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私立文系大学生が物理独学に使った教科書・問題集とそのペース(力学/電磁気学/熱力学/物理数学)
はじめに
ネット上で名著と言われている教科書を使ってただけなので目新しいものはないと思いますが、まとめます。あくまで一個人が独学するのに使った本のまとめとしてご覧ください。記憶に残っているものだけ集めましたが、他にもいろんなサイト等参照してたと思います。
編入学用に勉強した内容はこちら。
力学分野
力学(三訂版)
大学1年生の夏休みに取り組んだ。扱っている範囲が広くてとても良い教科書だけど、めちゃくちゃむずい。振り子の楕円積分のところや剛体の慣性楕円体あたりなど何度も挫折して力学が嫌いになった。過去に戻れるなら「初学者が原島力学はやめとけ」と言いたい。でも保存力の概念や座標変換など古典物理学の基礎事項はこの教科書から教わった。
考える力学
原島力学で挫折した自分を救ってくれた救世主。最初からこれで勉強すれば良かった。めちゃくちゃわかりやすくて物理に興味ある高校生にも勧めたいくらい。この本を読んでようやく問題が解けるようになった。ただし原島力学に比べると範囲が狭い。これだけで初等力学範囲を終えるには物足りない。大学1年生の9月ごろに勉強した。
演習力学 ((セミナーライブラリ物理学 (2)))
大学1年生の秋学期にSFCの有志でゼミを開いた時に使った演習書。難易度は低め、問題数少なめ、それでいて基礎事項を抑えているので教科書を読み終えた後の最初の演習書としては良いと思う。1週間1章のペースで分担して解いて、秋学期終わりにちょうど終了した。
電磁気学分野
電磁気学 (物理テキストシリーズ 4)
電磁気に必要なベクトル解析の解説も入っていて初学者にはとてもありがたい教科書。全体を通してわかりやすく、言葉がよく選ばれているなという印象を持っている。特に分極ベクトルのシートの比喩は誘電体をイメージするのに非常に役立った。また、電磁気の歴史についても触れていたり、「マクスウェル方程式に含まれるこの初期条件は神が宇宙開闢の時刻に決めたのだ」と時々頭がおかしくなるところとか大好き。大学1年の秋学期を通じて力学演習と並行して勉強してた。
電磁気学演習 (物理テキストシリーズ 5)
先ほどの砂川電磁気と合わせて読みたい演習本。補足する感じなので是非やるべき。砂川電磁気が終わった際に購入したけど、1章だけやって力尽きた。何が難しいかというと数学のレベルが上がっており、行間を読み進めるのがしんどい。2年の後期に一部リベンジした。編入試験でもこの本のレベルの問題は出題されないので、似たような問題が別の問題集で出た際に参照する程度に留めておいた。個人的にはベクトルポテンシャルの物理的意味がわかったときは感動した。
熱力学分野
熱力学―現代的な視点から
某教育系Youtuberがお勧めしてた。
第1章から著者の熱がすごい。大まかに要請と結果の構造になっており、熱力学が完成された学問であることを感じさせてくれる。細かいことはよく分からずに読み進めていたが「普遍性」を連呼されることで熱力学に並々ならぬ興味を持った。1年生の春休みに読んだ。
熱力学
田崎熱力を読んでいても情けないことに問題が解けなかったので、3年の8月始め(熱力学の演習をしていた頃)に3日で読んだ。短い期間で読めたのはあらかじめ田崎を読んでたからだと思う。内容は標準的な教科書で、演習と同じ進み方なので問題が解けるようになった。包括的な理解をするためにまずは1ステップずつ演習していくしかないと思う。
フェルミ熱力学
クラウジウスの不等式の証明が読んだ中で一番わかりやすかった。三宅熱力を読む際に副読書として使った。
物理数学
微分積分 (理工系の数学入門コース 1)
東京出版の系統は読みきれる気がしなかったので、自分はこの理工系の数学入門シリーズを重宝した。物理に必要なちょうど良い分量なのでお勧め。1年の春学期に勉強した。
常微分方程式 (理工系の数学入門コース 4)
原島力学を読んで微分方程式を立てられるようになったけど、解けなかったのでこれで勉強した。1年の夏頃。
ベクトル解析 (理工系の数学入門コース 3)
電磁気学を始める前に取り組んだ。1年の秋頃。
線形代数[改訂版]
友人に勧められて購入した。ジョルダン標準系で挫折して放置したような。。。結局理工学部の授業で取って使えるようになった。
物理数学の直観的方法
ストークスの定理の理解にめちゃくちゃ助けられた。電磁気学やってたときに読んだ。
最後に
まとめてて思ったんですが、一回で読み切れた本が一冊もないですね(笑)。どの本もどこかで挫折してしばらく経ってから読み返して徐々に理解を深めていったものばかりです。特に編入試験前に「問題を解く」という明確な目標を持ってから教科書を見返したときは、確実に見方が変わりました。
独学で理工書を読み進める際は「一回で理解できると思わない」「問題が解けるようになることを意識する」ようにすると良いのかもしれません。