指導医とある

physician scientistです。臨床にも再現性を求めて私の頭の中を公開しています。

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最近の記事

69歳女性 ”痰に血が混じる”

1週間前から咳嗽あり、前日から痰に筋状の血液が混じるために受診した。 意識清明、BP 141/100, P71, BT 36.1, Sat 99%, 頻呼吸はありません。 既往歴:顔面神経麻痺、大腸がん術後(10年前と局所再発に対して7年前)、胆嚢摘出後 処方薬:骨粗しょう症薬。それ以外なし。 アレルギーなし 生活歴 夫と二人暮らしで夫も一週間前から咳嗽と鼻汁あり。 咳嗽時の痰に血が混じるとのことであり、主訴は喀血で良さそうです。 嘔吐時に伴うわけではなく、吐血ではなさ

    • 56歳女性 "血圧が高い"

      受診の一時間半前にふわっとした感じがあったので血圧を測定したところ160mmHgあり、心配になって救急外来を受診した。 既往歴:高血圧症 処方薬:循環器内科よりカルベジロール。健康食品サプリメントなし。 アレルギー歴:なし 意識清明、BP185/110mmHg、P80、SpO2 99%、RR18、体温36.9℃ これってよく出くわす状況です。このような症例には、 ①こわい病気がないこと ②血圧が高いことで問題が起こっていないこと を患者さんに示すことが重要です。 ①に

      • 70歳代女性 発熱

        今朝はなんともなかった。 午後になりは熱と鼻汁を認めたために、同日夜8時に救急外来を受診した。 意識清明、BP126/79、P117reg、SpO2 95%(RA)、BT39.8℃ 頻呼吸はなく、general appearanceは良好なようです。 既往歴は脂質異常症と慢性中耳炎、鼻炎。 手術歴はなし。 処方薬はミノサイクリン、モンテルカスト、ベタメタゾン-クロルフェニラミン(少なくとも3週間以上前から内服)、アトルバスタチン、エゼチミブ。 アレルギーなし。 社会歴はA

        • ”重症度”の判定

          診断名を付けた場合は、その重症度を評価することが重要である。重症度により治療介入の方法やスピードが異なるためである。重症度判定は各疾患の重症度分類に基づいて行うが、ここではその概要を示す。 SOFAスコアの2点に基づいて、「肝、心、脾、肺、腎の五臓と中枢神経の6項目をについて、『1、2、3』と記憶する」ことがポイントである。 重症度の判断基準となるカットオフ値は以下の通り: 肝:ビリルビンが2以上 心:循環作動薬の使用が必要 脾:血小板数が10万未満 肺:P/F比が

          60歳代女性 腹痛、発熱

          意識清明、血圧133/83、脈80、SpO2 98%、呼吸数24、体温36.8 一昨日は特に症状なし。昨日から右足を挙げたときに腹痛があることを自覚した。本日になり37℃後半の発熱も出現したために受診した。 既往歴はサルコイドーシス、脂質異常症、骨粗鬆症、緑内障。 処方薬は、ビスホスホネート、スタチン、ステロイド5mg、PPI。点眼で緑内障薬。 手術歴は左卵巣腫瘍、2-3年前。 ADL自立。アレルギーなし。 やや頻呼吸があるものの、バイタルは維持されています。第一印象は感染

          60歳代女性 腹痛、発熱

          診断のテクニック

          診断学の方法論は、医師ごとに異なるアプローチに収束します。ここでは、私自身がたどり着いた診断の方法論を紹介します。 まずは、System 1を用いて直感的に診断を行います。これは、集団における検査前確率の高い疾患や、特徴的な病歴、身体所見に基づいて診断を進めるものです。このプロセスでは、その医療環境における経験が非常に重要です。直感的に最も適した疾患を候補に挙げますが、その診断に固執することは避けるべきです。第一候補が正しい可能性が高いとはいえ、他の選択肢も慎重に考慮する必

          診断のテクニック

          指導医とあるの診断学

          本診断学の特徴は、内科のサブスペシャリティを有するか否かに関係なく、幅広い総合診療医向けに設計されている点です。筆者は麻酔科の専門医であり、内科認定医でもあります。これは、内科医として特定の専門分野を持たないことを意味しますが、それが診断学を考察し、研修医に指導する際のデメリットにはなりません。むしろ、これは研修医にとっても利点です。 その理由の一つとして、診断が偏らないという点が挙げられます。専門領域を持つ総合内科医は、時に自分の専門分野に偏った診断をしがちです。しかし、

          指導医とあるの診断学

          50歳台女性 動悸

          2-3か月前から動悸を自覚するようになった。普段ならやすんでいれば軽快する動悸が、今日は2時間以上持続するために当院受診となった。 意識清明、血圧128/85、脈拍110整、体温36.7、体温36.7℃、SpO2 98%。 既往歴:脂質異常症、メニエール病、腰椎椎間板ヘルニア、うつ病、パニック発作。 手術歴:直腸癌術後(2年前) 処方薬:ロスバスタチン、ビタミン製剤、ジフェニドール、ジフェンヒドラミン アレルギー歴:なし 参考動画:https://youtu.be/Z-U

          50歳台女性 動悸