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#531 1on1を「いい時間」にするために

竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。

音声はこちら。

昨日は、「1on1を強制してもいい時間にならない」という話をしました。

今日はですね、そのアンサーというわけではないのですが、「1on1の目的と、いい時間にするために」という話をしたいと思います。

この話をする上で、どんな内容にしようかな~と思ったんですけど、1つのアンサーとして、この記事がお読みいただくといいんじゃないかなと思ったんです。

それは、サイボウズのもと副社長の山田理さんが、R25というメディアに寄稿された(または、取材された)「超ブラック企業だったサイボウズが、全社員と「ザツダン」してわかった“見えない不満”の本質」という記事です。

ここに書いてある内容が、1つのアンサーなんじゃないかと思うので、かいつまんでお話をします。具体的な内容はぜひ、R25の記事をご覧いただきたいと思います。

1on1は、される側からすると「ドキッ」とする

1on1って、する側はいいかもしれませんが、される側の気持ちを考えたとき、急に「1on1をやるぞ」って言われたら、多分「ドキッ!」とするんじゃないかなと思うんですよね。

例えば、何の目的も伝えられぬまま、「毎週、1対1で30分、上司と話をしましょう」と言われたら、多分「何されるのかな」とか、「何を話さなくちゃいけないのかな?」のようにドキドキすると思うんですよね。

山田理さんの記事によれば、1on1についてこんな記述があります。

「1on1」といえば、メンバーが直面する業務上…場合によってはプライベートのこともありますが、課題や悩み、目標などを聞き出し、それに対して上司がコーチングやフィードバックを行い、より適切な方向へ導くためのコミュニケーション技法です。

一方、「ザツダン」は、言葉通りもっともっと「雑談」に近いもの。

出典:超ブラック企業だったサイボウズが、全社員と「ザツダン」してわかった“見えない不満”の本質

サイボウズでは、1on1を「ザツダン」と呼んでいて、言葉通り、もっと雑談に近いものです。

「ザツダン」では、どんな話をするのか?

「ザツダンで、どういった話をするのか?」ということなんですけど、基本的には、説教したり、アドバイスをしたりする時間ではなく、あくまでも雑談です。リーダーが話す時間というよりは「メンバーが話すための時間」。それがザツダンです。

だけど、「何でもいいからザツダンしようよ」「素直に話そうよ」って言われても、多分無理なんじゃないかなと思います。僕も多分そうです。それでも、あえて話したところで「何かない?」と質問されたら、「別に」ってなるし、「なんか課題ない?」って言われたら、「まあ、大丈夫です」みたいなやりとりになるのが、普通なんじゃないかなと思います。

「この時間で話したことが、なんらかの影響を与えるんじゃないか?」と思ったら、なかなか話せないですよね。

どういった状況のときについて、山田理さんによれば、

マネジャー自身が「全員」と1対1で話すことに意味があるのです。

出典:超ブラック企業だったサイボウズが、全社員と「ザツダン」してわかった“見えない不満”の本質

と言っています。根気よく「最近どう?」とか、「どんなことをやっているの?」とか、「何か困っていることはない?」と続けていると、「ある時、ポロっと話がこぼれる時がある」と。

ザツダンの効果

例えば、「BさんとCさんがギクシャクしてるぽい」みたいな、そんな話ですかね。そういった話の中から、もうひと押し「このプロジェクトで、今、Bさんと仕事しているみたいだけど、なんか気になっていることはない?」と聞いてみるとか。

そういった感じで、Cさんに聞いたりすると、「実は……」みたいな感じで、新たな情報が出てくると。そういった情報の中をきっかけに、もうちょっと深堀ってみたりしてみると、辻褄の合わないことがいろいろ出てくる。

それの状況を一言でいえば、「見えないことが見えるようになる」ということが、ザツダンの効果だと、山田理さんは言っています。

一人ひとりのことを理解するのは、ひょっとしたらすごく難しいことなのかもしれません。ですが、相手との関係性や、チームの中があまりうまくいっていない時、多分そこに起こっているのは、状況が「見えない」とか、「わからない」とか、そういった状況がお互いを不信にさせたりすることが多いんじゃないかなと思います。

状況を「見える」ようにするために、ザツダンを行う。

とはいえ、最初のときは「い、別にないです」とか、「大丈夫です」とか、と言ってくるんじゃないかと思います。それでも、ざっくばらんに話せるような場を作りながら、話をいろいろと聞いていくことによって、いままで見えなかったものが見えてくる。

そういう状況になれば、少なくとも1on1をする側にとっては、いままで見えなかったものが見えて解像度が上がるという効果があるのではないかと思います。

また、話す側にとっても、最初からなかなか心を開くことは難しいかもしれませんが、少しずつ話をしていくことによって「この人だったら、話しても大丈夫だ」って思ってくれるようになってくると、いろいろ話してくれるようになる。

そのためには「話を聞く」スキルや、深掘りような「質問をする」スキルがあるといいのでしょう。また、ザツダンはメンバーのための時間です。そのためにも、アドバイスはできるだけ控えて「聞くに徹しよう」と。そういった、関わるうえでのあり方を知る。そうしたトレーニングをすると、より効果的な、意味がある時間になるんじゃないかなと思います。

というわけで、今日の話はこれで終わりにしたいと思います。

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