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場面32:公園(回想、その2)(音楽劇「君の名は希望」37)
乃木坂46の「君の名は希望」を題材にした舞台脚本。「透明人間」と呼ばれている女子が、お調子者の男子との出会いを通してクラスの中で居場所を作っていく物語。
今回で前半の最後。成瀬先生と中田の高校時代の出会いが語られます。そして前半最後に歌われる歌は「君の名は希望」と同じく乃木坂ファンの心の歌の、あの曲です
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二人、あずまやに入り、斜向かいに座る
二人があずまやに入るとすぐに、雨音が強まる
成瀬「外で練習してるとこれが心配でね」
先生、中田に向かって笑顔を見せる
成瀬「それで思い出したんだけど」
中田「え、何?」
成瀬「最近刑務所にいる人に本を送るボランティアをしている人がいるって聞いたの。半グレから暴力団に入って10年以上服役していた人で」
中田「へぇ、そんな人いるんだ」
成瀬「その人は支援者の人たちと手紙をやりとりして、それで犯罪をやめるって決意出来たんだって。そして刑務所では本をたくさん読んでね」
中田「うーん」
中田、初めて聞く話だが悪い話ではない、いやもっと聞きたい、と思う
成瀬「その人が言ってた。孤立したままだと社会の一員だと思えない。孤立が犯罪へと向かわせるって」
中田、心からうなずける言葉だと思う。否定の余地はない。だが自分がどうか、と言われたら苦しい
中田、ふさぎ込みながら訴える
中田「でもさ、俺はもう無理なんだよ。親から必要ないって捨てられてさ」
先生、もがき苦しむ姿を見せる中田を慈しみを込めた目で見る
先生、中田を直視して
成瀬「親とは違う人がいっぱいいたらどうなのかな?」
中田、返す言葉がない
成瀬「そんな仲間を見つけてみなよ。一緒に街に出て、お茶して話して、それでいいんだよ」
中田、そんな仲間が出来るとは思えない。だがそれでいいのなら、とも思う
中田「そうか」
先生、ここで何かを思い付いたように
成瀬「そう言えばクラリネットの先生が言ってた。辛い時は手を左の胸に当ててみなさいって」
先生、そう言って右手の手のひらを左の胸に当てる
中田「ふーん」
中田、同じく右手を左の胸に当てる
成瀬「体の中で刻んでいるリズムがある。それをいつも感じなさいって」
成瀬、言い終えてからあずまやの外の空を見上げる
成瀬「あれ、雨が止んで来たね」
(音楽「何度目の青空か」のテーマ)
厚い雲のすき間から光が射す。少しするとそのすき間から青空が覗いている
中田「さっきまでずっと曇りだったのにな」
二人揃ってあずまやを出て、舞台前方に
成瀬「私ね、青空を見るといつも思うんだ。これって今まで見てきた中で何度目の青空なんだろうって。つらい時も苦しい時も私たちの上には青空が広がっていて」
中田「でもそれに気付くかは自分なんだな」
成瀬「これからの中田君の進む先には青空が広がっている。そう信じてる」
中田、先生の言葉をすべて受け入れようと思う
中田「ああ、分かったよ」
成瀬「ならこの次の青空はきっと分かるよ。だから今この空を見上げてみて」
(「何度目の青空か」のイントロ流れる)
成瀬、前を向く。それにつられて中田も
(歌「何度目の青空か」)
最初成瀬のソロから歌が始まり、途中で King Spider のメンバーたちが登場。メンバーの二人がチームの旗を振り、他のメンバーたちが踊る
それに混じって高校生たちもダンスに加わる
歌が終わり、先生と中田舞台袖に引き、暗転
(前半終了)
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