白い手と白い顔を持つ者 狂乱者 自己を欠いている奴 死して尚英雄 訪れる者 快楽主義者と偽善者 道化師 黒い烏の子供達 全てが集う沈黙の墓場 影は私を其処へ誘った そして彼は言う 「今こそ安らぎを」 遠回りもしたし 歩き方も変えた 迷ったこともあった だけど、今悟った 行き着くところは 皆、同じ 影は言う 「今こそ、その名を記せ」 私にそんな価値が あるのだろうか 名も無き墓は 誰の物だろうか あのとき去っていった あいつの物? 起きてみると すでに朝だった 影はも
ある朝 全てを 諦め 爛れた 皮膚のまま 全てを 消し去ろうとした ある朝 頭の中に どす黒い 影が 住み着いていた 体の自由が 効かなかった お前は誰なんだ? 爛れた 皮膚を 引きずって 歩こうと 決めたのに それを拒もうと 意識の 最下層から 支配しようと 現れた お前は どこから 来たのか? あの忘却の 地から 来たのか? これで終わりだ
全てが壊れ去った日 爛れた人の波の中 帰るべき場所はあった 常識という名の世界が その世界に住む者は皆 同じ顔をしている 少なくとも自分にはそう見えた だけど鏡の中の自分も 同じ顔だった 辿り着く場所は同じ 魂の無い墓場 自分を刻むことを 拒む者たちの群れ どんな困難にぶつかっても 帰るべき場所はある 帰る勇気はないけど 進む勇気もない 落ちているものでも 拾っていこうか 荒れ果てた故郷の教会 毎日のように聞こえる 祈りの声 虚栄心という名の かつての荒くれ者が
歩き疲れて 止まったこともあった このまま止めてしまおうともした そのたびに自分を誤魔化して 軌道修正 けど最近分かったんだ 安らかなる地なんて 何処にもないんだって 物心ついたときから それは分かっていたはず それでも自分を誤魔化すしかなかった だってそうだろう? 目指すものがなければ 人間なんて 畜生と同じなんだから 前まではよく思っていたよ 奴らは諦めたんだって 忘れてしまったんだって なんて無様な連中だと思ったけど 自分は気づくのが遅すぎただけだった これから
ある朝起きてみると 一人には もう慣れているはずなのに 嫌に寒気がする 暗闇の天使が頭をよぎる まだ朝だというのに 自分の存在意味を問いかけ 囁いてくる もうとっくに忘れていたはずなのに いつからそうなったのか 昔は皆が輝いていた 無謀ともいえる賭けにも 勝てる気がしていた 忘れているのか 誤魔化しているだけなのか 自分には分からない 分からないけど 自分は誤魔化している 安らかなる地よ もう惑わさないで 諦めてなんかいない ちょっと休んでるんだ 歩き疲れたから
気がつくと一人だった もう何人もの人間が 入れ替わり僕とともに 目指していたんだ 安からなる地へ また一人 闇の獣に連れ去られる 二度と彼は戻ることはないだろう 彼が望んだことなのだから 若き日に 誰しもが夢見た地 全てにおいて満ち溢れ 限りない安らぎが得られる 伝説の国 しかし全てを拒み続ける それでも僕は見たかった チカヅキタカッタ 歳を取り人は 伝説を頭の隅へと追いやる そして僕らを 愚か者扱いするんだ 一人 また一人と消えていく 恐怖に脅え現実が襲いかかる
俺の両手は縛り付けられ 牽引車に引かれ 手首から血が滴り落ちる・・ 蟠りを捨てる場所を 見つけ出そうとしている お前は何も変わっていなかった 現実を直視しない 何かをするのは俺しかいなかった 求められたのではない 勝手に動いている 絡繰人形になってしまった 悲劇のヒーロー 何も分かっていない 真実を知らない犯罪者 何も分かっていない 蟻の大群 何も分かっていない 俺の両手は縛り付けられ 牽引車に引かれ 手首から血が滴り落ちる 混乱の毎日は 始まったばかり 神にでも相談
自己の存在価値 自己の存在理由 自己を振り返り 述べてみよ 偽りの精神 自己を偽ることを 神に誓い この世に生まれたることを 後悔す 自己の存在のみが現実 偽りを現実に戻し 後悔す 現実とは 偽りの自己なり 汝を見つめてみよ うちなる物の怪は 欲望と自尊心なり 現実とは程遠い 精神こそが偽り 存在こそが現実 物の怪は現実に喰いつき 偽りの存在を作り出す 汝は 現実と虚偽の狭間に生きる 物の怪なり 述べてみよ 偽りの存在価値を 偽りの存在理由を 偽りの自己を 心
遥かなる谷 偉大なる骸の嘆きと 死者を憐れむ声が 絶え間なく続く 無神論者の墓 死体は未だに 自らの魂の存在を 信じ続ける ここから逃げ出したんだ 真実を探すために 逃げ切れたはずなのに 孤独の素晴らしさを 実感できると思ったのに 自分一人じゃないんだ 沈黙の処刑場 神さえも その罪深さにより 処刑される 永遠の土手 偽りの自己は首を切られ 永遠にこの土手を 転がり続ける ここから逃げ出そうとした 自分こそ正義と思ったから 骸の広がる大地の向こう そこに立つのは誰
星が瞬く空の下 感情無き光の列の中 今日も誰かが 別人に 鏡の中自分 意識下の自分 ここにいるのは 誰なんだ 大いなるスクリーンの向こう そこにのみ人情がある こんな世の中だから 向こう側に憧れる 好きなだけ変えてみろよ やがてそこにいるのは自分じゃない 自分以外の誰かに 見えるだけ 俺は 誰になろうとしている? 昨日鏡を叩き壊してやった だってひどいんだよ あいつはウソつきなんだから あそこにいるのは僕じゃあない ボクがいるのは ムコウガワ 俺は誰になろうとして
死にゆく若者 生きることの意味を知らず 死にゆく若者 大海を知らず 長い道を歩いてきた だけど後ろを振り返れば 出発点がすぐそこに見える ゴールは目の前だと言うのに 向こうに見えるのは光だろうか それとも己の墓を照らす輝きだろうか ただ歩いてきた 自然に身を任せながら あの高貴なる光に向かって ただ何もせず 今となっては 過去を振り返りはしない だけど未来を考えるのも愚かしい 今まで何をしてきたんだろう 悩むために生きているのだろうか 罵るために生きているのだろうか
地面を叩きつける雨 理想をも破壊するかの如く 隣を見たって誰もいない 後ろの足跡は水に流され消えゆくのみ 誰かの呼び声で足を止める 誰もいるわけがないのに けど気のせいなんかじゃない 自分で自分を呼んだんだ 寂しさを紛らわすために 何を期待していたの? 近付いても振り返りはしない 永遠の亡霊 雨は止まない 傘をさすゆとりもない 気がついたら ずぶ濡れで走っていた あても無く 誰が呼んでも振り返らない 振り返っても 誰もいないことが 分かっているから 誰を待っている
素顔に刻まれた 幾多もの罪状 明日を見たいと思わないが 昨日という日を消し去りたい 全てを消し去る炎があるのなら 我が身を消し去りたい 奴と共に泣いたが 何も悲しくなかった 奴と共に笑ったが 何も楽しくなかった 全ての人を石像と化したかった 全ての人を我が手中に入れたかった そして気に食わないものを 破壊したかった 空想で全ては事足りた 夢も殺人もセックスも 頭の中の存在は罪の重さで 大昔に地獄へ落ちたはず 生きているだけで 罪は増えゆく 夢など無に等しい 愛など
眼の前の赤い糸 何処へ繋がっているのか 進めば進むほど切れかかる ひと思いに切ってしまいたくなる 修道者が語り出す 奴は何を悟ったのか 一本の糸だと思うのなら それは大きな間違い やつもただの大道芸人 蜘蛛が導く糸 最初は太く 最後は細く そして切れる 友情 人生 愛 永遠などという言葉 誰が作ったのか こんな意味のない言葉を こんなものがあるから 人は悩み打ちひしがれる 血が流れ この心の臓が破けるまで 無数の糸が 心の中に張り巡らされる 雨風に晒され 蜘蛛
自殺願望を持つ男がいた 死にたいと常に思っているらしいが 思ったほど他の奴が気にしないので 死ぬのをやめたらしい 恥知らずな奴だ 奴は決して自分を見ない 己を見極めることができない 他人を見極め 自分の存在を忘れる 死を栄光とも考える 奇跡を信じる男がいた 何もせず待っているような奴である それでいて自尊心だけは人一倍 努力という言葉が嫌いなのに 自分を知らないやつだ 奴は決して自分を見ない 見るのが怖いだけ 想像上の自分だけが強くなる一方で 現実の存在を忘れる 己が万
愛は自分勝手を生んだ 愛は自尊心を生んだ 愛は憎しみを生んだ 愛は神を創り上げた 情けを掛け合いながら生きてきた 疑念を抱きながら生きてきた 憎しみ合いながら生きてきた 心の中に埋もれていた 情けは自分勝手を呼んだ 情けは自尊心を呼んだ 情けは憎しみを呼んだ 情けは神を創り上げた 感情を押し殺して生きてきた 笑って誤魔化して生きてきた 憎しみ合いながら生きてきた もう限界だ 人間崩壊 感情なき殺人者 無言で相手を死に至らしめる 最悪の快楽主義者 何も関わってはいけな