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周回遅れで生きる

天才になれないのは自分が一番分かっているからせめて秀才であろうとした。

勉強も部活もバイトも手を抜かないで、社会に出て労働と納税の義務を果たし、自分で自分を養って、短くない年月をこれでも一生懸命生きてきたつもり。


でもね何かが足りないの。


それが何かは上手く言えないんだけれど、その人をその人たらしめる核みたいなものが自分にはなくって、社会から頂戴した肩書きや役割を全部むしり取ったら、自分には何も残らないんじゃないか。
そう思うと背筋が冷たくなった。

なにもない。
自分はなんにも持っていない。

いや、そんなことはない。持たされてしまったものがあった。
生まれたその時からオプションのようにくっついてきた、カルト宗教の子というレッテル。

欲しくもないのに持たされたそれを手放す術が分からなくて、自問自答を繰り返しながら、時間をかけてちょっとずつ手放してきた。
やっとだ。やっと「何も持っていない」所まで来た。

空っぽになった心に詰め込むものは、これから決める。
同世代の人たちに比べたら明らかに周回遅れだけれど、寿命がこれだけ延びてるんだから、ちょっとくらい大目に見てよね。


最後までお付き合い頂きありがとうございました。ほんの少しでもあなたの心が軽くなりますように。