「先代の遺言」ープロット、キャラクター設定(10枚脚本集「てのひらの物語」2)
企画意図
今やどの業種も熾烈な競争にさらされる時代、地域に根ざして営業を続けて来た飲食店も例外ではない。
物は人が集まる所で売るのが基本だ。だが長らく同じ場所で続けた店がそこから出て行くのは厳しい。
ほんの少しの決意で老舗も活路を見出せる。一件のうどん屋を舞台に、状況を変え、新しい場所を切り拓きたいと願う人を後押しする物語である。
150字要約
目黒区で先代から受け継いだうどん屋を細々と営む柘植秀一。長男の良一が電話でいつかの味噌カツ丼が食べたいと言う。だが秀一は先代の特別な品だと言って断る。ある日妻の正子は仕出しで30個の丼物を頼まれたと言う。だが知人の服部から電話があり、正子が服部の職場で売っていたと知る。秀一は正子が嘘をついたと責めるが。
キャラクター設定
柘植秀一
うどん屋「田島屋」の主人。先代より店を受け継ぎ、50年程店を続ける。先代を尊敬するあまり、口癖のように「先代が」と言ってしまう
柘植正子
秀一の妻、秀一とは先代の店で知り合う。長い間秀一に文句を言わず共に店を営んで来た。だが店のあり方に危機感を感じ、品物を外で売ろうとする。
先代から秀一を見守ってやってくれと言われた過去がある
柘植良一
柘植夫妻の長男。うどん屋は継がず、大学を出て会社員に。毎日安否確認(?)のために実家に連絡を入れる
柘植真奈美
良一の成人した娘、柘植夫妻の孫。ラストに登場する
服部時子
正子の友人、恵比寿のオフィスビルの清掃の仕事をしている。ビルに勤める若い人たちとも仲が良い
石山忠勝
うどん屋の先代、戦後の闇市からうどん屋を立ち上げ、一件の店に育てる。弟子の秀一のことを心配する。秀一は自分の言うことを聞くばかりで自分から動こうとしない、という評価
ハコ書き(あらすじ)
場面:田島屋の店内、夜
人物:秀一、正子、良一(電話)
東横線祐天寺駅から目黒通りの方に下る通りにあるうどん屋「田島屋」
店には先代の石山と若い頃の秀一、正子が写った写真が掛けられている
店じまいをする柘植秀一、正子夫婦
息子の良一から電話。娘の真奈美を連れて土曜に店に行く。真奈美が味噌カツ丼が食べたいと言い出す
秀一、あれは先代から受け継いだ特別な品だと言い、断る
場面:田島屋の店内、次の日の朝
人物:秀一、正子
秀一、正子が友人の服部から受けた丼物30個の仕出し作りに精を出す
正子、ライトバンに品物を積んで配達に行く
場面:田島屋の店内、昼過ぎ
人物:秀一、服部(電話)
仕出しを出し終え、秀一店内で一息つく。そこに電話が
服部が感謝の電話を寄越す
服部が清掃作業員として働いている恵比寿のオフィスビルで正子が丼物を売ってくれたという
場面:田島屋の店内、夕方近く
人物:秀一、正子
正子が帰宅
秀一、「何で俺に嘘を言った」と正子を責める
「よそに売りに行くなんて、先代が残した物をなぁ、粗末にするな」
正子、先代から言われた言葉を秀一に伝える
「秀一は俺の言うことを聞くばかりで自分から動こうとしない。正子ちゃん、あいつを見守ってやってくれ」
場面:恵比寿のオフィスビルの入り口、昼休み
人物:秀一、正子、服部、和歌子、かおり(ビルで働く女性)
昼休み、ビルに勤める人達が行列を作り、秀一たちが作った丼物を買い求める
中には味噌カツ丼と新しく開発したチーズカツ丼というメニューも
場面:田島屋の店内、土曜夕方過ぎ
人物:秀一、正子、良一、真奈美
秀一、週明けの仕込みに勤しむ
そこに良一が娘の真奈美を連れてやって来る
秀一、味噌カツ丼が食べたいという真奈美の頼みを快く聞く
秀一、真奈美に先代が味噌カツ丼を作ったいきさつを教える
秀一、先代が遺した言葉を思い出したという
「俺は時代に合わせて来たから今までやって来られた。だからお前もこれだと思ったことはどんどんやってみろ」
店の壁には先代の石山、秀一と正子が写った写真が掛けられている
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