定年教師@城田

元小学校教員。教員不足のご時世、周囲が再任用などで現場に残る中、わがままにも2023年3月で37年勤めた学校を定年退職。この後の人生で、どれだけ自分のために時間を使って幸福感を味わえるかに挑戦することに。それから、時々は「教育」や「学校」を、離れた立場で見直してみたいです。

定年教師@城田

元小学校教員。教員不足のご時世、周囲が再任用などで現場に残る中、わがままにも2023年3月で37年勤めた学校を定年退職。この後の人生で、どれだけ自分のために時間を使って幸福感を味わえるかに挑戦することに。それから、時々は「教育」や「学校」を、離れた立場で見直してみたいです。

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定年教師の独り言vol.1「子どものため」は魔法の言葉?悪魔の囁き?

 37年間勤めた学校を定年で辞めた。教員不足のこのご時世、多くの同期が再任用教員として現場に残る中、わがままな辞め方をした。  定年で辞めることは、数年前から決めていた。自分の年代は65歳からしか年金は出ないので、全く働かないわけにはいかない。それでも、「学校」には残らないと決めた。  現役中は、全力で職に向き合った自負はある。夜であっても土日であっても、「子どものため」とあれば懸命に対応をした。学校で朝を迎えたことも何度かある。そのこと自体に悔いはないのだが、少しずつ違

    • 定年教師の独り言 Vol.17 四国一周車旅

       教師を辞めて1年半が経った。現役時代と大きく違うところといえば、土日祝も休みでないことと長期休業日がないこと。それでも、嘱託職員の自分にも5日間の夏季休暇があるという。妻と休みを合わせて、車旅に出ることにした。  行きたいところを尋ねると「四国」という。これまで本格的に巡ったことがないそうだ。自分は大学時代を四国で過ごしたのでお腹いっぱいなのだが、ここは彼女の願いを優先することにした。具体的には 1 大好きな小田和正さんが登った金比羅さんに行きたい 2 香川のうどんを食べ

      • 定年教師の独り言 Vol.16 「すっかり小さくなった母の話をしよう」

         戦時中に生を受け、17歳で結婚。姑の介護と3人の子育てをしながら父を支えた母。体は小さいが意地者で、弱音らしき言葉を聞いたことがない。もともと社交的で明るく友人も多い。地域や学校の役員をよく引き受ける人だった。  自分は、といえば、小・中・高とよくトラブルを起こすタイプで、母はその度に学校に呼び出されたり、菓子折りを持って同級生宅に頭を下げて回ったり。(記憶にある限り、父がその役目を負ったことは一度もない)  そんな母が、意外な一面を見せたことが、二度だけある。 意外

        • 定年教師の独り言 Vol.15 「初盆」

          少しタイミングを逸してしまったが… 父の初盆を無事終えた。 喪主は母なのだが、高齢なこともあって、全てを息子に丸投げしてくる。はなからわかっていたことで、それはどうでもいいことだが、経験のないことだらけ。疲れ果てた… お盆の風習は、各地様々なことだろう。自分の住む地域は、独特の初盆の風習があり、その準備に追われた。 それだけではない。盆が近づくと、多くの人たちが初盆参りに来てくれる。その対応もしなければならないし、お返しも準備しなければ…。盆には親戚も集まるよね?料理はど

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          定年教師の独り言 Vol.14 「伝えられなかった聖火リレー」

          いよいよパリオリンピックが開幕する。 知り合いが、ましてや自分が出るわけでもないのに、何だかソワソワしてしまう。時期だから、今回はオリンピックネタを…。  ドライブで立ち寄った造り酒屋の薄暗い土間に、一際輝く一角。TOKYO2020の桜ゴールドのトーチが、見事なケースに展示されていた。歴史を感じる古い蔵と、現代アート工芸品とが絶妙にマッチしている。 「私が走ったんですよ。」店主が笑顔で話してくださった。 実は…  トーチは我が家にもある。このお店とは違い手作りケースだ

          定年教師の独り言 Vol.14 「伝えられなかった聖火リレー」

          定年教師の独り言 vol.13 苦い思い出「実習担当」

           保育教諭3年目の娘のクラスに、2年連続で教育実習生が配属されているらしい。仕事のことを相談してくる子ではないので、「らしい」としか言えないのだが、このところ毎日寝落ちしているリビングのテーブルに、実習日誌があるから確定だ。娘は赤ペンで、なんとコメントしているのだろう…。  自分にも、何度か実習生を担当した経験がある。最初は20代の終わり。そしてそれは、少し苦い思い出として残っている。  結論から言えば、実習生に「城田先生の学級経営は納得いかない!」と言われてしまった。先

          定年教師の独り言 vol.13 苦い思い出「実習担当」

          定年教師の独り言 Vol.12「雨の日は雨の中を…」

           6月…。お天気アプリの週間予報に☂️が並ぶようになった。自分が暮らす地域でも、そろそろ梅雨入りが宣言されるだろう。どんよりとした空と気分がリンクしてしまう。  デイキャンパーとしても気の滅入る頃。出かけることが億劫になりがちだ。だが、今の自分なら、少々の雨であれば出かけない理由にならない。現役の頃、宿泊学習で自然の家の先生に教えてもらったことがきっかけだ。  そもそも学校行事(とりわけ屋外行事)は、天候に振り回される。その年の宿泊学習も曇天の中スタートしたが、いよいよメ

          定年教師の独り言 Vol.12「雨の日は雨の中を…」

          定年教師の独り言 Vol.11「教師辞めたら健診で…」

          身長 年代のほぼほぼ平均 体重 身長から割り出した標準体重とピッタリ一致 BMI   22.0 肥満度 0.0%   腹囲 75cm 定年から2年目に入った初老男の現在値  現在学校ではないところで働いているが、そこで職場健診があった。身長が少し縮んだことを除けばなかなかの理想体型…のはずなのだが、どうにも納得がいかない。内臓脂肪レベルが「やや過剰」と出るのだ。 我が家の体組成計でもそうだ。風呂上がりには毎日体組成計に乗り、自己管理をしてきた。その数値でも、内臓脂肪レベル

          定年教師の独り言 Vol.11「教師辞めたら健診で…」

          定年教師の独り言Vol.10 「教師のスーツは膝からヘタる」

           新しい年度、クラスがスタートした頃だ。桜の色合いや街の暖かさも相まって、やはり希望に満ちたワクワク感に包まれる。  毎年この時期に、何かと新調する先生も多いのではないだろうか。鞄、靴、スケジュール帳、文具類…様々あるだろうが、自分は、スーツを新調することが大好きだった。 変な習性とは思うのですが…  自分の場合、曜日によって着ていくスーツを決めていた。月曜日は、少し重い気持ちにハッパをかけるようにお気に入りの、金曜日は、週休前なので柄の入った華やかめの…といった具合に。

          定年教師の独り言Vol.10 「教師のスーツは膝からヘタる」

          定年教師の独り言Vol.9 「どこまで必要?子どもの監視」

          そもそも自分が時代遅れなのかも…  昭和の末に始まり、平成から令和に奉職していた元教師の感想です。そもそも時代遅れなのかもしれません。不快に思った方は読み飛ばしてください。 本題です  春休み最後の日。ベンチにいた親子。母親が小学校高学年くらいの男の子を置いてどこかへ。用事を済ませに行ったのか?男児はタブレットに夢中で気にも留めない様子だったが、傍にはスマホがスタンドにセットされていた。憶測だが、一人になった間の男児の様子を録画しているのか、あるいは離れたところからモニ

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          決行!お伊勢参り

          「雨か」…  3月末、妻の仕事終わりを待って夕刻に出発した。地元は快晴。しかし目的地の伊勢はこれから雨予報。我々夫婦は恐ろしく天気運が悪い。しかも、高速に乗ったと思ったら事故渋滞に巻き込まれる。新車の自動運転機能がなければ、とっくに気持ちが切れていたところだ。予定していたSAより随分手前で仮眠をとることにした。ここまで8時間。  4時間ほどうつらうつらしただろうか。車を叩く雨の音で目が覚めた。予報的中だ。早朝の薄暗さに加え、雨の幕が広がっている。不安はあるが、ナビの案内はあ

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          定年教師の独り言Vol.8 「ほんのちょっとだけ…」

           最後の勤務校から、卒業式の案内が届いた。当日、たまたま仕事が休みだったので、迷いはしたが出席することにした。およそ1年ぶりの学校だ。  玄関に入るなり、卒業生と遭遇した。「あっ城田先生やん!」声を上げた子は、去年まで関わり続けた子だ。授業に集中できず教室を抜け出してしまう。勝手に空き教室に入り込み、好き放題を繰り返していた子の一人だ。 「卒業おめでとう」そう声をかけると、「ありがとうございます!」と、返ってきた。その、子どもらしい素直な表情で、自分が学校を離れたのち、この

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          初恋はスクリーンの向こう

           テレビで、ドリフや欽ちゃんのコントに大笑いし、登校したらその話題でもちきりの時代、自分は映画にどハマり中。だから周りから少し浮いていた。きっかけは映画雑誌。当時「スクリーン」と「ロードショー」が2大書で、確か¥400ぐらいの値段だったが、当時の中学生には高価なものだった。大判の写真が満載で、外国の映画スターがキラキラした笑顔で微笑んでいる。トレーシーハイドのその笑顔に、単純に堕ちた。  彼女が出演する「小さな恋のメロディ」は、おそらく映画館で20回以上は観た。当時、客は入

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          お伊勢参り

          宗教にこだわりはないのですが  子どもの頃から、神社で遊ぶのが好きだった。ひんやりした境内。田舎の古い朽ちたような建物でも、何だか不思議な力が宿っているように思えた。  お寺や教会も大好きだ。複雑な装飾や、伝統の技法を目の当たりにすると、時間を忘れてしまう。建物の大小は関係ない。とにかく、オーラを感じるのだ。  家は仏教だが、自宅に神棚はあるし、お地蔵様も祀っている。自分自身はカトリック系高校、プロテスタント系大学に進学した。宗教にこだわりがあるわけではないが、それらが持つ

          定年教師の独り言 vol.7 「初めてのクレーム」の巻

           noteに出会って3ヶ月。書くのも楽しいが、やはり「読む」ことで刺激を受ける。学校から離れると宣言してnoteを始めたのに、気づけば「学校」「先生」などのkey wordで読んでしまっている。染みついたものはそうそう抜けないということか…。開き直って今回は、教師だった頃の思い出話を… これがクレームか…  紆余屈折あってようやく教師となった頃、2年続けて中学年を受け持った。その間、夢中で走っていたからか余裕がなく気づかなかっただけなのか、所謂「クレーム」を受けた自覚がな

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          定年教師の独り言vol.6 災害時に思う 「自分にできること」とは…

           自然災害から始まった2024。こんな時、自分に何ができるだろう…と考える。多くは考えているうちに時が経ち、結局何もできずじまいのことも多い。  数年前。近県で大水害が発生した。死者、行方不明者も出た大規模災害で、そこは2ヶ月後、勤務校の修学旅行予定先だった。修学旅行は実施できるのか、変更した方が良いのか…考えた末、土日を利用して、状況を確認に行くことにした。  災害から数日経った現地は、すでに道路が整備され、車の通行に支障はなかった。だが、街全体が土色をしている。ここが

          定年教師の独り言vol.6 災害時に思う 「自分にできること」とは…