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効率的なストレッチ 「コンパスストレッチ」

近年、「コンパスストレッチ」という新しいストレッチ方法が発表された。

それは尾鷲総合病院整形外科(三重県)の佐野友彦先生が考案されたストレッチ方法である。

佐野友彦.コンパスストレッチ:股関節全方向の可動域を拡大させる新しいダイナミックストレッチの提案.日本臨床スポーツ医学雑誌.2021; 30: 679-686.

このストレッチは、自分一人で実施でき、かつ、時間も1分程度で終了するため、簡便で使いやすいストレッチになる。

特徴としては、ひとつのストレッチで「股関節の全方向」に効果があることが挙げられる。


具体的にストレッチ方法を見ていく。

■方法

・姿勢 仰向け
・方法 ①膝を伸ばしたまま(最大収縮)脚をできるだけ外側に広げる
    ②最終域で軽く抵抗を加える
・時間 5秒間保持×3回

自分の手で抵抗を加える


■効果

ストレッチ直後は、股関節の屈曲・伸展、内転・外転、内旋・外旋の全方向において可動域の拡大を認めた。

さらに、このストレッチを毎日4週間継続したところ、介入前より優位に可動域の改善を認める結果となった。

外転の可動域
外旋の可動域
内旋の可動域

なお、ストレッチを4週間継続するとストレッチ前後の差が少なくなっているが、これは4週間程度でストレッチによる効果が一定化すると考えられる。

本ストレッチの特記すべき点は、内旋・外旋の可動域も改善しているところである。

一般的なストレッチ(伸脚や体位前屈など)は一部分の筋しか改善効果はないが、このストレッチは多方向に効果を発揮するのである。


■スポーツに活かすには…

スポーツ現場では「パワーポジションが取れない」など、競技の基本姿勢を取れない選手が多く存在する。

一概に股関節だけの問題ではないが、大きな要因が股関節にあるケースも存在する。股関節は自由度の高い関節のため、回旋(内旋・外旋)の運動も非常に重要である。

多方向への柔軟性を獲得することで、怪我予防だけでなくパフォーマンス向上にも繋がる事が想定される。

時間が限られるスポーツ選手にとって、ひとつのストレッチで全方向に効果が得られるのは、非常に有益である。


導入時に適切な方法を指導する必要はあるが、タイムパフォーマンスも考慮したストレッチは今後ニーズが高まるだろう。

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