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「認定スクールトレーナー」って何?

今年度から制度が本格運用された認定スクールトレーナーだが、まだ多くの方に知られていない現状がある。私自身ありがたく今年度の試験に合格したが、自分が理解している概要と今後の課題を述べていきたい。


認定スクールトレーナーとは...

「認定スクールトレーナー」とは、公益財団法人運動器の健康・日本協会が主催する認定資格である(略称「ScT」)。

下記にもあるように「児童生徒等の運動器の健康増進と健全な成長・発達に寄与する担い手の育成」という目的のもと、2024年度より開始された。

【開催の趣旨】
「認定スクールトレーナー制度」は、児童生徒等の運動器の健康増進と健全な成長・発達に寄与する担い手の育成を目的に実施します。
 現代の子どもの身体の二極(二分)化が社会問題となっています。身体活動や運動・スポーツにおいて、運動過多や不適切な指導・活動によるスポーツ外傷・障害の発生が散見され、他方、運動の過少による体力・運動能力の低下、運動器機能不全や生活習慣病の発生が指摘されています。
 そのため、現状の課題解決に寄与できる機会として、学校の求めに応じて、医師(学校医・整形外科医等)と協力し、「チーム学校」や「コミュニティ・スクール(地域学校協働活動)」の一員として、児童生徒等の運動器の健康増進と運動器疾患・障害の予防に関わる教育・啓発や保健指導の支援・協力を行うことで児童生徒等の心身の健全な成長・発達に資することを目的とし、営利を目的とするものではありません。

公益財団法人運動器の健康・日本協会HP


この養成講習会を受講出来るのは、「全国都道府県の理学療法士会・協会推薦を受けた理学療法士」と「一般応募の中から選ばれた理学療法士」で、2024年度は定員が120名であった。

一般応募のうち、各都道府県の人員配置は理学療法士協会の会員数で分配されており、「1名」もしくは「2名」である。(ちなみに、岡山県は「2名」)。一般応募は、募集期間が3日間だけであったにも関わらず1,114名の応募があり(平均倍率15.3倍)関心の高さが伺えた。


認定スクールトレーナーになるためには...

認定を受けるためには、「eラーニングによる基礎研修(30単位)」と「養成講習会(10単位、対面2日間)」、「資格認定試験合格」が必要となる。

「eラーニングによる基礎研修」では、子どもの運動器の特徴だけでなく学校保健や法理解など多岐に渡る内容で構成されていた。1単位1時間程度で構成されており、2ヶ月間で受講を完了する必要があった。「学校保健」に関わることが乏しかったため、興味深く聞くことが出来たが、課題の大きさも感じることができた。

「養成講習会」では、eラーニングでは学ぶことが出来ないグループワークが中心で行われた(今年度は、芝浦工業大学豊洲キャンパスで開催)。他の都道府県の方と交流できるよう、また「推薦を受けた理学療法士」と「一般応募の理学療法士」が均等になるようグループは構成されていた。ちなみに、推薦を受けたものがリーダーシップを発揮するようにアナウンスされていた。内容についてだが、メインは「提示された具体例を基に細かくプログラム立案」であった。実際の授業時間を想定し、指導プログラムの構成、導入からまとめまでの注意点などを互いに意見を出し合いながら丁寧に話し合っていった。

最後に行われた「資格認定試験」は、受講してきた幅広い内容を問われるため皆緊張の面持ちであった。

この結果、今年度130名の認定スクールトレーナー誕生となった。現在認定されているスクールトレーナーは、公益財団法人運動器の健康・日本協会HPに記載されている。


今後の展望

まだ開始されたばかりで社会的認知度は高くないが、少子化の現在であっても社会的ニーズは高いと想定される。

その一方で、これまで学校(主には小中学校)と接点がなかった/少なかった立場からすると、先ずは認知・普及が課題になってくると考えられる。そのためにも「何が出来て、どんなメリットがあるのか」は、提供する側も整理しておきたい。

すでにモデルケースが行われている地域もあり、その例を参考に自分の地域へ落とし込んでいく形がスムーズではないかと思う。


現在、学校保健分野への介入には様々な障壁があるが、小さな実績を重ねていくことで社会的信頼が得られ、本来の目的である「児童生徒の健全な成長」に繋がっていくと考えられる。

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