詩吟の本質的な価値とは?詩吟をやる目的を再考する
こんにちは、heyheyです。
今日は、先日行った詩吟体験イベントを経験したことで、今更ながらようやく「詩吟をやる目的」「詩吟の本質的な価値」というものが掴めてきたので、その話をします。僕にとってとても大切な話です😊
1. 詩吟をやる目的=詩文を深く味わってもらう
結論から言うと、詩吟をやる目的とは「詩文の素晴らしさを、相手により深く味わってもらうこと」です。
世の中には、何百年、モノによっては千年以上語り継がれてきた素晴らしい詩文がたくさんあります。漢詩、和歌、俳句など、様々な形式の詩文が存在します。たとえ難しい漢字や言葉を使っていても、声に出してみるだけで、目で読んでみるだけでも、「この詩文いいな」と感じるものがあるんです。
しかし、ただ字面を眺めるだけや、声に出して読むだけでは、その素晴らしさをじっくり味わったり、理解するのは正直難しい。
そこで、より相手に深く理解し、相手に伝える手段として「詩吟」があるのだと理解しました。
僕は、詩吟を26年間続けてきましたが、その多くは「目先の大会で優勝すること」「段位を上げること」「発表会に向けて練習すること」ばかりに集中していました。
でも、本当に大切なのは、聞いてくれた人に「詩文の素晴らしさが伝わってきました」「詩文の風景が目に浮かびました」といったコメントをもらうことだと気づいたんです。
2. 詩吟の3本柱=①スキル、②背景理解、③伝える力
このように、詩吟の本来の目的を「詩文の素晴らしさを相手に深くじっくり味わってもらうこと」と定義すると、どんな方向性で詩吟を練習すればいいのか、さらには「吟道」を歩んでいけばいいのかが見えてきます。
詩吟を吟じるスキルを高めることはもちろん大切です。しかし、それだけでなく、他にもやるべきことがあります。まとめると、私は以下の3つが詩吟の柱だと考えています:
吟詠のスキル:技術的な面を磨く
背景への理解:詩文の歴史や文脈を学ぶ
伝える力:相手に詩文の魅力を届ける能力
①吟詠のスキル
至極当然のことです。むしろ、詩吟をやっている人のほとんどは、これを目指しているかと思います。日々鍛錬して、吟詠のスキルを上げる。これによって、詩文の素晴らしさを深く表現し、相手に一層伝えることができるようになります。
②背景への理解
これも理解しやすいと思います。吟じるときに、詩文の背景や内容の意味をよく理解していないと、表現することができません。
とはいえ、僕は今まで、詩吟の教科書に書いてある通釈を軽く見ただけで、分かったような気になっていました。それではやはり足りないのです。難しい内容だったとしても、それぞれを深堀したり、考察して、「自分の考えたこと・自分が理解したこと」まで落とし込んでいくことが大切です。
③伝える力
これが、今回の大きな発見です。具体的には「その詩文の一体何が素晴らしいのか?面白いのか?学びがあるのか?感動するのか?」といったことを理解して、それを言葉で相手に伝える力を指します。
「昔の人の何となく素晴らしそうな漢詩を、ただそのままに伝える」というのでは足りません。相手目線が足りていないのです。
今でも長く残っている詩文には、それだけの意味があるハズです。面白さが隠れているハズです。心に響くポイントがあるハズなんです。
それを言語化して、出来るなら詩吟を吟じる前に相手に伝えてあげる。そうすることで、詩文を一層深く味わえると思います。
この3つの要素が合わさってこそ、詩吟は世の中で本当の価値を持つことができるんです。ただの珍しい伝統芸能ではなく、「数多ある素晴らしい詩文の魅力を伝え、残し、広げていくこと」。それが詩吟の本質的な価値だと感じています。
3. 詩吟の実践:身近な人に詩文の魅力を伝える
詩吟をどんどん上手くなりたいと思っている方は、身近な人や友人に「自分が大切にしている詩文の素晴らしさ」を伝えてみてください。背景を勉強し、どうやったら伝わるかを考え、そしてどうやったら吟詠でより伝わるかを考えながら、スキルを上げていってください。吟のスキルだけでなく、この「伝える力」も一緒に鍛えて欲しいと思うのです。
具体的な実践方法として、以下のステップを提案します:
自分が感銘を受けた詩文を選ぶ
その詩文の背景や歴史を調べる
詩文の意味や「本当の魅力」を自分の言葉で説明できるようにする
吟詠の技術を磨き、詩文の感情を込めて吟じる練習をする
家族や友人に「詩文の魅力の説明と吟詠」を合わせて聞いてもらう
このプロセスを繰り返すことで、詩吟の3本柱を同時に強化することができます。また、相手の反応を直接見ることで、自分の吟詠が詩文の魅力をどのように伝えているかを知り、改善点を見つけることができます。
この3つの柱で頑張れば、きっと詩吟の本質的な意味が見えてくるはずです。
既にスキルが高い人は、ぜひともこの方向性を意識して活動して頂きたいです。伝える相手はもちろん「詩吟を知らない人」です。こうすることで、詩吟の業界全体が真の意味で成長し、より多くの人に詩文の素晴らしさを伝えられるんじゃないかと思うからです。
これから吟のスキルを高めていく人は、まずは吟の練習に注力して頂きたいですが、「あ、この詩文好きだ!!」と思ったら、大会などに関係なく、ぜひ自分で深く調べて、魅力が何かを考えてみてください。それを踏まえて詩吟を良く知らない相手に伝えてみると、きっと得られるものが全然違うと僕は思います。
今回の内容は以下のYouTubeからでも聴けます。
今回の動画の後半では、僕が一番好きな「九月十三夜陣中の作 / 上杉謙信」の魅力について話してから、それが伝わるように吟じています。
良ければ見てみて、チャンネル登録もお願いします!!
本日は以上となります。
今後も一緒に、コツコツと吟道を歩んでいきましょう!