膝浜三周年記念朗読の枕
はじめに
今井雅子先生作『膝で夢を見るーー「膝浜」』が公開されたのが2021年12月3日の朝、五つの時を半ときほど過ぎた、８:56のこと。多くの人によってよまれており、リプレイのリンクがついているものをカウントすると、2024年12月21日昼現在、41。派生作品第一号の「ピザ浜」が16、「寿司浜」が11、「PIZZA HAMMER」で３つですが、もう少し多かったと思います。なので、全部で、71回以上ということで、今年も大みそかに向けて増えることと思います。
これまで、膝浜シリーズはもとは古典落語の「芝浜」、なら、枕が欲しいということで、このシリーズを読ませていただくときにつけさせていただいてきました。稚拙な枕にお付き合いくださった皆様にはあらためて感謝申し上げます。ここに、三周年記念の枕を捧げます。
「膝浜」三周年記念の枕
久五郎 早ぇえもんだ、もう今年もあとわずかかぁ。あのひでぇ夢見てから、もう３年かぁ。
女房 そうだねぇ。あんたもよく頑張ったねぇ。
久五郎 いやぁ、途中、中だるみしちまったよなぉ。だれっ、だれっだったよなぁ。お前にも、寿司やらピザやら運ばせてたもんなぁ。店も勝手にたたみやがって、あんときゃぁ、ひでぇめにあったなぁ。
女房 そうだねぇ。なんかモデルになった脚本家がいたとか聞いてたけど、ことしは、なにやら、「なんたらで大志を抱け」とかで映画祭最優秀監督賞取ったんだってねぇ。出世したんだねぇ。
久五郎 そういゃ、朝ドラも二年続けて書いてたって言うじゃないか、すごいもんだなぁ。やっぱ、だれっだれにならねぇと出世しないのかなぇ。
女房 だったら、あんた、とうの昔に大出世してただろ。
久五郎 そこまで言わなくってもいいじゃねぇか。そういえば、仲間が、こきたねぇ泥だらけの膝をお武家さんのお屋敷に持って行って、松の木に吊るされちまうのかとおもったら、なんと500両もらってきたっていうんだからなぁ。太鼓になるとか言ってたよなぁ。おれが描いた十二単の膝枕は、ずーーーと店温めるのに使いやがってよ。
女房 あんたの十二単は綺麗すぎたね。時代がつけば売れたかもね。
久五郎 和歌でも歌うようにしときゃよかったかなぁ。源氏物語、はやっているからなぁ。クラハでも歌い手が増えてるじゃないか。
女房 鳴り物に手を出すのかい？あんたが節つけるくらいなら、鰹節つけた方がましだね。それより、ナビ子搭載膝枕の方が売れるんじゃないかぃ？
久五郎 ありゃーだめだ。話がぐるぐる回って仕事が締めに進まねぇ。ところで、締めって言えば、なんか引っかかるものがあるなぁ。まる三年目ってぇなんかなかったか？
女房 （しどろもどろ気味に）えっ・・いゃ、その、・・あのぅ（汗）
久五郎 なにあわててんだ。
女房 （どきどきしながら）いや、ま、確かに三年目だねぇ。なんかいいことがあるといいねぇ。
久五郎 膝枕リレーも今日で1300日と3日目。初夢見る日は1313日。きっといい夢が見れることだろうよ。
女房 いい夢ねぇ。あたしが正夢にさせてあげるよ。
久五郎 マサ夢って、雅子の夢か？そりゃたいへんだ。どんどんどんどん膨らんで切りがねぇ！
（終わり）