第4講 読む編~物語文(小説)で意識すること②~
情景をおさえると気持ちもわかる!?
皆さんどうもこんにちは。田中(国語の先生)です。
今回は物語文(小説文)で意識すること②の「情景」についてお話していきたいと思います。
もう少し詳しく説明すると、物語文における「時間」と「場所」のお話になります。
「先生。そんなものに注目してなんの意味があるんですか?」なんていう質問が来そうですが、実は物語文を理解するうえですごく重要なことなんです。
なぜ大切なのか?
前にもお話ししましたが、物語文(小説文)は基本的には作者が伝えたいことを伝えるための箱庭だという話をしました。
だから、伝えたいこと(テーマ)を伝えるために作者は、登場人物を都合よく動かし、事件を起こすんですね。
ただ、登場人物だけでは舞台は完成しません。物語文という舞台に必要なのは登場人物意外だと「場所」・「時間」です。
今回は「情景」という言葉にまとめて説明したいとおもいます。
では、情景に関するルールを見ていきましょう
①強調点をおさえる
改めての説明ですが、「情景」とは「何かをみたり、イメージしたりする人の心に中に、何らかの感情を起こさせる風景や場面」になります。
物語文では、情景から連想される人物の心情や場面の様子を読み手に印象付けるために使われます。なぜ印象付ける必要があるのでしょうか。
それは、話の流れ上重要だからですね。
重要だからこそ、きちんとおさえておく必要があるわけですね。
表現の仕方としては
・投影
・暗示
の2種類があります。
それぞれを説明していきましょう。
まず、投影です。
こちらは2つの意味があります。
①AとBを重ねて~と思う
②五感を用いた感覚表現に注意
の2つになります。
②の方は以前も説明したのですが、この②がまさに情景を示すものとなります。
例えば暗く悲しい気持ちの時に、自分が好きな景色を見たとしても「いつも」と違ってプラスには見えないことがあると思います。
まさにこの「いつもと違って」が重要なポイントになります。
次回以降詳しく説明しますが、「過去を表す言葉」と「日常を表す言葉」は今との対比になっていることが非常に多いです。
昔やいつもと同じだったら、わざわざ書かなくてもいいことを、書いているわけですから、何かしら特殊なことが起きていると考えるのが妥当です。
このような形で情景描写を心情と重ねてくることがあるので要注意です。
ちなみに、①の「AとBを重ねて~と思う」は主に何かの共通点を見つけたときなどに使う記述のパターンとなります。
詳しくはまた、どこかで・・・。
さて、もう一つの「暗示」についてもお話ししておきましょう。
「暗示」は今後の展開を暗に示している表現になります。
暗に示しているわけですからはっきりと書いてはいません。
では、どうやって今後の展開を記しているのでしょうか。
よく使われるのは天気や天体の動きです。
友人と喧嘩していたのですが、仲直りをした瞬間にさっきまで降っていた前が止んで、空にきれいな虹がかかった。なんていう都合のいい流れはよくあるものですよね。
これが暗示していることは、仲直りをした二人が、いつまでも仲良しでいることの暗示になります。
他にも、
・昼から夜=何かが終わる暗示
・夜から昼=新しいことが始まる/気持ちが晴れる
などを暗に示していることが多いです。
こういった表現はお話が盛り上がるところでちょこちょこありますので、作者が何を示しているのかをきちんと押さえておきましょう
②情景前後の変化を探す
情景は常に同じではなく、変化するものです。変化しなければ話に深みを与えることが出来ません。
以前に場面の変化についてお話をしましたが、今回の変化はまさに、場面の変化と同じになります。以下によく出てくる例をまとめてみましょう
・時間
・場所
・人物の登場/退場
ここまでがよく場面の変化として注意するべきものになります。特に最初の二つに関してはわかりやすく示してあることが多い(1行開いていたり、時間を表す言葉が入っていたり)ので、注意してみましょう。
他にも
・継続していた作業の中断
・視点の変化(人物Aの視点→人物Bの視点 他)
などがあります。
視点の変化とは、例えば、ある出来事に関して、今まで親の目線で話が展開していたのですが、ある場面から急に子供の視点で同じ出来事を追いかけていくといった話になります。
この場合よくあるのが「一人称が変化している」「出来事のとらえ方が違う」などと注目できる点が多々ありますので要注意になります。
さらに、時間の変化で言うと回想シーンにも注目です。
わざわざ昔を思い出しているのは、前にも書きましたが、今と何か違うからです。
例えば
・子供のころは理解できなかった親の気持ちが、自分が親になって初めて理解できた
・病気で苦しんでいる友人が、元気だった昔を思い出している など
回想しているときは今に何らかの事件や出来事が起きていることが多いです。
こちらもおわせておさえておきましょう。
③情景が人物に与えた影響をおさえる
①で人物の心情と情景がつながっているという話をしましたが、情景が人物に影響を与えることも多々あります。
例えば、暗く落ち込んでいる気分の時に、きれいな景色を見たら、気持ちはどうなりますか。おそらく明るく前向きな物へと変化するでしょう。
このような形で情景自体が、心情に変化をもたらすことがあることにも注目しましょう。
上記の①~③に入るわけではないのですが、他にも意識してみてほしい箇所があります。
それが、前書き(あらすじ)/中略です。
前書き(あらすじ)/中略はなぜ載せるのでしょうか。
ここで皆さんにぜひとも知っておいてほしいのが、「国語のテストに乗っている文章に必要のないものは一つもない」ということです。
全て必要だから載っているのです。
何に必要なのでしょうか。そう、問題を解くのに必要だから載せているのです。
前書き(あらすじ)は長い話の一部を切り出して使用しているのが国語のテストです。そのため、テストで使っている箇所だけ読んでも前後関係が不明確になってしまう場合があります。それを補うのが前書き(あらすじ)になります。
前書き(あらすじ)は本文を理解するうえで必須の項目になります。あれば必ず以下の3点はおさえておきましょう。
・人物関係
→どんな人物が出てきて、どういう関係性なのか
・場所・時代
→時代や場所が違えば読み手と価値観が違います。今と時代や場所が違う時はきちんと文章の時代や場所に合わせた価値観で読んでいきましょう。
・事件/出来事
→本文に至るまでにどんな事件や出来事が起きたのかが記してあった場合は必ずそこはおさえましょう。
という具合になります。
今回はここまでになります。
次回は心情を中心とした物語文の意識してほしいところ③になります。