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風邪やインフルエンザになりやすい人の共通点:免疫と腸内環境の関係
健康カプセルを観た「気づき」をまとめました。
腸内環境が乱れる4つのサイン
健康で元気はつらつな人と体調が悪い人の違いは何か。
その要因の一つが近年の腸内細菌の研究で明らかになって
います。
体調の悪い人は腸内細菌叢の多様性の低下が有意に認められる
腸内細菌叢とは腸内細菌の菌種ごとの集まりで、健康な人の腸内細菌叢の割合は善玉菌2、悪玉菌1、日和見菌7ですが、体調が悪い人は悪玉菌の割合が多い傾向にあります。
悪玉菌が増えると日和見菌も加勢するので、腸内環境はさらに乱れます
悪玉菌が増えると腸内細菌叢の多様性が低下するので、体調が悪いと感じることが多くなります。
番組では「腸内環境が乱れるサイン」を紹介していましたので、詳しく見ていきます。
1.便秘や下痢などの便通異常
健康な人は毎日、毎朝1回便が出ますが、腸内環境が乱れると便が出すぎたり(下痢)、出なかったり(便秘)便の排泄が不安定になります。
下痢は腸管のぜん動運動が過剰になること、便秘は逆にぜん動運動が低下することが原因ですが、便秘は便がたまったままの状態が続くとガスが発生してお腹が張って苦しくなります(腹部膨満感)。また、便が排泄されないので悪玉菌も排泄されず、体調は悪くなる一方です。
2.冷え性
女性に冷え性が多いのは、女性ホルモンの影響で黄体期から子宮に血液が集まるようになるので、末端組織の足元まで血液が流れにくくなるのが冷え性の原因です。
血液は酸素や栄養だけでなく「温かさ」も運びます
子宮に血液が集まるということは、それ以外の身体の部位に血液が流れにくくなるので、足元以外に腸にも影響しているかもしれません。
腸に血液が流れにくくなることで腸は冷え、栄養や酸素が運ばれずにぜん動運動が低下して便秘になりやすくなります。
3.疲れやすい
腸には病原菌や有害物質などを吸収しないように腸管粘膜を保護する「腸管バリア」がありますが、小腸では粘液、抗菌ペプチド、IgA抗体が腸管バリアを形成しています。
悪玉菌が増えて腸管バリアが弱まり突破されると、粘膜と有害物質などの異物が直に触れ合うので炎症反応が起こります。
腸管バリアに守られている間は「タイトジャンクション」といって、腸管上皮細胞同士が密着している状態ですが、突破されるとタイトジャンクションが徐々に緩んで異物の侵入を許して異物が血液にのって全身に運ばれます。
腸管バリアを突破した異物が腸管粘膜から血液にのって全身に運ばれる状態がリーキーガット(腸もれ)です
炎症反応が起こると異物を排除しようと免疫細胞が集まって多くのエネルギーを費やします。風邪をひいて発熱するのもウイルスを排除しようとする免疫反応ですが、免疫がエネルギーを費やすことで疲れやすいと感じることがあります。
4.睡眠不足
腸は日中の交感神経が優位なときはあまり働かず、夜の睡眠中の副交感神経が優位なときに次のような働きをします。
・腸粘膜の修復、再生
・小腸で食べ物の消化、吸収
・大腸のぜん動運動で便を作り運ぶ、など
個人差はありますが、一般的に腸が最も活動する時間帯は22時から2時の4時間だといわれています。小腸に食べ物を送るには胃で3時間程度消化に時間がかかり、そうすると19時までに夕食を済ませる計算になります。
昭和の時代は19時前後に家族そろって夕食を済ませるのが当たり前でした
しかし、生活は多様化して今では24時間営業や夜勤、残業が当たり前になっています。家族そろって夕食を食べられない家庭のほうが多いかもしれません。
腸は睡眠時間中にしかできないこともあります。22時から2時の4時間を軸にして、眠れるときはできるだけ多くの睡眠を取りましょう。
このように体調が悪いのは腸内環境が乱れていることが往々にしてあります。では、乱れた腸内環境をどのようにして戻せばいいのでしょうか。それが短鎖脂肪酸です。
短鎖脂肪酸の増やし方
短鎖脂肪酸とはビフィズス菌や酪酸菌などの善玉菌が食物繊維をエサにして産生された「代謝物」で、次のような働きがあります。
・腸内を弱酸性にして悪玉菌の増殖を抑制する
・腸管上皮細胞のエネルギー源となり、ぜん動運動を促進する
・制御性T細胞(Treg)を増殖、活性化して過剰な免疫反応を抑制する、など
つまり、短鎖脂肪酸を増やすことができれば悪玉菌が減り、ぜん動運動が正常に戻って便秘や腹部膨満感に悩まされることが少なくなります。また、過剰な免疫反応が抑制されるので下痢も少なくなります。
短鎖脂肪酸は腸内細菌とは異なり、善玉菌と食物繊維の二つ合わせて増やしていく必要があります
では短鎖脂肪酸をどうやって増やしていくのか。食物繊維は野菜や果物、善玉菌は大腸で働くビフィズス菌と酪酸菌です。
納豆に含まれる納豆菌やヨーグルトに含まれる乳酸菌は主に小腸で働いて悪玉菌の増殖を抑制し、腸内環境を整える効果はありますが、短鎖脂肪酸は産生しません。
短鎖脂肪酸を産生するにはビフィズス菌や酪酸菌など大腸で働く善玉菌を摂取する必要がありますが、食品に含まれているものはあまりありません。
ビフィズス菌や酪酸菌は整腸剤で摂取する
整腸剤は食品ではないので、食事と一緒に摂取できないのが悩ましいところですが、最近ではコンビにでも買えるようになり、アマゾンなどのネット通販でももちろん購入できます。
小腸5割、大腸2割の免疫細胞
番組は「免疫力と腸内環境」というテーマで構成されています。
短鎖脂肪酸は確かに悪玉菌の増殖を抑制し、腸内環境を整えて免疫力を向上させる働きがありますが、風邪やインフルエンザなどのウイルスに感染しにくい身体を作るために私は異なる菌に注目しています。
身体の免疫細胞の5割が集まる小腸を整える「乳酸菌」を摂取して免疫力を上げる
ビフィズス菌や酪酸菌は大腸に定着し、食物繊維は小腸で吸収されずに大腸に運ばれて、短鎖脂肪酸は大腸で作られます。
短鎖脂肪酸の酪酸はTregを増殖、活性化して過剰な免疫反応を抑制するので、たとえば風邪をひいたときの発熱や炎症を抑える効果が期待されます。
しかしウイルスや細菌は食べ物と一緒に口から胃に入り、次に小腸へ運ばれます。免疫力を上げるならば大腸より先に小腸の免疫細胞を活性化させる必要があると私は考えます。
実際に乳酸飲料や機能性表示食品の乳酸菌は免疫を向上させてウイルス感染を予防する報告がされていて、パッケージに表示しているものもあります。
ただし、小腸の免疫細胞が多く集まる場所は「パイエル板」と呼ばれ、小腸の後半部分、大腸の入り口に近い部分にあります。
小腸の長さは6m以上、高さにすれば建物の2階に相当します
免疫の活性化は乳酸菌が先か、短鎖脂肪酸が先かは個人の腸内環境によりますが、どちらも身体に必要な菌なので「どちらか」ではなく「両方」摂取することで体調はよくなり、風邪がひきにくい体質に変わります。
ちなみに私は寝る前に整腸剤は5年前から、乳酸飲料は昨年から毎晩飲むようにして現在は習慣になっています。
そのおかげで風邪もインフルエンザにもならずに、感染症とは無縁な生活を送っています。
参照:12月15日健康カプセル放送分