カラダ記念日
6月末、約2年ぶりにカムバックしたサッカーで、腰痛もカムバックしてしまい、激しい運動を控えていた私。冷湿布とサポーターと約2ヶ月間を共にし、それでもゴルフは何度か騙し騙しラウンドはしたものの、激しい運動はしばらく控えていた。8月も後半に入り、インサイドヘッドで会議を実施。そろそろいける、大丈夫だろう、という判断が下され。晴れて、本日、サッカー解禁となった。
モエレ沼のサッカー場。観光地としても有名なモエレ沼だが、このフィールドに観光客が足を踏み入れているのを見たことがない。まぁ当然か。ただ広くて気持ちいいだけで、ほぼ何もないから。サッカー場としてはボコボコで、芝生というよりは草。メンテナンスは今ひとつのザ・草サッカー場なのだが、写真にあるように、ロケーションは素晴らしい。稀代の彫刻家・造園家であるイサム・ノグチの作品に抱かれて、加齢臭まみれのおじさんたちが草サッカーを楽しむのだ。
やっちまった。しでかしちまった。
ゲーム開始後18分。木の枝か何かが、背後から飛んできて、右のふくらはぎに当たったような感覚があり、次の瞬間、私はゴールエリアのラインを越えたあたりの芝生に突っ伏したまま、それから、そのまま。気絶直前の放心状態に陥った。ふくらはぎがつったような感覚はあるが、アドレナリンが分泌されていたのか、激しい痛みはなかったが、動かない。両脇をチームの2人に支えてもらい、ベンチ近くの日陰エリアに運んでもらい、仰向けになった。
さすがおじさんチームだけあって、怪我に関しては海千山千の手練れが揃っている。状況から「肉離れ一択」と即座に診断され、症状についてのいくつかの質問の後に、「それは縦に切れるタイプじゃなくて、横に裂けるタイプのちょっと厄介なヤツ」と詳細にわたる診断結果といくつかの症例、そして対処法について、懇切丁寧な説明をいただいた。また、次から次へと持ち寄られるドクターツールで、完璧な処理が施された。結論を言うと「とにかくすぐ冷やす、これ鉄則」ということだった。もはや専門医の治療を受けたようなものだった。否、治療の枠を越えて、おもてなしNo.1と言えるホスピタリティであった。
サッカー場から駐車場は遠く、丘陵面を避けて、遠回りで平坦な道を歩くと300メートルは歩かなければならなかった。片足を引きづりながら、約15分かけてようやく辿り着いた。肉離れの右足をアクセルに載せるが、痛いので右親指だけをアクセルに乗せて、その力加減でスピードを調整。ブレーキは、掟破りの左足を使った。事故らないようにゆっくりと、約15キロの道のりを超安全運転が帰ったが、慣れない左足ブレーキのため、後続車に迷惑のかかる急ブレーキを2度ほどやってしまった。
恐る恐る家に入ると、片足をひきづる私に気がついた妻は
「どうした? その足、キックしてやろうか?」
と恐ろしいことを言ってきたので、すぐに風呂場に逃げ込んだ。
運動不足の祟りだと、わかっていることなのに、どうして、直前までずっと運動しないまま、何もしないまま、サッカーをしようとしたんだろう。もう若くないのはわかっている。自分の体力・体型・健康について、あまりにも無頓着だった。今日は、本当に、今までの自分を猛省している。ちゃんと、自分の体のことを考えて、メンテナンスしていこう、そう固く誓った、今日はカラダ記念日。