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#516 DXのために「現実と理想」を「事実と解釈」で明らかにする

竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。

音声はこちら。

いまですね、DXに関するお話をしております。

DXを始める上で、いきなりシステム化に走ってしまうと、「そもそも、何のために?」とか、「どんな理想で?」とか、そういったことが見えないままになってしまうので、まずは「問題を明確にしていこう」と。

問題というのは、「理想と現実のギャップ」という話をこれまでしてきましたね。

今日も、問題を分析していく上での考え方の1つである、「問題解決メソッド」についてです。これは、問題を解決するためのフレームワークとして、サイボウズで作られたものです。

問題解決メソッドは、多くく分けると5つのステップがあります。

  1. 問題を一言で言い表す

  2. 問題を「理想」「現実」「事実」「解釈」のマトリックスで表す

  3. 問題の「原因」を見つける

  4. 問題の「課題」を列挙する

  5. 課題に優先度をつける

今日はこの、1と2についてお話をします。詳しくはぜひ、問題解決メソッドについて書いてあるページをご覧いただければと思います。

問題を一言で言い表す

問題を解決するためのステップ1「問題を一言で言い表す」とは何か? というと、「タイトルづけ」ですね。

なぜ、問題を一言で言い表して、タイトルをつけておくのか? それは、何かしら議論をする時、よくあるケースとしては意見が発散してしまったり、あるいは、話がずれてしまったりする場合がよくありますよね。

そうした場合、「そもそも、今日は何のために、何を話し合ってるんだっけ?」という共通の認識を常々確認できるようにしておくと、話が変な方向に行かないように、脱線しないようにできますよね。

また、議論するにあたっては、意識を1つに集めておくことも、大切だと思います。

たとえば、仕事の中でモヤモヤしていることや、「これ、何のためにあるんだろうな」みたいなこと。そのほか、「最近、なんかギスギスしているな」……というのは、人間関係の話なので、DXとは直接関係ないかもしれませんが、それでも、「情報共有がされていなくて、不信感がある」みたいな話であれば、デジタル化が1つの解決策になる場合もありますので、さまざまな問題に対して、「まずは、一言で言い表してみよう」ということが、ステップ1です。

問題を「理想」と「現実」、「事実」と「解釈」で表現してみる

2つ目のステップが、問題を「理想」と「現実」、「事実」と「解釈」のマトリックスで表してみることです。問題を、このマトリックスで表すだけでかなり、現実が見えるようになるんじゃないかなと思います。

まず、問題の認識として議論がかみ合わなくなるのは、だいたい「事実が何なのか?」ということを、よく洗い出さないまま、解釈で「いい」とか「悪い」とか、あるいは、「これが大変だ」とか「大変じゃない」とか、そういった、解釈の違いによって議論がかみ合わないケースがよくあると思います

解釈の違いにより、議論がかみ合わない状態を防ぐ意味でも、「これは一体、解釈なのか、事実なのか」……これを切り分けて議論するのは、問題を見つけていく上で、非常に重要なポイントではないかなと思います。

ここでいう「事実」とは、誰が見たり、聞いたりしても「そうだよね」と、明らかに事実である……ということです。「解釈」とは、ある事実を見た時に「これは大変だ」とか「大変じゃない」とか、そういった、それぞれの人によって意味づけされたことが「解釈」です。つまり、「自分の中で思ったこと」ですね。

「事実」というのは、「自分の外で起こっていること」かな?

解釈を事実かするための簡単な方法

なお、事実を解釈を分けるのは、難しい場合もあるかもしれません。

物事を事実化する上で、最も簡単な方法は「具体化すること」ですね。たとえば、いわゆる5W1Hみたいな形で、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」のように具体化すること。

あとは数値化ですね。数値化とは、たとえば、ある業務が「すごく大変」だと。この「大変だ」というのは解釈ですよね。ある人の中に起こっている解釈です。

その大変さが、人によって同じ場合もあるかもしれないし、違う場合もあるかもしれませんが、「大変だ」というのは、自分の中で、思っていることです。

これを「事実化する」とは、どういうことか? というと、「具体的にする」「明確にする」ということです。「大変だ」を数値化してみると、その大変さの具合がよくわかると思います。

たとえば……何が「大変か」にもよりますが、「ある書類を作成するのが大変だ」という場合、「書類の作成に2時間かかる」とか、「書類を作成する頻度が1日に5回ある」とか。このような形で数値化してみることによって、「実際、どうなのか?」が分かりますし、おたがいの共通の認識がはかりやすくなりますよね。

「解釈」は、人によって違う場合がありますが、「事実」は人によって違いがありません。ですから、数値化したり、具体化することによって、事実が明らかになって、「確かに、これはちょっと大変かもしれないね」というおたがいの共通認識がはかりやすくなるわけです。

このように、まず、事実と解釈を分けてみること。そのために、事実と解釈を具体的にしてみること。数値化してみること。

「事実と解釈」を、「現実と理想」で整理する

さらに、いまの「現状(現実)」がどういう状況にあるのか? ということに関して、事実と解釈にわける。さらに、もし「理想」があるとしたら、どういう状況なのかを、こちらも事実と解釈でわけて考えてみる。

ここでいう「理想」とは、たとえば、先ほどの書類作成でいえば、「現実の事実」が、「書類を作成する回数が5回」だとするならば、「理想の事実」は、「理想は、1回にしよう」みたいな話ですね。

ほかには、「現実の事実」が、「書類の作成に2時間かかっている」だったら、「理想の事実」は、「それを、1時間にしよう」とか。

これが、「現実と理想の事実化」です。

現実と理想の解釈

次に、「現実と理想の解釈」ですが、「解釈の理想」は「書類作成の負担が減って、楽になる」とか、「以前よりやりやすくなる」とかですね。

このように「解釈の理想」とは、DXを取り組むにあたって、関係者の中での共通の認識として「こうなったらいいよね」と思えるようなこと。それが「解釈の理想」です。このように、「事実と解釈」「現実と理想」を、4 つの事象のマトリックスでまとめてみると、起こっている問題の事象が明確になると思います。

このように、問題の現実と理想が明確になることによって、初めて、「どんな打ち手が考えられるか?」とか、「原因は何か?」とか、そうした手段や原因を探ることができます。そのためにも、まずは「理想と現実」、そして「事実と解釈」を、マトリックスで洗い出してみよう……というのが、問題解決メソッドのステップ2です。

……というわけで、繰り返しになりますが、詳しくは、問題解決メソッドを説明してるページをぜひご覧いただければと思います。

じゃあ今日の話はこれで終わりにします。

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