心がひとつ、道端に落ちていた…
深夜のストリートを独りで歩いている。マンハッタンのタイムズスクエアのようだ。
高層ビルの陰で街のネオンサインが寂しそうに瞬いている。なんだかネオンの灯りが黄ばんで見える。コロナ禍で人々がいないせいなのか…
わずかにポートから霧が流れて来た。その時だった!
道に何かが落ちている。しゃがみこんで見つめると、それはハートのようなものだった。わずかに鼓動しているので、それと判った。
「こんばんは」 突然!そのハートが俺に話しかけて来た。
「やぁ、こんばんは」 俺も挨拶を返した。
「淋しかったな」 ハートが呟く。
俺はその可愛いハートをそっと、指で摘まみ上げた。柔らかくて、温かくて、淡いピンク色だった。
「一緒に来るかい…」 俺の言葉にハートはうなずくように動いた。
俺はシンセサイザーの作曲家なのだ。ニューヨークの録音室にいる。 ミュージシャンたちをコンダクトしているのだが、今夜はタクトが上手く振れない。
俺のジャケットの内ポケットに、あのハートがいるからだと思う。
「スーツは純白がいいよ」
「自然体でいったらいいよ」
ハートが、可愛いい声で俺にしゃべり続けている…
実は、ここまでしか夢の記憶がない。あのハートは誰だったのか?そして俺たちはどうなっていくのかな?脚本にしてみたい夢だった。だれか、芝居にしてみないかな?