見出し画像

解熱鎮痛剤の効果と選び方:リングルシリーズ(3)

第2回ドラッグストア視察を経て

ドラッグストア(以下DS)の視察第2弾を先日行いました。

私の行ったDSは駅前店舗なので、郊外のロードサイド店(大きな駐車場が併設している店舗)に比べれば売り場面積はずっと小さいですが、それでも前回は目的の医薬品にたどり着くまでにはずいぶんと時間がかかりました。
今回は2回目なのでわき目も振らずに目的地まで一直線。
「解熱鎮痛コーナー」に迷うことなくたどり着くことができました。以下を報告します。

・やはり「イブ」(単剤)はなかった
・リングルシリーズは「アイビー」「α200」液状カプセルはどちらもあった。ただし錠剤があったかは未確認。

この視察で、現時点での私のおすすめできる「解熱鎮痛剤」はだいぶ範囲が狭まりました。
・第一選択
リングルアイビー(イブプロフェン150mg)
痛みが強ければリングルアイビーα200(イブプロフェン200mg)も可。
・第二選択
100以上譲って、妥協に妥協を重ねた上で以下の商品
イブクイック頭痛薬(イブプロフェン150mg)
イブクイック頭痛薬DX(イブプロフェン200mg)

以下100歩以上を譲る理由(個人的感想です)
・胃を守る酸化マグネシウムは評価できるが、用法用量を守り長期連用をしなければあってもなくてもいいものです。
・無水カフェインはたしかに鎮痛効果があるとの報告は聞いているが、あってもなくてもいいものです。
鎮痛剤を飲んで数時間経っても効果がなければコーヒーを飲めばいい。
・アセチル尿素は明確に必要ありません。
主成分の鎮痛剤が効かないのに、補助成分のアセチル尿素だけが効くとは到底考えられない。そしてアセチル尿素はメリットよりデメリットのほうがずっと大きい。

これはあくまで私の個人的感想なので、参考にできる部分があればご活用ください。

新しい鎮痛成分を解説します

本日は新しい鎮痛成分「アセトアミノフェン」です。

●リングルN 20錠935円(参考価格)

以下成分9錠中
・アセトアミノフェン900mg
作用は熱を下げ、痛みを抑えます
・無水カフェイン150mg
作用はアセトアミノフェンの働きを助けます

・用法用量、その他
症状があらわれたとき、下記1回服用量をなるべく空腹時をさけて服用します。服用間隔は4時間以上おいてください。
5、6回服用しても症状がよくならないときは医師、薬剤師にご相談ください。
長期連用しないでください。
15歳以上は1回3錠、3回を限度
11~14歳は1回2錠、3回を限度
5~10歳は1回1錠、3回を限度

そして大事なリングルNを使ってはいけない人たち
・リングルNを服用してアレルギー、ぜん息を起こしたことがある人(今回はこれだけです)


イブプロフェンとアセトアミノフェンの比較

・イブプロフェンは15歳以上という年齢制限がある。
アセトアミノフェンは小さな子供でも服用できる。
子供の年齢においては各商品によって異なり、何歳からという一律の縛りはない。

・イブプロフェンは胎児に影響が出ることから「出産予定日12週以内の妊婦」は服用できない。
アセトアミノフェンは「医師に相談」という条件があるものの、妊婦でも服用できるとされている。

・アセトアミノフェンは子供や妊婦が服用できる唯一の解熱鎮痛薬である。

・アセトアミノフェンは子供や妊婦が服用できる、副作用の少ない比較的安全な医薬品である一方で解熱鎮痛効果はイブプロフェンよりも弱い。

・イブプロフェンは「痛みのもと」を抑えることで痛みを抑える。
アセトアミノフェンは脳(中枢神経)に作用して「痛みを感じにくくする働き」がある。
痛みそのものを抑える作用と、痛みを感じにくくする作用がそれぞれの鎮痛作用の違いである。

・日本で解熱鎮痛剤といえばロキソニンが有名だが、アメリカではアセトアミノフェンを主成分とする「タイレノール」が有名である。

・アセトアミノフェンはそもそも1870年代に発見され、150年経った現在でも使われている歴史ある解熱鎮痛成分である。

リングルNの欠点とおすすめしない理由

アセトアミノフェンはイブプロフェン同様に素晴らしい解熱鎮痛成分です。
しかしアセトアミノフェンは素晴らしくてもリングルNが素晴らしいとはかぎりません。
私が個人の見解としてリングルNをおすすめしない理由を以下に列挙します。

・リングルNは5歳から服用できる解熱鎮痛剤です。ここまではいい。

では、5歳の子供にカフェインを取らせるのか、と。

バカか、と思っていましたが少し時間をおいてこんなことも考えました。
お茶やコーラにもカフェイン入っているじゃん?
たしかにそうですが、飲料と薬は違います。子供が飲む薬にカフェインは本当に必要でしょうか?

・リングルNは20錠1箱で935円です。
15歳以上は1回3錠、1日3回で9錠です。
ということは、3日と持ちません。これって高くないですか?
そもそも1回3錠って多すぎです。子供が飲むから分割してあるのでしょうが、それなら子供と大人を分けて子供用を作るべきだったのではないですか?

アセトアミノフェンの気になる副作用

アセトアミノフェンは子供も妊婦も飲める副作用の少ない、比較的安全な薬であると先ほど解説しました。
しかし薬である以上、やはり副作用はあります。

1.過剰摂取による肝機能障害
リングルNの添付文書に記された用法用量を守っても、例えばかぜ薬を併用してそこにアセトアミノフェンが入っていれば過剰摂取になります。

アセトアミノフェンは肝臓で有効成分に分解されるのですが、過剰摂取になると分解されずにアセトアミノフェンがたまっていき、その結果肝機能障害を引き起こします。

2.アルコールとの同時摂取による肝機能障害
お酒の飲みすぎで肝臓が悪くなることはよく知られていることですが、これはお酒が分解されずにお酒が肝臓にたまっていく、前述した障害と同じです。
お酒もアセトアミノフェンも肝臓で分解されます。同時にすべてを分解できるとはかぎらないので、どちらかが分解されずに残ってしまえばそれもまた肝機能障害を引き起こす原因になります。
まあ、熱や痛みで苦しいときにお酒を飲もうとは思いませんが。

3.ADHDとASDの発症リスク?
アセトアミノフェンは妊娠中でも医師に相談の上であれば服用できる唯一の解熱鎮痛剤であると解説しました。
実際に安全性は高いと聞いているし、アセチル尿素のような悪い話は聞きません。

しかし2016年より妊娠中の胎児にADHDとASDの発症リスクがあると度々聞こえてくるようになりました。
ADHDとは多動性障害、つまり集中力がない、じっとしていられない障害。
ASDとは自閉症スペクトラム障害、いわゆる発達障害の一つです。
いずれも精神疾患の症状であり、これは迷わず医師に相談すべきですね。

比較的安全とされてきたアセトアミノフェンでさえ副作用はあります。用法用量はしっかり守り長期連用はさけましょう。
と、私は理解しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?