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向いていない方が良いこともある
こんにちは。げーしーです。
ここ最近は動物論文を読むペースが遅くなってしまって中々記事を書けないのですが、今回はまた企業企画の題材になっている
を書こうと思います。
▲今の仕事が向いてないと思うこと
臨床で働いていると時折、しんどくなる時がある。
もちろん良い時もあるのだが、いつの時かやりがいを感じている時よりもしんどい事の方が多くなっていて嫌になる時があった。
今でもそうだ。
そんな時「自分はこの仕事、向いてないんだろうな」
と何度も考えてしまっていた。
最初のうちは病気を治して、元気になって帰る。
飼い主さんには感謝を言われて、心地良かった部分があるのは否めない。
そんな時は純粋に嬉しいという気持ちと、また頑張ろうという前向きな気持ちがありモチベーションにもなっていた。
しかし時間が経つにつれて、同じ病気でも良くなる子と良くならない子との差が出てくるのも何回も経験するようになった。
もちろん、治療法の差という事ではなく治療効果の有無が個体差として出てくるからである。
今までよりも助けられなかった子を多く目にするようになってきた。
すると助ける事ができた喜びよりも
「良かった、なんとか無事に家に帰すことができた。」という不安からの安堵という気持ちが強くなっていった。
いつの日か治療行為に対して後ろ向きな考えが強くなってきた。
この子は治るのかな。
家に帰すことが出来るかな。
どんどん嫌になっていくのがわかった。
死ぬかも知れない病気の瀬戸際、全力でやっても助からない子がいる。
亡くなってから、カルテを見直して助けられる症例との差はなんなのかを、あーだこーだ考えながら少しづつ前に進もうとするがやっぱり助けられない子がいる。
そうしてこう思うようになった。
「あ、自分はこの仕事向いてないんだ。」
動物が好きでなったこの職業。
的確な診断をつけ、華麗に手術をして病気の子を助けて笑顔で診察をする。
そんな理想の獣医像を描きながら入ったこの世界。
実際は、いつも一定の不安を抱えながら治療を進める。
手術が必要な場合は麻酔をかける時にいつも吐きそうになるし、異常に口が渇いて震えてくる。
無事に終わっても、いくら完璧に手術をこなしても不安は消えないで寝る時になっていつも入院室を訪れる。
そんな苦しい思いをして無事に帰すことが出来ても後に残るのは
「今回は上手く行ったけど、次の子は無事に帰す事ができれば良いな」
というなんともマイナスな考え。
こんなのを繰り返しているうちに、昔から憧れていたこの職業に対して
「あ。これ、向いていないんだな。」
と思うようになった。
割に合わないとも思った。やればやる程助けられなかった症例が、苦い経験が一方的に増えて行く。
嬉しい思いよりも何倍も重くのし掛かるのがわかった。
そんな時に読んだ漫画のある1シーン。
新米の医者が外科医の先生にこう問いかけた。
「先生は自分が医者に向いているって思いますか?」
すると
「向いてないって思ってるくらいがちょうどいいのよ。こんな怖い仕事向いているって思ってたら危ない人でしょー」
と答えた。
これを聞いて純粋に
向いてないくらいが丁度良いのか。。。
この言葉の本質はわからない。けれども少し気持ちが楽になった気がした。
向いてない事による、恐怖と不安が事前の準備や心構えを丁寧にさせる。そっちの方が患者にとっては安心だ。
向いてないと思う事はしんどいかも知れないが、向いていない方が良い事もあるかも知れない。
そう思うことで幾分か救われた自分がいた。
なんて言ってるかわからない、突然の不調も多い。
夜中に呼び出されるし手術の前には吐きそうになる。
こんなプレッシャーに打ち勝っているのか、もはや押し潰されているかもしれないけれど、
「向いてないくらいが丁度よい」
と言う言葉が少し前向きにしてくれる。
そう思う事でもう少しこの向いてない仕事を頑張ってみようかなって考えられた自分がいた。
いつまで続くかわからないし、途中で挫折するかもしれないけどやるだけやってみよう。
そしたら少しだけ向いているかもって思うかもしれない。
こんなのもう慣れたな、って思うかもしれない。
そう思ったらもうこの仕事はやめ時かもしれないし、その時は後悔もしないかもしれない。
今はまだたくさんのしんどいという中にあるほんの一握りのやりがい、もしくは喜びを励みに向いてない仕事を頑張っていこう。
では、♪(´ε` )
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