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#40 「できる人しかやっていない?」データに見る副業・兼業者の実態【地域複業の可能性】

竹内義晴です。この番組は、組織づくりやコミュニケーション、キャリアデザインなどの人材育成、複業やテレワーク、多拠点ワークといった「これからの働き方」について、ゆるゆるとお話をしていく番組です。

多様な働き方ができることで一人ひとりが自分らしくたのしく働きながら、人口減少などによる地域課題を解決したいので、今日の話がもし面白かった、あるいは参考になったらフォロー、あるいはコメントをいただけると嬉しいです。

はじめに:増える対面疲れ

今朝、テレビを見ていましたら、いま「対面疲れ」をする人が増えているそうですね。対面疲れというのは、いままでテレワークで働いていた人が、コロナ禍の5類への変更を受けて会社に行ったり、あるいは直接会うということが増えてきて、いままでと働く環境が変わってきたがゆえに、ちょっと疲れてしまう……という内容でした。

また、いま「5月病」の時期です。環境が大きく変わることによって、特に4月は環境に慣れようと一生懸命やってきた。無意識にいろいろ頑張りすぎてしまって、ゴールデンウィークが終わって、なんとなく気分が晴れない、体調が優れない……このような「5月病の一環」もあるのではないか……としながらも、対面疲れが話題になっていました。

ボクの意見では「対面か、あるいは、リモートか」という、1か0か、あるいはAかBかという2つの軸で物事を捉えるよりも、その間にもっと多様な働き方であるとか、それぞれの人による事情みたいなものがあるので、本来であれば、AかBかのどっちかではなく、それぞれの働き方を選択できると一番いいんですけどね。

地域複業の話をしています

というわけで、いまですね、働き方の選択という意味で、「地域の企業で複業をする」という働き方についてのお話をしています。

ちなみに、この話をしているのはですね、人口がどんどん減っていく、地域の企業に対するボクの課題感でもあります。

また、人生100年時代と言われる中で、いままでよりも長く働いていく必要がありそうな中、特に中堅以上の人たちの「今後のキャリア」を考えたとき、定年のちょっと前、中堅ぐらいのときから、いままでのキャリアを生かして、地域の企業に貢献できたら、ビジネスパーソンとしてもいい機会になるし、地域の企業も助かるかもしれない。

本当は、こういう取り組みが必要なんじゃないか、こういった仕組みができないのか、ということを届けたくて、ずっとお話をしています。

地域複業のマッチングを実際にやってみて気づいた課題

昨日はですね、実際に2021年に地域複業をする仕組み、地域の企業に、都市部をはじめとした地域以外の人たちが複業のような形で働けないかというマッチングをやってみた話でした。

実際に取り組んでみたら、大きく分けると、企業側と労働者側の2つに大きな課題があり、昨日は、人材側の課題として「自分のキャリアをうまく説明できない」とか、あとは、働きたいんだったら、職務経歴書にもっとたくさん書いてほしいなと思うんですけど「経歴が5行ぐらいしか書いてない」とかという課題がありそうだな、と。

本当は、キャリアがないのではなくて、「棚下ろしができない」とか、「人にPRできない」とか、なんとなく「自分を見くびってしまう」とか、そういった課題感があるんじゃないかなという話でした。

副業・兼業している人を調べてみた

そういった課題感から、いま、本当に複業をやっている人たちってどういう層なのかなというのを、以前調べてみたんですよ。大きく分けて2つの資料から調べました。

1つは、労働政策審議会安全衛生分科会の、『副業の実際 副業・兼業に係る実態把握の内容等について』という、令和2年8月のデータですね。

データに見る「どんな人が副業・兼業している? 割合は?」

いま、副業・兼業している人が増えているというふうに言われていますが、このデータから見えてきたのは、いま副業・兼業している人の割合です。その割合がどういった構成になっているのかというと、『副業の実際 副業・兼業に係る実態把握の内容等について』によれば……

副業をしている人の割合は全体で9.7%であり、本業の就業形態別では、「自由業・フリーランス(独立)・個人請負」が29.8%と最も高く、「正社員」が5.9%と最も低かった。

副業の実際 副業・兼業に係る実態把握の内容等について | 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000660780.pdf

とあります。つまり、いま副業・兼業している人たちは、元々、自由な働き方ができるフリーランサーとか個人請負の人が多いっていうことですよね。

ボク、「これ、複業っていうのかな?」って、ちょっと疑問を持っていて。なぜならば、ボクも個人事業主の時代とかありましたけど、フリーランサーって、別に1つの仕事しかしちゃいけないって決まってるわけじゃないので、いろいろやって全然OKな働き方ですから、副業・兼業するのって当然なんじゃないかなって思ってるんですよね。

ボクは、社会の変化って「いままでできなかった人たちが、できるようになる」ということだと思っているので、正社員の人たちが、まだまだできてないっていう実態があるっていうことですね。

データに見る「副業・兼業する理由」

次に、「副業・兼業する理由」なんですけど、副業・兼業している理由について、同じく厚生労働省の『副業の実際 副業・兼業に係る実態把握の内容等について』によれば……

副業をしている理由について、「収入を増やしたいから」と回答した割合が最も高く56.5%、次に「1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから」と回答した割合が高く39.7%であった。

副業の実際 副業・兼業に係る実態把握の内容等について | 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000660780.pdf

ここから見て取れるのは、副業・兼業している理由が「自分のキャリアを形成したい」というよりも、単に「収入が少ないから」っていう人がまだまだ大半という事実です。「収入が少ないんだから副業・兼業するよね」っていう、なんだか当たり前のことが起こっているような気がします。

ここから言えることは、複業したい人は増えているとはいえ、まだまだ「元々やっていた人たちがやっている」のではないかと思っています。

データに見る「副業・兼業している人の2極化

あと、もう1つデータがあります。これは平成29年のデータなのでちょっと古いんですけど、総務省統計局の『就業構造基本調査』というのがあります。

調べてみたら、現段階で一番新しいのが平成29年です。最近も調査が行われたみたいで、令和4年のデータが近々公開されるみたいなんですけど、現在の最新である平成29年のデータに、すごく興味深いものがあります。

○副業をしている者を本業の所得階層別にみると、本業の所得が299万円以下の階層で全体の約3分の2を占めている。
○雇用者総数に対する副業をしている者の割合を本業の所得階層別にみると、本業の所得が199万円以下の階層と1000万円以上の階層で副業をしている者の割合が比較的高い。

平成29年(2017年)就業構造基本調査 | 総務省 https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000361727.pdf

ここから言えることは、

  • 副業・兼業している人は、「所得が低い」人と「所得が高い人」で2極化している

  • 中間層、いわゆる、一般的な働き方をしている(≒会社に勤めている)人は副業・兼業できていない

つまり、もともと収入が少ないから副業・兼業せざるを得ない人か、もともと収入が高くて稼ぐ力がある人が副業・兼業している実態を見たときに、「これでいいのかな?」って思ったんですよね。

データにみる「副業・兼業者の実態」

まとめると、データから言えることとして、副業・兼業者の実態は……

  • 副業・兼業者の多くはフリーランスや個人請負の方

  • 副業・兼業する目的は「収入を増やしたい」「1つの仕事だけでは収入が少なすぎて生活できない」から

  • 所得としては、収入が低い人と高い人で2極化している

ということでした。つまり、「正社員の層でやっている人が少ない」ということです。

複業の現状は「収入が少ない人が必要に駆られて行っている」か、あるいは「もともと稼ぐ力がある人が稼いでいる」という状況です。よくよく考えてみると、この構造自体はもともとあったもので、複業の認知が広がったからといって「社会はあまり変わってないんじゃないか」と思ったんですよ。

多様な働き方ができるようにするためには、「別の何かが必要なんじゃないか」と、このデータを見たときに強く思ったんですよね。

というわけで、明日は、いままで複業がなかなかできなかったみなさんが、複業できるようにするにはどうすればいいか……つまり、社会が変わるためにはどうすればいいのかというお話をしていきたいと思います。

今日の話がもし面白かった、あるいは参考になったらフォロー、あるいはコメントをいただけると嬉しいです。以上、竹内でした。

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