~ゲームへの悪評はミスリード~

そもそものこのお題で書こうとしたきっかけは、Twitterのトレンドに

”マルチディスプレイ”


が上がっていたこと。

詳しく見ていくと、

ここ最近急に逮捕事例がつづく、持続化給付金詐欺の報道の中で、
容疑者の部屋には複数のPCディスプレイがあったということを報じたものだ。
作業をしていたかもしれないと考えると、詐欺行為の現場だと言いたいような内容だ。

ただ、この報道の仕方・表現について話題になっているのだ。


部屋の中の様子を見たことがある大家が、ディスプレイが2,3台ある様子をみて「ゲーマーかデイトレーダーやっているの」と容疑者に聞いたと話す場面を切り抜いている。
この大家の認識は、実に正しいものだ。ゲーマーは、配信などとゲームを両立するために、デイトレーダーは複数のチャートを表示するために、マルチディスプレイにすることがある。

実際、私も便利なのでそうしている。


ただ、大家の認識はあっているものの、事件の話とは少しズレた内容なのだ。

そもそも、2・3台としているのに、放送画面上部のテロップは”大量”と誇張している。

また、この紹介されている部屋にて、詐欺行為の一部作業をしていたかは家宅捜索すらされていないため、確定情報ではない。
マルチディスプレイで何か怪しいことをしていたというのは、まだ早いのだ。


そして、マルチディスプレイで作業していたことが、今回の事件において最重要事項ではないのだ。

マルチディスプレイにすることは作業効率かの一つ。

また、昨今リモートワークが主流になり、会社支給のノートPCでは画面が小さくて作業し辛いことから、ディスプレイをノートPCと繋いでマルチディスプレイにする人も増えていた。
「リモートワーク マルチディスプレイ」で検索すると多くの紹介ページにヒットする。


つまり、昨今の特殊な環境によって、マルチディスプレイが一般化しているのだ。そのため、マルチディスプレイ自体を槍玉に挙げること自体が馬鹿げている。


SNSでは、ゲームやプログラミング、デイトレードなどPC画面を長時間観る人間に対しての風評被害だということで、トレンドになっていた。


実際、大家のコメントが変な形で使われたために、このような話になってしまっている。今回の話で、同じようにマルチディスプレイで作業する、ゲーマーやデイトレーダーへのイメージダウンの意図がメディアがあったかは、確証はない。


ゲーム・ゲーマーへの風評被害


今回は、間接的な形ではあるが、大衆メディアによって、ゲーム・ゲーマーへの悪いイメージを拡散させるように報じられたことは過去にも何度もあった。

もっと言えば、”オタク”に対してもそうだ。

その発端にして、最大の要因はこの事件であろう。


これを機に世間的には、アニメ・漫画・ゲームは悪という世間的な土壌が確立した。
そのため、いかなる事件でも、容疑者宅への家宅捜索にて、漫画やゲームが出てきたり、知人の証言でそういったものが好きだというものがあれば、積極的に報道するようになった。


たとえ事件に関係しない場合でもだ。


ただ、ゲームのチャットをきっかけにした事件もあるため、全く関係ないことはない。


アニメ・漫画・ゲームに熱中していることが最終的に事件に至る決定的要因になることは、そう多くない。
容疑者の趣味がたまたま、そうであることも幾分ある。


ただ、その因果関係の考察がないままに情報が拡散してしまうことが、殊更多いように感じる。


ゲーム=悪 の時代は、もう終わる


上で、ゲーム=悪 が形成される発端の事件を紹介したが、
その事件が発生したのは、1988年である。

ファミコンは1983年に登場し、ゲームボーイは1989年、スーパーファミコンも1990年に発売されるという時代であり、ゲーム機の勃興期にあたる。


むしろ、この事件以降に生まれた世代、現在30歳前半の世代以降は記憶にある頃からゲームが身近にある世代に該当する。
ニンテンドーDSでの脳トレブームもあり、ゲームが身近な世代が大半になりつつある。


その中で、一概に、そして頭ごなしに ゲーム=悪 という論調というのは限界に来ている。

多くの世代がゲームに触れたことのある世代であり、娯楽としての面白さは確実に浸透している。
そして、ゲームでの悪影響というのも、学術的にも盛んに議論され、一般にも認識されつつある。


よくある悪影響としては、

戦闘で敵を倒すことを主眼といたものがおおいため、攻撃性が増すというものだ。
このようなことは、実証実験などで確認できることであるため、研究されていることだと思うが、
仮に、攻撃性が増したとしても、現実社会への影響まで判断するのは難しい。


このことが、つい最近アメリカで持ち上がることになる。

5/24 にアメリカ・テキサス州の小学校で発生した銃乱射事件だ。これにより、21名が亡くなっている。


この事件の直後にあった、全米ライフル協会の総会にて、
上院議員が銃乱射の増加要因の一つとして、暴力的ゲームの影響で殺人に対して鈍感になっていると主張している。

自らの存在を否定しかねない、銃規制について反対の立場である全米ライフル協会の総会であるため、このような意見は出てきて当然かもしれない。


ただ、反論意見として

このようなツイートもなされている。

各国の一人あたり換算のゲーム収益と10万人あたりの銃による死者数の各国のグラフである。

ゲーム収益が高い=ゲームが一般的というグラフと銃による死者には相関がない。アメリカだけが突出している。ゲームによるところが大きいのであれば、韓国や日本はもっと高くなるはず。
つまり、銃規制によるところが大きいという主張のものだ。


反論意見としては、厳密にいえば議論が甘いとも思えるが、言いたいことについては的を射たものだ。



もちろん、ここで、ゲームには悪い影響は全く無いと主張をする訳ではない。
ただ、ゲーム=絶対悪とする時代はもう終わり、より客観的に精査して正しく向き合う・付き合っていくフェーズに入ったのだ。


私のnote でも度々、eスポーツ関係でのチームの不祥事、個人の炎上を取り上げ、書いてきた。


この議論のなかで、一度たりとも”ゲームが悪い”という議論はしたことはない。
人に問題ありとしたものだ。


ゲームが悪ければ、なぜ他のゲームうをする人間は問題を起こさないのか。


という風に結論に至ってしまうのだ。



上手いまとめがないため、これにて終わりますが、微力ながら、このような間違った印象には抗っていく所存です。


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