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HANA-BI
2016年9月9日 09:32
その夜の雨ったらなかった。もし空が一つの大きな器だとしたら、それをひっくり返して中に入った水を全部ぶちまけたような、そんなひどい雨。今日のためにと新調した真っ白のワンピースも、バーゲンで買ったブランド物のバッグも、わざわざ美容院に行って整えた髪の毛も。私を纏うすべてのものが一緒に泣いているのではないかと思うくらい、その濡れ方は凄まじかった。ガックリと肩を落とし、全く止む気配のない豪雨の中を
2016年9月8日 09:03
「えーーーーー、国際結婚!?」エミコが突然大声を出し、隣に座っているカップル客が二人揃って怪訝な顔を向けた。エミコは酒が入ると声が大きくなりすぎるきらいがある。社会人になってもそのクセは全く抜けていないようだ。周囲への迷惑に気づいていないエミコに代わり、向かいに座っているサナが隣に軽く会釈をし、詫びの姿勢を見せた。「しーーっ」サナは自分の唇に人差し指を当てエミコに注意するものの、当の本人は
2016年9月7日 07:42
歳を重ねただけ、思い出の数は増える。楽しい思い出もあれば、なかには、許しがたい思い出も。先日読んでいた記事に、「許せない気持ちを持っている人は病気になる」とあった。真偽のほどはさておき、病は気から。確かに昔から言われている。でも本当に許しがたい出来事に遭遇した時、どうしたら良いのだろう。病も覚悟の上で、憎むか耐えるかを続けるしかないのだろうか。日曜日の昼下がり。ヨーコはベランダで、