと整えられるものも整わないということ。
また、呼吸法を行う為には身体機能面を整えることで良好な呼吸が行えます。
ヨガでは、『心』『体』『気』をアーサナ・呼吸法・ヨガ哲学・瞑想により包括的に整えていくことを目指します。
これらの相関は、現代医学でも十分に説明できることだと実感しています。
私はその関連性を活用し、より良い人生の為に役立てるお手伝いの出来る人間になるために学びと実践を深めています。
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皆様に感謝の気持ちと、自身の成長を実感することが出来た1日となりました。
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『自律神経を整えるライフスタイルの実践』概要
『自律神経を整えるために必要な身体の使い方』 理学療法士 及川文宏
『下肢から整える自律神経』〜トレーニング種目で組み立てるセルフケア戦略〜 理学療法士 石井りえ
『自律神経と体内水と入浴』 理学療法士 後藤和樹
『山登り理学療法士が伝える 歩行と自律神経』 理学療法士 寺島佑
『自律神経を整えるための睡眠の知識』 理学療法士 本塚貴裕
『自律神経を整える ヨガ的生活』 作業療法士 高橋志帆
私は、『情動』や『認知』といった要素も含めた自律神経反応を整える為にヨガを生活へ取り入れることの提案と、その実践に繋がるボディーワークを行いました。
最後まで読んでいただき有難うございます。
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