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2025年私が読む100冊 1月編(4/100)
1月に読んだ本の備忘録です。割とネタバレもしてはいる。
1.海賊と呼ばれた男 上 百田 尚樹
年末に(何故か)海賊と呼ばれた男の映画を観て年明け生家に泊まった際に(何故か)本棚にあったので約八年振り位に読み返した本。
出光興産を創業した出光佐三をモデルにした国岡鐵造の一生と彼が創業した国岡商店が戦前、戦中、戦後を舞台に発展していく過程を描いた上下巻の歴史経済小説。
上巻では戦後荒廃した日本で倒産寸前に陥った国岡商店を立ち直らせる為に鐵造と社員たちが奮闘する第一章、鐵造の一生を左右する出会いや恩を得た青年期と時代の波に翻弄されながらも発展していく国岡商店を記した第二章で展開される。
小説内で書かれている内容は殆ど全てが事実だそうでモデルとなった出光佐三の人間的魅力やその偉大さと功績を知ることが出来る。
ただ、作中で起きた出来事の殆ど全てが事実である一方で事細かく説明してくるのは人によっては小説を読んでいるというよりもドキュメンタリーを読まされている感じになるのかも。
でも非常に面白いです。
2. 渡邉恒雄 メディアと権力 魚住 昭
大正義読売巨人軍のオーナーを務めた読売新聞社主筆渡辺恒雄氏の死を悼んで読んだ一冊。
渡辺恒雄の幼少期から東大入学、強烈な戦争体験、そして迎えた戦後の共産党への傾倒と除名、新聞記者になってからの権謀術数を用いた行動の数々など渡辺恒雄の人間としての姿が描かれている。
ナベツネさんに関しては巨人の良くも悪くも名物オーナーだったことと政財界にかなりの影響力を持っていたこと位しか知らなかったが、記者になって以降の話が強烈過ぎて非常に凄かった。墓場まで持って行くで話してないことも沢山あるんでしょうな。
大体大臣職の推挙や国家間の条約締結にも関わっている一介の新聞記者ってなんだよ。もう実質裏の総理だったと思うよナベツネさん。
また作中でいくつも渡辺恒雄の面白いエピソードもそれとなく書かれているが、中でもお気に入りなのが空白の一日事件で江川卓のトレード相手で阪神に出されることになった小林繫を説得する為に呼ばれたが、当時野球を全く知らなったナベツネさんは小林が誰なのか分からずにずっと横に座っていた小林の友人(北海道の親分の弟)を「日焼けしているからプロ野球選手だろう」と思い込み、必死に説得していたというエピソード。
ただ、筆者がサヨクサイドで文を書いているので所々気になる箇所はある。でもそれを差し引いても西暦が2000年頃のナベツネさん全盛期の評価を伺い知ることが出来るんじゃないだろうか。
余談だけど2000年頃に書かれた本なので「たかが選手が!」は出て来ません。
3.三体 第一巻 劉慈欣
物理学の未解決問題である「三体問題」を題材にした中国のSF小説三部作(全五巻)で昨年ネットフリックスでもドラマ化され、大ヒットを巻き起こした作品の第一作目。
中国の文化大革命で大学教授であった父を惨殺された葉文潔は深い絶望の海に沈み、その絶望はやがて400年以上先の未来にまで続いていく人類と三体文明と呼ばれる異星人との戦いの始まりへと繋がっていくことになるのだった――
実は昨年春頃に初めて読んだ時は冒頭から延々と続く中国の文化大革命の件や建設兵団に配属されてからの文潔を描いた第一部『沈黙の春』のエピソードが長かったので途中で断念していました。
ただ、ネトフリ版のドラマが大ヒットしたことやSF界の大傑作と叫ばれるのであればこれは絶対読まなきゃならんと思って再挑戦した結果、面白過ぎて見事に堕ちました。大傑作だったよこれは。
余談ですが、一度断念したこの第一部に関しては中国国内でも「文革から始まるのはどうなのだろうか?」と自主規制を行ったようで中国国内で最初に三体の連載が始まった際は第二部『三体』から始まったそうです。
本格的なSFとして始動するのは第二部からですが、そこでもまさかのVRクソゲーパートがカットインされたり、環境保護を語るマフティー・ナビーユ・エリンの亜種が出て来るし、正直途中までは「これがSF界の歴史を変えた傑作?」と思っていました。
しかしこんな感想を抱いた自分をぶん殴ってやりたいぐらい中盤から怒涛の展開が続き、一気にその物語の深淵に引き込まれました。
長々と繰り返されたクソゲーが実は作中でも重要な意味を持っていることが判明したり、ある人物が敵として出て来るなど中盤から終盤にかけて一気に加速していく物語、その裏で動き出した三体文明と地球側の裏切り者たち。
現時点で地球を遥かに凌駕する化学力を備えた彼らと遥か未来で迎えることになる宇宙戦争に向けて地球側はどう動いていくのか。
十数世代にも続く長い旅路の物語は第二作『黒暗森林』で更に加速していくことでしょう。
三体に関してはまだ読んでいない人もいるし、これはぜひ読んで欲しい作品なのであんまり長々と語らず、いずれ読み終わった際にでもネタバレ注意の別記事にでもして詳しく語りたいなと思っています。
取り敢えず最後に一言。史強アニキ最高や!!
4.三体 黒暗森林(上) 劉慈欣
三体シリーズの第二巻。
前作終盤で動き出した三体文明の恐るべき智子計画によって人類は化学技術発展の可能性を奪われてしまう。しかしそんな共通の敵を前にしても一つに纏まれない人類は国連惑星防衛理事会主導の下で発動された面壁者計画に最後の望みを託すのだが――
前作終盤は絶望から再起を図る終わり方でしたが、2作目の今作はその数年後人類が三体文明を迎え撃つための準備が描かれます。
普通だったら数百年先に訪れる戦いだからなんというか「未来に期待しようぜ」的な感じでそう切羽詰まった感じにはならないんでしょうけど三体文明が発動した智子計画が良い感じの緊迫感を与えていて中弛みさせない良い舞台装置になってて上手いなあって思いました。
前作のクソゲーパートに続いて今作は妄想彼女が出て来る展開が始まり「まーたこれかよ」と思ったらこれもちゃんと意味があってなんというかこう……全てに無駄が無いですねこの作品は。
次に向けての修行パートみたいな巻でしたけどどんどん面白くなってきているので続きの黒暗森林(下)も楽しみ。
さて、2025年は年間100冊活字の本を読むぞと堂々宣言して一ヶ月が経ったのですが、一月終了時点での読了数はたったの4冊。11ヶ月で残り96冊です。
うーん、厳しい。今月は結構読んでいたつもりなんだけどどれもボリュームがあって読みごたえがある本だったので意外と伸びなかったですね~
まあ、そんな義務感を抱きながら本を読んでるわけじゃないんで2月も読みたい本を読みます。