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【ハーブ天然ものがたり】アネモネ


風の神アネモイ


アネモネ、学名 Anemone coronaria の和名は
牡丹一華(ぼたんいちげ)
花一華(はないちげ)
紅花翁草(べにばなおきなぐさ)

英名をWind flower(ウィンドフラワー)といい、ヨーロッパから地中海沿岸を原産とするキンポウゲ科の植物です。
学名 Anemone の語源はギリシャ語で「風」を意味します。

ギリシア神話に登場する東西南北の風の神たちを総称してアネモイと呼び、あるときは一陣の突風、あるときは翼をもった人間、またあるときは馬として描かれてきました。

風神アネモイは天地を自在に描けめぐる風元素界のおさともいえる存在です。
地表に近づくと4分身され、北風ボレアースは翼をもつモジャ頭のあごひげ老人で、ときに牡馬に化身したり、戦に関わったり、地上から王族を引き上げたりします。地上では冬期間のむさぼりつくす粗暴な性質とされますが、奪う神としての役まわりが強調されている感じです。

南風ノトスは厚い雲と霧で豊穣の実りをもたらす晩夏の湿潤な風を送り、与える神の側面を象徴しています。

東風エウロスは暖かい風と雨をもたらし、ヨーロッパでは季節と関連付けてはいないようです。ちなみに日本だと東風こちは春風、春一番です。

西風ゼピュロスは春の訪れと初夏のそよ風を運び、幾人もの妻を持っていたと伝えられています。植物の化身物語、誕生物語に多く登場することから、天界から地上へ降りる神々のエッセンスを地上におろし、地表から立ち上る磁力や重力(たくさんの妻)と融合して植物たちを生み出す役回りという感じがします。

イタリア、ルネッサンス期の画家ボッティチェリは、春の訪れを告げる西風ゼピュロスを「ヴィーナスの誕生」と「プリマヴェーラ」に描きました。
無垢、花、誕生、喜び、純粋さ、美しさなどがテーマになっており、楽園と西の風神はいつもセットで描かれます。

「ヴィーナスの誕生」
左でぷぅーっと吹いてるのが西風ゼピュロス、花の女神フローラを抱きかかえています。


植物の神だったアドニス


アネモネ誕生神話は化身物語。
もとはフェニキア神話に登場する植物の神であったアドニスは、ギリシャ神話で女神たちに庇護される美しい青年として登場します。

フェニュキアの王女ミュラーは実の父であるキニュラース王を愛してしまいアラビアに逃避行。
神々はミュラーをミルラ(没薬)の木に変え、猪がぶつかって木が裂けたとき、中からアドーニスが誕生。
アプロディーテーは赤ん坊のアドーニスを冥府の女王のペルセポネに預け、アドーニスはしばらくペルセポネーが養育することになった。
アドーニスが少年に成長すると、1年の3分の1をアプロディーテーと過ごし、3分の1はペルセポネーと過ごし、残りの3分の1はアドーニス自身の自由にさせることになった。
アドーニスは自由になる期間もアプロディーテーと共に過ごすことを望んだ。
アドーニスは狩りが好きで、毎日狩りに熱中していた。
ある日軍神アレースは、アドーニスが狩りをしている最中、猪に化けて彼を殺した。
このときアドーニスの流した血から、アネモネの花が咲いたという。

ウィキペディアーアドニス  を要約

この化身物語はわりと有名なお話で、アネモネ誕生物語には別のバージョンもあります。
西風ゼフィロスが妖精アネモネに恋をして、妻である花の女神フローラがアネモネを天界(妖精界)から追放し、行き場を失ったアネモネを、ゼピュロスがアフロディーテに頼んで花に変えてもらったというお話です。

ギリシャ神話には化身物語を建てつけとするお話がいくつもあります。
すでに過去記事でマリーゴールド、ミント、水仙のものがたりはご紹介しているので、ご興味ございましたら下記リンクからお願いします♪


他に有名な化身植物たちは
・マートル(ぎんばいか)
・ベイ(月桂樹)
・ミルラ(没薬)
・フランキンセンス(乳香)
・スイレン
・ヒヤシンス
などが思いあたります。


妖精や半神、人間が植物に変身する物語の背景には神様とか太陽などの上位存在がいて、変化魔法を発動します。
たいていは嫉妬や復讐などが絡まった愛憎劇に仕立てられ、非業の死とか悲恋の物語として語られますが、地上界での植物の繫栄・愛されぶりを思うと「ほんとに復讐?」と、ハテナマークが飛び交い、もうそろそろ神話によるプロパガンダも書き換えが必要な時代に入ったのではないかと感じます。

化身となった植物は、変化魔法を発動した神々の分身。
地上に渡りをつけるための、神々の創造物なのだろう、と考えます。
だから西風ゼピュロスは神々の分身エッセンスを地上にもたらし、花の女神フローラとともに地表に花を咲かせ、神々降臨用お座布団を敷きつめているのだろうと。

アドニスの死際、流れた血からアネモネが生まれた説では、軍神マルスのけしかけた(変身したとも)聖獣である猪に殺される、とうことで猪が絡んでいます。
また誕生したときも、母であるミルラ(没薬)の木に猪がぶつかって、木のなかからアドニス爆誕!しています。
誕生と死に猪が関わり、奇しくも狩猟好きだったアドニスは猪を狩るものでもありました。

狩るものは狩られるもの。
つまりアドニスは猪と対なす、つがいのトンボだったのだろうと思います。
猪の象徴は、猪突猛進のほかにも子孫繁栄、山の恵み、多産、シシ神の化身などがあり、日本では狛猪(神使)として護王神社など多くの神社に祀られています。
三蔵法師に仕える猪八戒、北欧神話ヴァン神族の聖獣、ギリシャ神話の巨獣カリュドーンとして、その神聖さを神話や伝説のなかに垣間見ることもできます。
日本では猪の目をモチーフにした猪目いのめ模様を、神社や寺の建築物、刀のつばなどに見ることができます。魔除けのためと伝承されていますから、さぞかし強面こわもて模様なのかと思いきや、猪目はハート形のことで、猪も目だけは本性が隠しきれずアドニス成分が漏れでてしまったのかもしれません。

十二支はの刻である深夜0時(12か月では冬至)を境に、丑からはじまって亥でおわります。牛も猪(豚)も家畜化によってたくさん食される動物となりました。
つまりこの世界の始まりと終わりに座す、もとは巨大な母神体が分化された、地上に降り注いだものたちの成れの果て、と考えることができます。

アネモネの化身物語を占星学象徴にあてはめてみると
女神アフロディーテは「金星」
西風ゼピュロスは太陽の沈む「ディセンダント」
冥府の女王ペルセポネは「さそり座、8ハウス」
軍神マルスとその聖獣猪は「火星」

金星と火星「女性性と男性性」の分化(降下)によって、
さそり座、8ハウス「死の向こうがわ、異界」の門が開き。
ディセンダント「地上界のゴール、目的地」にタッチできる。

アネモネの花を地上降下ポイントの目印として、風の精霊たちに運ばれながら、天地をつなぐアフロディーテのきざはしが降りてくる。
軍神マルスは猪の血のなかに、きざはしをかけて降りているのではないかな、と。

「両性具有としての神格は男神と女神に分かれ、アフロディーテとアレスという神様キャラクターに分化し、植物の神であったアドニスを供儀として異界の門(日本でいうところの黄泉平坂よもつひらさか)を少しだけ開いて、西風ゼピュロスが分化したエッセンスを地表までおろし、女性性はアネモネとして顕現し、男性性は猪に顕現しました」

神話は集合無意識を形成する元型なので、地上にしかない(と思われる)成分の、復讐やら嫉妬やらを大げさに盛り込まず、この宇宙の仕組みや、魂の旅路を、教えてくれるようなものがたりが増えるといいなぁ、と切に願います。


キンポウゲのお座布団


アネモネと同じキンポウゲ科の花、フクジュソウ(福寿草)は日本に自生する春告草(福告げ草)のひとつです。

キンポウゲ科 福寿草 photolibrary

学名は Adonis ramosaと、アドニスの名をもっていますから、もしかするとキンポウゲ科の植物全体がアドニスの化身で、アフロディーテの降臨用お座布団になっているのかもしれません。

福寿草は縁起のよい植物として、元日草とも呼ばれます。
字面を見ていると、七福神の福禄寿ふくろくじゅ寿老人じゅろうじんをイメージしてしまいます。
南極老人星と呼ばれる恒星カノープス(りゅうこつ座アルファ星)の化身とされる神仙2柱。
眷属の鹿(シシ神)をおともにしていることや、アネモネの和名に紅花翁草べにばなおきなぐさとオキナの文字がついているあたり、なにかしらの関連がありそうだと好奇心がむくむく湧いてきます。

ちなみにキンポウゲ科の植物は、ウマノアシガタ、キツネノボタン、小さなカエルなど、好奇心をくすぐる名前をもつ種がいっぱいです。

きんぽうげ photolibrary
キンポウゲ科 リュウキンカ photolibrary
キンポウゲ科センニンソウ属 クレマチス

☆☆☆

お読みくださりありがとうございました。
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