お互いに敢えて布教してみた【七転八倒商会の比較企画②】
「⚪︎⚪︎が面白かった」「××見たんだけど」といった話は楽しいですよね。ただ、商会メンバーは普段見ている作品があまり被らない関係で、同じ作品の感想を言い合う機会は意外と少ないです。年齢を重ねる中でよく見る作品の傾向が分かってくるようになると、余計無理強いはしたくないという心理が生まれてきます。
このように
「▲▲が良かった」とは言っても「▲▲観てほしい!」は言わない
がなんとなく暗黙の了解のようになっている2人ですが、今回はあえて
「▲▲観てほしい!」を言う、そしてそれに積極的に乗っかり感想を書く
企画をやってみました。
緑チャのおすすめ『推理の星くん』
概要
こんにちは、黒チャです。年末年始に外出した際の移動時間で細々読み進めましたが、後半はほぼノンストップで読みました。7巻というボリューム感がちょうど良くてありがたい〜。
ストーリーのネタバレに関しては終盤の展開以外はなんとなく分かってしまう程度に書いてしまっているうえに、全く作品を読んでない人にとっては不親切な感想文かもしれないです、申し訳ない……。
①ライデン良過ぎ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
この漫画、おおまかに前後編でストーリーが変わるんですが個人的には後半から一気に持っていかれました。その要因が探偵犬のライデンです。彼は天才なので人間の言葉が分かるし簡単な日曜大工も出来ます、天才だからね。やっぱり探偵モノは凸凹コンビあってこそなんだなぁと改めて思わせてくれます。そもそも緑チャに勧められたときは犬の存在なんて聞かされてなかったです。
正直なところ前半に関しては特別入れ込んでいたキャラがいなかったので、ストーリー云々というより後述する“漫画の構成や作画”にひらすら感心していたのですが、後半はひたすらライデンが好き過ぎました。一人(一匹ですが)良いなって思えるキャラクターが居ると、途端にその作品の登場人物全員が大好きになるのあるあるじゃないですか? 後半というか終盤の展開も全体としてはハッピーなんですが、締めるところはちゃんと締めてるが故に切なくて良かったです。
月子ちゃんも最初は元気な子だな〜くらいの印象だったのですが、2巻くらいまでを読んだ辺りで緑チャに感想を伝えたところ「月子ちゃんに所長(鳴海亜樹子)味を感じるというか、所長に月子ちゃん味を感じてたんだろうなって思った」という話を聞いてからはより月子ちゃんも大好きになりました。
②作画における構成のケレン味
えてして少年漫画はその傾向が強いような気もするのですが、本当にトーンが少ない! 最低限の固有色とか回想シーンのフィルター程度にしか使われていないのでは?というくらい少ないです。そしてすごいのがちゃんとそれでいて画面が寂しいと言ったことは全くないのです。というか漫画として成立していながらも大きいコマなどは1イラスト作品のようなメリハリと強度があってビビります。絵が上手いと線と面でこんなに嵌る画が書けるんだ……と感激。今回は電子書籍(iPhone)で読んだのですが、見辛さを感じることがなかったことを思うと、見開きの絵もあまり多くはないのかもしれません。それであのインパクト! 「私の絵って〜線細くないし描き込みも多くないから〜画面持たないんだよね〜〜〜」なんてこと言いながら原稿していた過去の私に言おうと思います、それ甘えだよ。
写植の力も大きいように感じました。私の場合よほどのことがないと文字サイズは基本固定なんですが、やっぱりデフォルトでも3種類くらいの文字サイズあってもいいのかもしれないですね。
③若年層少年誌での連載という妙味
本筋の謎解きやストーリー展開はしっかりとしている一方で、フレーバー的な要素はきちんと少年漫画のイズムを感じるというバランスが面白いです。
・事件現場への潜入方法が至って原始的
・謎解きは天才的にできるけど勉強は得意じゃない星くん
・特に理由のない他人の空似
などの塩梅がいいです。犬が日曜大工したりするし。「読者のみんなもやってみよう!」みたいな体験型クイズコーナーを設け、連載月を跨いで設問編・解答編があるのも連載漫画らしさを感じました。
ちなみに、生粋のちゃおっ子&少年漫画はジャンプからといった幼少期だったので、実はちゃんとコロコロの掲載作品を読んだのは初めてでした(強いて言えばアニメでコロッケ!を見たような……)。
黒チャのおすすめ 『ファミレスを享受せよ』
概要
こんにちは。緑チャです。
まずは、ゲームほぼやらない人間でもクリアできました!やったー!!
どれくらいゲームやらないかというと、Switch(4年目)がいまだにフィットボクシング&リングフィット専用機器であることに特に何の不満も無いくらいです。興味が無いわけではないのですが、あまり続いた試しがないというか…。ソシャゲはちょっとやります。
ストーリーのネタバレはしないように感想を書いていきたいと思いますが、初見を楽しみたい方はぜひ先にプレイしてください……♪
①緑チャ、めちゃくちゃ没入してしまう
「『ファミレスを享受せよ』は、永遠のファミレス『ムーンパレス』に迷い込むアドベンチャーゲーム。なんとドリンクバーもあります。」
ムーンパレスの店内に電気照明は無さそうです。その代わりに、大きな窓からは常に月の光が差し込んでいます。「月夜」というには眩しすぎる、まるで夕方のあの強い西日がすべてを橙色に染め上げてしまうように、店の中は冴えざえとした金色の光で満ちています。
それほどに明るい月というものを、少なくとも緑チャは現実で体験したことがないのですが、不思議と想像できてしまうのです。どうやら永遠に近い時をドリンクバーと雑談で過ごすしかないらしい私たちが本来覚えるはずの、焼け付くような渇望も狂おしい悲しみも奇妙に鎮静し、眩さの中でゆっくりとアンニュイに変えてしまう、そんな月からの光線………………。
②二周目を噛み締める
脱出ゲームといえば、プレイヤーが一人で探索していくものだと思っていたのですが、閉じ込められた?店内には、すでに数名の先客がいました。みんな新入りの私に適度に優しい。彼らの身の上やムーンパレスについての情報を得ながら、ストーリーが進んでいきます。
このストーリー部分に関しては個人的には二周目が大変楽しかったです!
(一周目は詰まって攻略を見てしまったことに罪悪感を覚え、攻略を見たら見たでルート分岐の条件をまだらに満たしていて自分が何を達成したのかよくわからない焦りを抱えたままエンディングを迎えました。どうやらゲーム不精を拗らせていて、「ゲームを“ちゃんと”楽しまなきゃ……」という強迫観念があるようです)
個性豊かだけど皆一様に倦ねている先客たちと雑談しながら、彼ら自身の話なんかも聞きつつ脱出の方法を探るのですが、彼らの言動の裏にある事情や本来の世界観を知って読むと、一周目では気に止まらなかったちょっとした言動やシーンにも胸が詰まってしまいました。
特に大好きだったのが、途中で手に入るファミレスによくある例の本。あれ最高でした!あとから黒チャに聞いたところ詰まる人が多い箇所だそうですが、突然呈示された世界観に惹かれて近年稀に見る集中力を発揮、一周目に自力でクリアしていました。ミニゲーム的なもの?なのでクリアしなくても全体の進行に問題は無いらしいのですが……。
余裕をもってプレイできた二周目で、ただの魚や月に見えていた絵が本当に描いているものを理解したとき、やさしくて悲しくて、しばらく目を閉じて浸るしかなかった……という……。ちょっと好きすぎる。
終わりに
「年末年始だし、普段は見ないものも腰据えて鑑賞したいよね〜」といった理由でやってみた企画でした。推薦者側も一番熱量のあったタイミングからは少し間が空いているので「相手がハマってもハマらなくてもまあ……」と言った感じで、期待値のコントロールがしやすいのも心理的ハードルが下がって良かったのかもしれません。
同じ作品の感想を話せるってこんなに楽しいんだね!と盛り上がった年始のお酒の席でした。
LINEスタンプ販売中です!買ってね!
同人誌・グッズも販売中!買ってね!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?