【ハーブ天然ものがたり】エーデルワイス
銀の星
エーデルワイスは和名をセイヨウウスユキソウ（西洋薄雪草）といい、ヨーロッパアルプス地方に自生する、高度2000-2900mの石灰岩地をこのむキク科の高山植物です。
スイスの国花としてひろく知られているエーデルワイス
学名 Leontopodium alpinum は野生種が激減し、1900年初頭に採取禁止条例が発令されました。
現在では野生種のエーデルワイスは、かなり険しい場所でしかみられず「植物界のローレライ」という異名をもっているそうです。
エーデルワイスの起源を調べるているなかで、ヒマラヤ、シベリア原産地から約２万年前にアルプス地方に渡ってきたという記述には目を引かれました。
エーデルワイスは多種ありますが、ピレネー山脈からトルコの山岳地帯までに生育し、中央アジアの高山、シベリア、パミール高原、西ヒマラヤまで確認されています。
日本でも近種となる岩手のハヤチネウスユキソウ、礼文島のエゾウスユキソウなど、高木が育たない環境・森林限界線にウスユキソウ属が自生しています。
地球史において、およそ７万年前からはじまり１万年前に終了したとされる最終氷河期からしばらくのあいだ、エーデルワイスは地上のあちこちで咲き誇っていたのかもしれません。
星型の白い花のようにみえるのは変形した葉で、ほんとうの花は中央の黄色い部分です。
ほかの植物が根づくことのできない過酷な環境下で成長するため、寒さだけではなく、乾燥や強い紫外線から身を守るため肉厚で、こまかい綿毛におおわれています。
５枚の花弁をもつ花は多いですが、植物たちが表現する五芒星には
「地上のいのちは天空の星たちから、創造の光線を受けとるレセプターなんだよ」という秘密の記憶が隠されているような気がして、つい星の香気を想像してしまいます。
黄金比と72°
五角形は純粋な、いのちの可能性を、まもりつつ、遊びつつ、天衣無縫に天真爛漫に広げていくカタチと考えています。
五芒星のすべての線は、交差する線で１対１．６１８の黄金比率になります。
黄金比率
・縦横の長さが黄金比の長方形は、安定した美感を与える
・黄金比は名刺をはじめとする様々なカード類などに適用されている
・黄金比はパルテノン神殿やピラミッドといった歴史的建造物や美術品の中に見出すことができ、意図的に黄金比を意識して創作した芸術家も数多い
・自然界に存在する植物の葉脈や巻貝の断面図などは黄金比に近い
星々の叡智をうけとめ、天意と良知のまじわるエネルギーを純粋に表現している五角形、五芒星には、きっとみるだけで人を回復し、元気にする魔法がひそんでいるにちがいない。
そんな思いから、製品のロゴマークに、うっすらと五芒星が光る五角形を配しました。
占星学で出生図をつくるときに、五角形の内角７２°で結ばれるふたつの感受点をキンタイルと呼びますが、それは
「遊び性、夢や希望、自由と冒険心を存分に発揮すること」
という意味があります。
五芒星も五角形も、天意をそのまま地上で表現しようと花開く、とくべつなカタチなのだろうな、と考えています。
ライオンの小足
エーデルワイスの学名 Leontopodium は「ライオンの足」という意味なのですが、ライオンも１万年ほど前までは、ヒトについで地球上にひろく分布する大型の陸上哺乳類でした。
野生種は寿命こそみじかいけれど、むかしはひろく分布しており、近代において激減したので、ヒトの手によって飼育・繁殖されているという点がエーデルワイスと似ています。
エーデルワイスはヨーロッパ人に深く愛されてきた花です。
愛されたがゆえに、ニックネームもたくさん持っています。
・ウールの花
・小さなライオンの足
・氷河の星
・銀の星
・アルプスの永遠の花
のちに「高貴な白」を意味するエーデルワイスという名を、ドイツ語圏の植物学者たちがつかいはじめたことで定着します。
ヨーロッパの自生地では、古くから消化器と、呼吸器疾患の処方薬として民間療法で使用されてきました。
さらにほかの薬効にそった呼称
バウホヴェーブレーム（腹痛草）
ルールクロイテル（赤痢草）
ブルートゥンゲンクラウト（肺血草）
なども、記録にのこっています。
ヒマラヤ・シベリア原産とされるエーデルワイスは、ヨーロッパ人の心を深くつかみ、大局の思想を象徴するフラッグ・サインとして、または企業理念やブランディングのメイン・イメージとして、現在もひろく使用されています。
反対思想が台頭した時期もあったようで、1800年代後半には、トム・ソーヤの冒険などを著した、マーク・トウェインによって
「魅力的でもなく、白でもなく、ぼんやりとした花は、悪いシガーの灰のような色だ」「スイスの醜い人気者」
など、ひどく酷評されました。
それでも神秘的な背景や植生もあいまって、花の人気は高まるばかり。
美しい天使と出会った登山家が、叶わぬ恋心への救いをいのり、天使はその地にエーデルワイスの花をのこして天にもどった、とか。
男たるもの愛する女性のために、いのちがけで険しい山の岩壁をのぼり、エーデルワイスを摘んで、愛と勇気を示すのだ、とか。
エーデルワイスには魔法の力が宿っており、香として焚いた煙は、家畜を悪霊からまもり、とくに乳房炎を引きおこす霊をおいはらう、とか。
「小さなライオンの足」をまもるものはあとを絶たず、いまもエーデルワイスのすばらしさを語り継いでいます。
まもる者たち
獅子座のアルファ星レグルスは、ちょうどライオンの胸から前足あたりに輝く星です。
レグルスはラテン語で小さな王を意味します。
ギリシャ神話では悪役象徴だったネメアの獅子も、もっともっと昔には地上を広くおさめる王様だったのかもしれません。
日本の狛犬の起源はペルシャ、インドにおける獅子をかたどった像、という説があります。
古代エジプトやメソポタミアでも、神域をまもる場所にはライオンの像がおかれ、太陽神ラーの左目から誕生したとされるセクメト、バステト神はライオンの頭をもつ女神たちです。
古代オリエントでは、聖なるもの、神や王位の守護神をライオンとしており、スフィンクスもその流れといわれています。
時代の変遷とともに英雄や王権は変わってゆき、前時代の王は地上の栄華を譲るとなぜか貶められるという構図は、この地球史特有の常套プロットなんでしょうか…？
徹底的に、みすぼらしいほどに貶めないと、神々しさが隠しきれないと？
日本でシシ神様というと、イノシシや大鹿も含めてシシ神です。
猪鹿蝶のちょうちょには牡丹の花が描かれ、百花の王・牡丹は、百獣の王・ライオンの比喩のようにも思えます。
日本の古語でシシは「宍」であり「肉」のことでもあります。
シシは動物肉でおもに鹿と猪のこと、つまり小さな王たちは狩りの対象、食肉動物の位置にまで貶められてしまいました。
日本は秋津国（あきつはトンボの古語）、トンボの国とうたわれた神武天皇のことばには、トンボはたがいの尻尾を噛んで、対なるものが、やがて番になる、という意味があるのだと思っています。
相「対」するものは、たがいの役割を順「番」に入れ替えて、輪廻する、と。
守るものは守られるものになり
狩るものは狩られるものになる。
秋津国（日本）は世界の縮図、ひな形という説もありますから、この地球世界のことを詠んだ歌なのかもしれません。
エーデルワイスもシシたちも、地上で栄華を極めたり：影を潜めたり、まもったり：まもられたりしながら、星から降りてくる運命の糸車を、まわし続けているのかもしれません。
＊当ブログで紹介している植物の一般的な性質は化粧品の効能を示したものではありません。
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お読みくださりありがとうございました。
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