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「没我」のススメ ~精神の健康と幸せに生きる為の奥義~

「没我」こそが精神の健康を保つ秘訣ではないか。暇は大敵?

精神科医の先生からこんなことを聞かれたことがあります。
「何か行きたいところとか、したいこととかないの~?」

はじめはその質問の意図が分かりませんでした。
というのも、私の症状はうつ病のような意欲の低下や気分の落ち込みでは無かったからです。
たしかにそういう病気/症状であれば、行きたいところやしたいことを見つけるなど「意欲的に過ごすことが大事」であろうとは想像できるのですが…。

しかし、後にその質問の意図が分かってきました。
それは療養生活が長くなり、ちょうど「暇」になってきた頃でした。
暇な時間が増えると、不安を感じることやネガティブな感情を頂くことが増えていきました。
はじめはその現象が暇が原因だとは気づきませんでした。

しかし様々なメンタルヘルス関連の書籍や言論を読み調べていくと、
暇が心の健康に良くない説を提唱しているケースが非常に多かったのです。

けど、これってどういう理屈なのでしょうか?

過去や未来という概念が不安やネガティブな感情を創り出す?
世界一幸せと言われる民族、ピダハン族のケースに学ぶ。

そもそも暇とは、「いま、目の前に集中したい/すべき/しなければならない/できることが無い状態で、心ここにあらず。」と定義させていただきます。
要は退屈だったり、仕事がなかったり、ボーっとしている状態です。

暇になると、いま目の前から意識が遠のきます。

暇じゃない時、例えば大事なプレゼン中や、クルマの運転をしている時や、映画のクライマックスを観ている時では目の前のことに自然と意識が集中しますよね。

「いま、目の前」から意識が遠のくと、人間は過去のことを思い出したり、未来のことを想像する時間が増えます。

「昨日のあれは失敗だったなぁ。」
「明日のプレゼン、うまくいくかなぁ。」

過去のことで思い出すのは後悔などだいたいネガティブなことです。
未来のことを想像すると不安を見つけたり、勝手に創り出すようになります。

このように暇になる(=「いま、目の前」から意識が遠のく)ことで不安やネガティブな感情が充満してしまうという理屈です。

ここでピダハン族というアマゾンで暮らす民族について触れます。
彼らには未来や過去といった概念が無いそうです。
つまり、「いま、目の前」しか存在しないのです。
そして、彼らは世界一しあわせな民族と呼ばれているようです。
(ピダハン族について詳しくは下記の記事に書いていましたので、ご興味あれば読んでみてください。)

ピダハン族の会話には過去と未来が存在しません

そもそもピダハン語の文法には、過去や未来の概念すらほぼ見られないというから驚きです。

そのため、彼らは特定の宗教を持たず、精霊や祖先の霊といった概念もなく、自らの成り立ちを説明する創世神話もありません。

おかげで明日のことをくよくよと悩まず、過去の失敗にとらわれもせず、ただ目の前の現在だけを楽しめるわけです。

出典元:新R25 鈴木祐著『無(最高の状態)』より

苦しみのメカニズムは「痛み×抵抗」。世界一幸せな部族に学ぶ、“心の痛み”から逃れる方法

ピダハン族の事例からも、未来や過去という概念が精神の健康に良くないという考えを補強できると思います。

ではどうするべきか?「没我」こそがカギ。
ゴルフをしていて気づいたこと。

じゃあどうすればいいのかというと、「没我」(忘我)が重要であると思うのです。

つまり、いま目の前のことに集中したり夢中になること。
我を忘れてしまうくらいに取り組むことです。

その瞬間、過去や未来は排除されます。

ある時、友人とゴルフの打ちっぱなしに行った時にこのことに実感を伴って気がつきました。

ゴルフでボールを打つ前、頭の中では「どこに気を付けてスイングしようか?」を考え、スイングが始まると身体に意識が向きます。スイング後はボールの軌道を目で追いかけて、「うまく打てた!とか、失敗した!」とかそんな感情になっています。

そうです!完全に「いまココ」に集中した「没我」の状態にあります。

ゴルフのスイング中に明日のことで不安になるのは難しいのです。
人間は基本的には一つのことに集中するほうが楽です。
複数のことを同時に考えることは難しいです。
いま流行りのマインドフルネスは、なにも難しい訓練などは必要無く、ゴルフなどで没我することでマインドフルネス状態を得られるのではないでしょうか。

没我するには、自分が熱中できることをすることが近道。

ここで冒頭の精神科医の先生の質問を思い出します。
「なにか行きたいところや、やりたいことは無いの?」

これはまさに熱中できることをやって、没我することで暇を排除し、精神の健康を保つ為の秘訣だったのだと判りました。

別にゴルフじゃなくてもいいので、熱中できることを見つけることをおススメします!

特に療養中って、暇になりがちなんですよね。。
いま療養中の方は、もちろんゆっくり休む期間も必要だと思いますが、ある程度健康を取り戻していった頃には、没我できることをぜひ見つけてみることをおススメします。

個人的には漫画とかもおススメです。
テレビとかyoutubeよりも読書の方が、読書よりも漫画の方が没我しやすいように思います。テレビって頭を使わずに眺めていることも多いので、あんまり没頭できないんですよね。。
読書は高度な集中力が必要だったりするので、一日中は続かないし・・・。
漫画はちょうどいい塩梅なので没我しやすいですよ。3~4時間は平気で没我できます。
僕はキングダムにドはまりしてそれこそ時間が経つのを忘れて読みふけっていました。

長くなりましたが、没我をうまく活用して、心の健康を保ちましょう!

(余談)没我はしあわせに生きるというテーマにも関連する深いテーマ・・・

いま、精神の健康という観点から没我について考えてみました。
しかしこれって結構深いテーマじゃないでしょうか。

VUCAという言葉があるように、未来って予想が難しいというのが基本的な見方です。

だから、そこを考えていたずらに不安になるのは幸せに生きることを目指すうえで得策ではないように思えます。

私自身、自分が精神疾患になる未来をまったく予想していませんでした。
むしろ発症当時、仕事は順調だった(と思う)わけですし・・・。

いままで気に留めたこともなかった近所の心療内科の門をくぐる日が来るなんてまったく思わなかった訳です。

一方、過去は過去でどうしたって変えることはできません。
もちろん過去の反省を活かす、過去の教訓から学ぶということは重要です。しかし起きてしまった事象そのものを変更することはアメリカの大統領でも、ノーベル賞を受賞した科学者でも、大富豪にだってできません。

という訳で、できることは今とほんの少しだけ先の未来の対策を立てることくらいです。

であるならば、今という瞬間に没我し、幸せを積み重ねるのが私たちにできる生き方なのかもしれません。。

とまぁ大それたことを書きましたがなかなか深く広範な領域に関連するテーマだと思うので今後も時折考えてみたい次第です。


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