#note創作大賞感想|「引き出しにしまった話」
※先に書いておきます。ネタバレ注意です。
今私がどう見えているかは分からないが、昔は無口で何を考えているかわからないとよく言われたものだった。
「根暗」とか「ネアカ」とかで人間を二分していた時代の事である。
自己肯定感が限りなく低く、意見を口にすることすら憚られる。
こんな私の言うことなど誰も聞いてはくれない、誰も私の事なんか好きじゃない。矮小かつある意味尊大な狭い視野しかもっていない、恨みつらみを抱えた人間だったなあ。
細村さんの作品を拝読した後で最初に感じたのはそんな感想だった。
この辺は作品とは多分関係ないんだけど、そういう陰気な私が勝手に感じた感想だという事は書いておいた方がいいように思ったので。
細村さんの作品の感想を書かせていただきました。
人によってどちらに感情移入するかは分かれるだろうけど、私は井波側の人間で棗に取った態度を一生後悔するんだろうな、と思ったのでした。
ごまかさなきゃ良かった、あの時もっと素直に聞けていれば、真剣に取り合っていれば。という後悔が残ってしまいそう。
反対に棗の立場だったらどう思う?と自分に問いかけた時に、
してやったり。
という言葉が出てきました。
ガラスをひっかいたように薄い傷を残すように手紙を送る。その返信は決して届くことのない手紙。
本人の思った以上の効果を持っている手紙と、生きた証を好きな人のもとに遺せた。それってあまりに自己中心的な感情だけど恋ってそういうものだ。
私は棗にはなれない。
後悔を引きずりながらも安寧な日常を選ぶ側の人間だ。そして棗のような人間に憧れつづけるんだろうなあ(苦い思いを抱えながら)と思うのでした。
そしてなぜかハマショーが浮かぶ。
主人公が袂を分けた年は18歳ですが、この曲のイメージがしっくり来たので感想とともにアップします。