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#12 【書評】 職場を腐らせる人たち

今日紹介する本は『職場を腐らせる人たち』だ。

この本では産業医として働く著者が過去に出会ってきた事例をもとに、職場に悪影響を及ぼす人の特徴やそれに対する対処法、またどうしてこのような人が生まれてしまうのか?といった原因まで考察していく本になっている。

初めに正直にいっておこう。これは読んでいると気分が悪くなると思う。

全体の3分の2ほどが、具体的な「職場を腐らせる人」のオンパレード。とにかく色々なタイプの人間が出てくる。

私個人としては、むしろとても興味深く思えるような人たちばかりだったため、面白く読めたがきっとほとんどの人にとってはあまり気分のいい内容ではないだろう。

しかし、中には現在進行形で自らの職場に、この本に出てくるような人がいるという方もいると思う。そのような方はぜひ読み通してみてほしい。ちゃんと解決策やそのような人との付き合い方も載っているため参考になるはずだ。

実際にいた、「職場を腐らせる人」

せっかくなので、本書で紹介されている一例を紹介していこうと思う。

私は大学生なので、同じくらいの年齢の、とある若手社員に関する事例を紹介する。

この若手社員の問題は、「言われたことしかやらない」ことだ。言われたことに関してはしっかりと行なって、かつ結果も出してくる。

一見、特に問題なさそうに見える。少なくとも頼まれたことはやっているわけだし、やるだけではなくて結果も残している。しかしながら、どうしても手伝ってほしい時や、何かアクシデントが起きて助けが必要な場合にも手伝わないらしい。

「自分の仕事ではないので。」とか「それは私がやらなければいけないことですか?」と御託を並べてやらない。

若手からしたら、確かに自分の持分ではないのだろうし、合理的な判断をしていると思っているようだがこれは全く間違っている。なぜならば、もしその若手がピンチになった時、誰も助けてくれなくなるからだ。

綺麗事を言えば、見返りやギブアンドテイクを求めず助けるというのが正しい行動だろう。しかし、実際問題として自分が本当に助けて欲しい時に助けてくれなかった人を助けたいと思うだろうか?

少なくとも私はそうは思わない。むしろ「なんであの時助けてくれなかったのに、自分が大変な時だけ都合よく手伝ってというの?」と思ってしまうと思う。

このように、感情的にみても合理的にみても間違ったことをしているのだが、当の本人には全くその自覚がないのがこの問題の難しいところだ。

当の本人は、自分が悪いと思っていない

この本の核心は、どの事例を取ってみても「自分がおかしいことをしている、間違ったことをしているという自覚が皆無であること」だ。

つまり、当の本人は自分が職場を腐らせていることに全く気づいていない。

それどころか、自分が仕事を引っ張っている、職場を安定させているなどと思い込んでいるためさらにタチが悪い。

このことからわかることは次のとおりだ。

「自分は自分が思っている以上に自分のことがわかっていない」

そう、誰もが自分のことは自分が1番わかっていると思っているかもしれないが、実はそうでもない可能性が十分にある。つまり、自分も知らない間に「職場を腐らせる人になっている可能性がある」ということだ。

今これを読んでいて、「いやいや、自分はそこまで変じゃないよ。」と思った人、その人が1番危険だ。常に自分を虚心坦懐に見つめながら、常に反省し続けることができれば、ここで紹介される人々のようにはならないだろう。

常に自分を疑うというのは、想像よりも難しいし気も使う。

しかし、それができる人というのは真の意味で人間として素晴らしいと言えるのではないだろうか?

私は本書を読んでそう思った。

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