【ハーブ天然ものがたり】さとうきび
光をエネルギーに変える達人
植物は太陽の光をうけとり、デンプンや糖を作り身の内に貯めています。
植物にとってデンプン・糖はいのちを維持するためのエネルギーです。
さとうきびは二酸化炭素を濃縮貯蔵する得意技をもっているので、一般の植物に比べると光合成力が強く、糖をたくさん合成することができます。
高温で日差しの強い熱帯・亜熱帯の環境だからこそ、獲得することができた進化プロセス、植物の叡智です。
光合成は太陽の光を生体エネルギーに変換する御業。
地球上では植物がその役割を担っています。
空気中から二酸化炭素をとりこみ、有機化合物に変えて、酸素を吐きだす。
人や動物は酸素を吸って食べ物からエネルギーを得るので、光合成にいのちの成長と維持をお任せしています。
科学が発達した現代においても、植物ほどの効率よい光合成の仕組みを人工的に実現することはできないそうです。
さとうきびからつくられるお砂糖は人の脳に欠かせない栄養素です。
お砂糖は糖質のなかでも即効性があり、お米やパンより吸収が早く、小腸で消化されると数10秒後にはブドウ糖に変身して血中にあらわれるといわれます。
極端な絶食をした場合には脂肪酸からできるケトン体も脳で使われる栄養素になりますが、それでも3割は脳エネルギー源としてブドウ糖が使われているそうです。
「甘味」「香り」は使いよう
甘味によってドーパミンが放出されることは、いまや周知のこととなりました。
それゆえ中毒性があるとされ、甘いものはよくないとレッテルを貼られるようにもなりました。
甘味に限らず、なんであろうと「過ぎたるは及ばざるがごとし」
速攻でやる気スイッチを入れたいときには、甘いものも助けになりますし、合理化マニュアル化という時代背景にのみこまれて、コミュニティ内がギスギスしているとき、小さな栗羊羹を配るだけで場の気配がふわっと優しく変化することもあります。
はじめての食べものを口にするときも、人はドーパミンを放出すると聞いたことがあります。
一品の居酒屋メニューを頂く経緯を、壮大な冒険譚のように表現する物語に共感できるのも、体内で狂喜乱舞するホルモンの感覚を思い出すからでしょうか。
3日間で減食、3日間断食、3日かけて復食のファースティングを数回やったことがあるのですが、復食のときの最初の甘味は根菜、ナッツ、フルーツなどの自然な甘味です。
ファースティング中は、最初の甘味が楽しみだなぁと思っているので、すでに脳の報酬系機能がスタンバっているのも大きいと思いますが、復食時の自然甘味は大変インパクトがあり、ドーパミン放出「快感覚」は手に取るようにわかります。
食べ物によってどんなふうに身体や脳機能がやる気スイッチONになるのか、また快感を受けとる経過感覚を、意識的に見る貴重な体験になりました。
食事以外でドーパミンを放出させるといわれている一般的なものに、アロマテラピーがあります。
精油においてドーパミン放出するとされているのはミントです。
ミントの香りによって交感神経が優位になり、モチベーションがアップして、頭脳明晰作用につながる、と。
そのバランスをとるのは副交感神経優位のセロトニンで、一般的にはラベンダーの香り作用がセロトニン分泌を助けるといわれています。
余談ですが好きな音楽が流れると、フトモモをぱしぱし叩いてリズムに乗るクセがあります。
整体師の方にその話をしたとき「フトモモへの刺激はドーパミン放出につながる」と聞いて、体感的に納得してしまったことがあります。
腰をぱしぱし叩かれて喜ぶ猫も同じでしょうか…?
さとうきびの歴史
さとうきび(砂糖黍)は、学名:Saccharum officinarum
イネ科サトウキビ属の植物です。
学名は「薬局の砂糖」を意味することばで、カナリア諸島(スペイン領)など、15世紀のヨーロッパで薬局が砂糖を薬として扱っていたことに由来します。
さとうきびの起源を調べると、BC8000年頃に東南アジアに生育していた、またニューギニアやその近くの島々で栽培がはじまったなど諸説あります。
BC400年アレクサンダー大王のインド遠征録には、さとうきびの栽培方法が記されているそうです。
インドから精糖が広がり、現代では世界中の熱帯、亜熱帯地域で広く栽培されています。
さとうきびには茎の内部に糖分を含んだ髄といわれる部分があります。
最近見かけなくなりましたが、20年ほどまえの沖縄では、刈り取った茎をそのまま売っている売店など珍しくありませんでした。
たしか1本50円とか100円くらいで、外側の固い皮をむいて、繊維状の茎をそのまま舐めたり齧ったりしながら商店街をぶらぶら歩くのが楽しみでもありました。
繊維に浸みている甘い汁(砂糖成分のショ糖)をひと舐めすると、たちどころに元気になり、頭に栄養がいきわたり、シャキンとする、そんなダイレクトな体験が面白くて、よく買い求めていました。
少し田舎に行くと、さとうきび畑もあちこちでみかけます。
もちろん時期にもよりますが、人の背丈を優に超えているさとうきびの群生は圧巻です。
葉はトウモロコシのような、幅広で美しい稜線を描いており、大きく成長したさとうきび畑を散歩した時には、風にゆれる様を「ざわわ」と表現した人の解像度の高さに感服、南国の気配をまるごと籠めて「ざわわ」なんだなぁと感じました。たぶん北海道に似たような風景があっても「ざわわ」ではないんだろうなぁと。
秋には茎の先端から穂が出てきて、いかにもイネ科らしくなります。
産業としてのさとうきび
さとうきび1本の重さはおよそ1kg
1本からとれるお砂糖は約120g(標準値)だそうです。
スーパーで売っている1kgのお砂糖は、およそ8本のさとうきびで作られているということですね。
砂糖が日本に伝わった記録でいちばん古いものは、8世紀の奈良時代、中国から伝わったといわれています。
当時は大変な貴重品で、ごく一部の上流階級が食用ではなく薬用で使うシロモノでした。
16世紀には大陸貿易が盛んになり、砂糖の輸入も増加します。
ポルトガル人が種子島に上陸、カステラやコンペイトウなどの南蛮菓子が入ってきて、生糸、絹織物、綿織物に次ぐ重要輸入品だったそうです。
信長と秀吉の時代、鉄砲とキリスト教の流入は、日本国がはじめて食べたものとして集合意識はドーパミンで沸いたことでしょう。
南蛮菓子と茶の湯も一部武家社会と文化人を熱中させ、茶の湯とともに和菓子が発達してゆきます。
江戸時代に入ると幕府は国内産糖を奨励し、少しづつ庶民の口にもお砂糖が入るようになります。
甘くて辛い、江戸前の濃い味が生まれたのも、この時代のお砂糖ブームによるものでしょうか。
明治時代には近代的製糖技術によって一般家庭にも砂糖が普及するようになります。
さとうきびは石油などの化石燃料に替わるエネルギー原料としても期待が高まっています。
工場を動かすために必要な電力を「バガス」と呼ばれるさとうきびの搾りかすを燃料として発電している製糖工場もあるそうで、バガスは燃料以外にも、家畜の飼料、肥料として使われるそうです。
そしてさとうきびからは、化粧品用・健康食品用の「スクワラン」を生成することができます。
スクワレン・スクワラン
スクワレンは不飽和脂肪酸の一種で、植物オイルの成分とおなじく人のからだに必要な脂肪酸のことです。
体内にある水を還元して水素を取り込み、酸素を発生させる性質があります。
発生した酸素は血液によってからだ中をめぐり、酸素が不足している細胞に酸素を補給します。
酸素を受けとると細胞は元気を取りもどして、新陳代謝も活発になります。
スクワレンが「酸素の運び屋」と呼ばれる所以です。
もともとスクワレンは人の体内で生成される油性物質でもあり、皮膚、リンパ節、骨髄などに多く存在しています。
スクワレンは皮膚細胞への湿潤性・浸透性に優れていることから、外用としてはもちろん、内服することで炎症などを起こしている粘膜にも働きかけるといわれており、昨今、化粧品のみならずサプリメントも多く出回るようになりました。
スクワランは、スクワレンをスキンケア用に安定化させたものです。
人の肌表面にある皮脂膜をつくっている成分と似ていることから、保湿成分として注目を集めています。
シュガースクワラン
サトウキビを発酵して作るスクワランは、ほかの植物オイルと比べると粘性が低く、さらっとした使い心地です。
無色透明で酸化しにくいのも特徴の一つです。
天然由来の保湿剤、エモリエント作用の高い成分として、近年ますます注目度が高まっています。
人間の体内で作られるスクワランと同質で、皮膚への親和性が高く、皮脂膜を作って、空気中の汚れや雑菌、紫外線などから肌を守るShieldのようなはたらきが期待されます。
もちろん皮脂膜と同じで、肌の潤いが逃げないよう保護するはたらきも。
*当ブログで紹介している植物の一般的な性質は化粧品の効能を示したものではありません。
当社製品Shield72°のクレンジングオイルは
鉱物油・ミネラルオイルを一切使用せず
植物・ハーブオイル100%配合となっています。
しっとりホワイト クレンジングオイル と
さっぱりブラック クレンジングオイル には
さとうきび原料のスクワランをエモリエント目的で配合しています。
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お読みくださりありがとうございました。
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