地動説と陰謀論
気になっていたマンガ「チ。ー地球の運動についてー」がアニメ化された。読めないままだったので、アニメになり、ようやくその作品世界に触れることができた。物語が描かれている時代背景は中世ヨーロッパ。教会が様々な分野で権力を握っており、思想や価値観も教会の教え以外のものは異教徒として排除、弾圧し、厳しい拷問によって秩序を守り、教会の権威を維持させようと徹底管理する社会。そんな社会で、地動説は異教徒の思想であり、社会の秩序を乱す悪と見做されていた。地動説が異教徒の思想と知りながら、知の探究に取り憑かれた登場人物たちは、その美しい自然法則を求めるあまり、その研究を止めることができない。見つかった場合は、嘘をつくか、場合によっては死さえも選択する。そうして、その探究のバトンを繋いでいく。そういう話。
史実として、14〜15世紀の中世後期はローマ・カトリックが権力を握り、堕落していった時代。そして、ルターやカルヴァンによって新しいキリスト教が台頭し始めた頃であるが、それがこのチ。で描かれといるような全体主義と直結していたかどうかは私はわからない。あくまでもこの作品は、ガリレオ裁判にインスパイアされたフィクションとして楽しむのが良いだろう。ただ、地動説というものは、歴史の上においてコペルニクスに始まり、そのおよそ100年後に生まれたガリレオを経て、最終的にその正しさが証明される1838年まで実に300年以上かかった、ということだけは知っておいた方がいい。
ああ、この類の話ってたくさんあるなぁ。
「センメルヴェイス反射」っていうんだっけ。
ここで説明すると長くなるので、参考までにリンクを貼っておく。
自分の誤りを素直に認められない権力者の顔色を伺いながら、空気を読むことばかり考えがちな日本人は、自分で考えることをしないから、社会が間違った方向に向かっていることを意識することなく、泥舟に乗り込んだまま沈んでいく。
私は、芸術家でも理想主義者でもないし、もちろん反社でもない。だが、社会の中でも、所属する会社の中でも、異端の変わり者と見られている。思ったこと、考えていることを口に出して言ってしまうのだから止むをえない。その一見、エキセントリックな主張が、この社会の中でも、この会社の中でも、自分の生き方として正しいと思うし、自分なりの美学を貫こうとしているからしようがない。まぁ、孤立しないように、楽しく、面白く、自分のことを自嘲して陰謀論者と揶揄しながら、半分笑いをとりながら主張するわけなのだが。
でも心の中では、天動説が当たり前の世の中に、美しくて輝いていて、真実に肉薄しているはずの地動説を唱えている。