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【読書】『起業の天才』から学ぶ、リクルートの文化と、真実を知る大切さ

こんにちは。株式会社LifeLabの志賀香織です。
今日は、私が新卒でお世話になった株式会社リクルートの創業者である江副浩正さんについて書かれている『起業の天才』を読んで感じたこと、学んだことを書きます。

読みながら、新卒の時にもっとリクルートの歴史を勉強しておけばよかったと心から悔やみました。
諸先輩方が伝えてきてくださったDNAを私も少しでも後輩たちに伝えられるように精進し続けます!

江副さんが作ったリクルートという会社

江副浩正さんという方を聞いたことはありますか?
『リクルート』というとほとんどの社会人の方はご存知かと思いますが、その創業者の方になります。
『起業の天才』という本に書かれている通り、彼の行動や功績はとんでもないものですが、最後は「リクルート事件の主犯」として扱われていました。そのあたりについて私もよく知らないことが多かったので、この本を手に取ってよかったと思っています。

リクルートの前身である会社ができた当初の日本は、人の情緒に訴える「カリスマ経営」が主流だったようです。
ですが、リクルートは、江副さんがピーター・ドラッガーの本から懸命に学び、純粋にそれを実行してできたため、常に目的合理的で資本主義そのものだったようです。

理論が好きな江副さんは、創業メンバーと一緒に、会社が成長し続ける「仕組み」を作りました。
リクルートの社員は、江副浩正というカリスマではなく、江副さんが構築した思想体系を信奉していたから、江副さんがいなくなってもブレずに目的合理的な資本主義を貫くことができたのです。

『起業の天才』より

江副さんは、この人と仕事をしたい!という方にどんどん声をかけて、熱意を伝えていく中でチームを作られてきたようです。
狂気の採用とも本書にかかれていましたが、「人」が大事であると考えて採用にお金も時間も投下されてきたことが伺えます。

江副は、自分にカリスマ性がないことを知っていた。
創業者がカリスマ的な人間なら、会社が大きくなっても社員はその人物の魅力や個性についていく。だがシャイな性格で、人前で話すことすら苦手な自分にそんな力はない。

江副正弘は、自分にはない才能をもつ人材を見出し、その人を生かすマネジメントの天才だった。

「君はどうしたいの?」

リクルートにいるときに、私もよく上司から質問されていました。
聞かれるとわかっているので、事前に自分の意見をまとめてドキドキしながら上司のところに足を運んでいた記憶があります。
そのおかげで、自分で考えて答えを出し、言ったことに責任をとるということが身についたように思います。

江副さんの実際のやりとりを読み、今一緒に働く仲間に対して答えを授けていないか?もっと懸命に聞くことができるのではないか?と自問自答しました。
がまん強く、もっとできます。笑

江副は社員に対して「こうしろ」とは言わない。社員が常々、不満を持っている事業や、自分が「やってみたい」とか「変えなければいけない」と思っている事柄について「君はどうしたいの?」と問いかけるのだ。
社長に「どうしたい?」と聞かれた社員ははじめは戸惑うが、江副は「それで?」とがまん強く社員の意見を促す。

江副さんは「こうしたい」という意見がある。でも、それを自分が言えば、命令と服従の関係になってしまう。だからしつこく「君はどうしたいの?」と聞くんです。はじめのうち社員はトンチンカンなことを言っていますが、江副さんは「それで?」「でも、こういうこともあるよね?」と誘導していく。すると、そのうち社員は、江副さんが考えていた正解や、それより素晴らしいアイデアにたどり着く。
そこで江副は満面の笑みを浮かべ、こう叫ぶのだ。
「先生!おっしゃるとおり。さすが経営者ですねえー!」

500人までは頭に叩き込む

驚いたのが、江副さんは社員が500人を超えるまで頭に叩き込んでいたということです。
もっと視野を広く、関わる人に興味関心を持つことができるなと学びでした。
やはり、結果を出されている方はマメで、努力家ですね。

江副は社員数が500人を超えるところまで、全社員に自分で勝手にあだなをつけ、その社員の名前や年齢、プロフィールを頭に叩き込んでいた。

女性が活躍できる環境

今もよく言われるリクルートの特徴として、『女性が活躍できる環境』であることがあるかと思います。
その文化の源が本書にも書かれていました。

私が入社を決めた理由の一つでもあり、実際に入社しても男女の違いなど全く感じることなく、完全実力主義で評価されました。
本当にありがたい文化です。
当時の女性社員の方は、心から働く喜びを感じていたんだろうなと思います。
そして、「暗いうちに帰りたい」は言ったことがなかったので、まだまだだなと感じました。笑

「私たち、できれば暗いうちに帰りたいんです」
締め切りの日の校閲作業は毎週、深夜を超え、彼女たちが帰路につくのは空がすっかり明るくなってから。
明け方に始発で帰り、シャワーを浴びて着替えると、仮眠する間もなく、お化粧を直してまた出社するのだ。

「会社は好きだし仕事は楽しい」

何が彼女たちをそれほど頑張らせたのか。それは当時の女性に与えられることのなかった「活躍の機会」である。男女雇用機会均等法が施行される10年前、日本企業における女子社員の役割は「お茶汲み」と相場が決まっており、結婚退社が前提だった。男子と同じ受験戦争を勝ち抜き、男子より成績優秀な女子学生も、会社に入れば制服を着てお茶汲みなのだ。 
しかし、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」と唱える江副の日本リクルートセンターでは、女性社員にも平等に機会が与えられた。頑張って仕事をすればまわりに賞賛され、良いアイデアを出せば「それいいね。じゃあ君がやって」と責任者に抜擢される。他の会社では味わえない充実感を彼女たちは味わっていた。

『リクルート事件』の本当のところは?

本書の後半には、『リクルート事件』について細かく記載がありました。
いろんな当事者の思惑が錯綜しており、結局本当のところは?ともやもやとするところもありました。結局、本当のところは当事者にしかわからないということ、大きな力が働くことで真実になってしまうこともあるのかなと感じました。

「リクルートは次々と新しい情報誌を作って、新聞広告の顧客を奪っている。ほどほどにしてほしい。新聞社はどこも、リクルートを苦々しくおもっているよ」

正規のスクープが、朝日新聞の朝刊社会面トップに掲載された。
「リクルート」「誘致時」「助役」「1億円」。見出しの単語を拾っていくといかにも「贈収賄事件」に見える。だが記事のどこにも「贈収賄」の文字はない。当たり前だ。捜査当局が「贈収賄は成立しない」と言っているのだから「贈収賄」と書けば誤報である。

「問題となっている」「波紋を広げそうだ」という言葉で「正しいかどうかはあなたたちが決めてくれ」と読者に判断を委ねたのである。

江副やリクルートに「犯意」はなかったということになる。だが、朝日が書いた”スクープ記事”は、江副と江副から株をもらった政治家、官僚、財界人に対する国民の怒りに火をつける。マスメディアが競い合うように報じる「戦後最大の疑獄追及」の号砲が鳴った。

報道は過熱していった。「株に群がる政治家の腐臭」「倫理観のマヒした知的エリート」「職業上のモラルに反する」朝日新聞は、充満した大衆の怒りに火をつけていく。

特捜部は「ベンチャーのリクルートが成り上がるために巨人NTTに擦り寄った」というストーリーに固執した。そうでなければリクルートが譲渡した未公開株が賄賂にならないからだ。

いつしかリクルートそのものが不浄で、かかわりをもつこと自体が反社会的な”穢れ”であるかのような空気が生まれる。違法か合法かという論理ではなく、世間を支配する空気である。

「リクルート叩き」が燃え盛った1989年12月期、リクルートの売上高は過去最高を叩き出している。
メディアが作る空気は反リクルート一色だったが、現実のビジネスはそうではなかった。

リクルートのDNA「一人ひとりが経営者だ」

江副さんが大事にされていた「君たち一人ひとりが経営者だ」という考え方が浸透していることに感動しました。
実際に、リクルート事件の真っ只中での、リクルート社員のスタンスや、仕事への向き合い方に心を打たれました。

リクルートの全社員が、かつて味わったことのない逆風にさらされる中、ある上司は部下に言った。
「かもめの社章は外すなよ」
上が何をやっていたかは知らない。しかし自分たち現場の人間は世の中の役に立つ仕事をしてきた。世間に恥じるようなことはしてない。

「リクルートはこれからどんどん成長するよ。だって俺たちが新しいビジネスを作っていくから」

先輩方が、「圧倒的な当事者意識」で作ってきた会社で新卒キャリアを歩めて幸せだったなと改めて噛み締めました。

実際に会社員から経営者となった今、リアルに大事にしたいことがたくさん学べる本でした。

今日はここまで。
最後までお読みくださりありがとうございます!

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【株式会社LifeLabについて】
▼HP
http://s-lifelab.com
誰もが輝ける社会を実現する』を理念に、キャリア支援(Carrer Lab)、IT事業(Tech Lab)、美容サロン経営(No.3 Shirokane)などに取り組んでいます。

▼代表経歴
志賀香織
愛知県出身、名古屋大学卒業後、株式会社リクルートに新卒入社。
エージェント部門にて、中途採用支援・新卒採用支援を行う。
その後、転職、フリーランス、法人化。
実績:キャリア支援1000人/採用支援100社/キャリアデザインワーク講師/techLab主催/美容サロン経営/システムコンサル/ITスクール/日経WOMAN掲載

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