モチベーションのGenerative Adversarial Networks
「自分が何をやりたいか」「自分は何をしたら幸せに感じるのか」
汎用的な問いだが、自分の中で答えを出せている人は少ないと思う。
自分の中では、歳をとるごとにますますわからなくなっている感覚すらある。
人間は経験が溜まったり、少し学ぶことが増えてきたりすると、「自分がこれをやりたいかもしれない」という気持ちを潰す言い訳が容易に思いつくようになるのだろう。
例えば、「お金がないから今はできない」「タイミングが悪い」「自分の能力には見合っていない」「時間がないからできない」といった具合だ。
先を見通して、「やらない」理由ばかりを考えつくようになる能力を機械学習のGAN (Generative Adversarial Network)に準えて、識別器 (Discriminator)と呼ぶことにする。
多くの人は、この識別器が育ち過ぎているのだろう。すなわち「自分はそれをやりたくない」と識別する能力が高まりすぎ、なかなか生成器 (Generator)が育たない。生成する前(何かをやりたいかもと思って行動する前)にその生成をやめてしまう。結果として、生成器が育つのに非常に長い時間がかかってしまう。
この識別器過多の状況を認識し、意識的に生成器を育ててみる、そうすることで、生成器と識別器の発達の速度が高まり、質の高い生成ができるようになる。このプロセスこそが、「何を自分はやりたいか」という自己理解を育てていくために必要だと思う。
人間は現状維持バイアスがあるから、意識しないとどうしても識別器だけが育ってしまう。
少しだけ勇気を持って、生成する(新しいことを試してみる、自分の手を動かしてみる)ことが自己理解のために最も求められている。