学校の成績がすべてではない!幸せな人生を自分でつくる力を育てよう
他の子より優位に立たせるために早くから幼児教育をする、教育の先取りをする、このような発想の子育ては、決して優れた子どもを育てることになりません。
教育とは知識や技術を教えこむことではなく、子どもが本来持つ優れた才能や素質を引き出すためのものです。
親が子どもに残してあげなくてはならないもの……それは財産や学歴ではなく、自分の道を切り拓いていく知恵や能力を育てることではないでしょうか。そのためには、自分で考え、行動し、責任を果たすことができる、行動力と積極性を引き出せるような子育てを心がけましょう。すると、自ら努力し、あきらめずに粘り続けることができる子どもへと育っていくはずです。
●社会で活躍するのに必要なのは勉強だけ?!
日常生活において、学校や塾のテストで100点を取ることばかりを求めていないでしょうか。60点ではダメなのでしょうか。
まずは私たち親が100点を取ることが偉いのではなく、そのテストに取り組んだ努力を認めるという意識を持つようにしましょう。「頑張って取った60点は100点と同じ」と、その努力を評価してあげてください。
大切なのは、子どもの関心を努力に向けることです。もちろん、100点や1番を取ることがいけないというわけではありません。良い成績を取ることができたら、その努力を思いきり評価しましょう。
学校や塾の成績を良くするといういわゆる「学力」さえ伸ばすことができれば、子どもが将来活躍し幸せに生きられるというわけではありません。学校の成績は1番でも世の中に出た時、その力を生かせなかったという例はよくあるものです。
たとえば、学校での成績がとても良く、会社でも仕事をよく進められる人が部課長クラスになった時、とたんに落ち込むことがあります。事務処理能力は高いものの、人をどう使うか、新しい分野の仕事に進出すべきか、会社を大きくするためにどうすべきか、といったことを考える知力が乏しいため、大きなストレスを抱えてしまうのです。
これは、知能(いわゆる学力)はよく磨いていても、知力を磨いてこなかったことによります。知力は人生をよく生きる力です。身に付けた知識を学校や社会での日常生活で活用する力、他人の気持ちや立場に共感する力、自分をコントロールする力など、努力ともつながりがあるといえるでしょう。
●幸せな人生を切り拓くために必要な力とは?
アメリカの成功哲学で有名なA・L・ウィリアムズは、その著書の中で「あまり能力がなくても、立派な選手になりたいと一心に願っている人間の方が、後の人生で成功を収めている。必死に努力し、その中で成功に必要な価値観を学び取るからだ」と言っています。才能があり器用にこなすタイプの人は、あまり努力せずに成功を重ねているため、勝利に不可欠な挫折をしたとき、そこで努力し粘りぬく根性を身に付ける心の強さを保つのが難しくなるものです。
少しの失敗で挫折してしまう子どもは、勉強がよくできる子どもに多いといわれます。100点や完全であることを求められ、それを達成してきたため、失敗の経験がありません。ですから、些細な失敗に絶望し、努力を放棄してしまうのです。失敗しないことだけを目標にしてくると、結果として、失敗するようなことを初めからしようとしない自発性や創造性のない子どもに育つ危険があります。
将来社会や学校で活躍するために必要な力は、学力だけではありません。挫折した時、思い通りにいかなかった時に努力しようと踏ん張れる忍耐力や自ら行動する積極性などを育むことが、自分で人生を切り拓くために必要な力なのではないでしょうか。そのためには、学力を伸ばすことに躍起になりがちな親の意識改革から始めてみましょう。