定年教師の独り言 vol.7 「初めてのクレーム」の巻
noteに出会って3ヶ月。書くのも楽しいが、やはり「読む」ことで刺激を受ける。学校から離れると宣言してnoteを始めたのに、気づけば「学校」「先生」などのkey wordで読んでしまっている。染みついたものはそうそう抜けないということか…。開き直って今回は、教師だった頃の思い出話を…
これがクレームか…
紆余屈折あってようやく教師となった頃、2年続けて中学年を受け持った。その間、夢中で走っていたからか余裕がなく気づかなかっただけなのか、所謂「クレーム」を受けた自覚がなかった。
冬。ある男児の母親から「息子に長ズボンを履かせたい」と相談を受けた。30数年前の話だ。当時勤務していた地域では、冬でも半ズボン・スカートが定番で「よいこのきまり」にも謳ってあった。「体を鍛える」というのが主眼で、もちろん体調に応じての調整は可。そう説明したところ、返ってきた言葉が当時の自分には衝撃だった。
「先生は長ズボン履いてるじゃないですか」
えっ?一瞬、ぽかんとした顔をしただろう。間髪入れず二の矢が飛んで来た。
「自分は長ズボンを履いておきながら、子どもにだけ禁止するのはおかしい!」
今なら冷静に反駁できるだろうが、当時の自分にはまだ無理だった。「…と言われましても…」「決まりですから…」と答えるのが精一杯。当然相手が納得するはずはなく
「大人のあなたには、子どもの気持ちはわからない!」
と言い返されてしまう。
「私も昔子どもでしたから、子どもの気持ちはわかるつもりです。私もずっと半ズボンでしたよ。」と、しどろもどろ押し戻したところ
「じゃあ、子どものいないあなたには、親の気持ちは理解できないんですね!」
と、吐き捨てられてしまった。今考えれば、あれが教師人生初のクレーム
今となっては…です
だいたい、服装や髪型を学校が決めることなんて今やNG。そんなことで親と攻防を繰り広げていたのだから、今となっては「何の時間?」
その後「クレーム担当窓口」に任命されて、数々のクレームを受けるようになると、これくらいは何でもない気もするほどの罵詈雑言も浴びてきた。ただ、その経験のおかげで、所謂「クレーマー」や「モンペ」と言われる方との距離感が何となく掴めてきた。向こうにも、そう言わなければ納得できない理由があるかもしれないのだ。最初っから構えず、まずは傾聴。そこから始めることで、少しでも相手の勢いを削ぐことが可能になる。若い先生たちに、この経験から得たことを伝えるnoteを、いつか書くことができればと思う。
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