退屈な時間も美しい - マカロニえんぴつ『青春と一瞬』
年を重ねるにつれ、支持するファンを地道に増やし続けるバンド、マカロニえんぴつ。私は正直「そこそこ売れつつあるバンド」という認識をして、ちょっと曲を聴いたことあるぐらいでしかなかった。そんな私の胸を撃ち抜いたのが『青春と一瞬』という一曲。この曲はマクドナルドのCMに起用されたのだが、そのCMもただメニューを紹介するだけでなく、青春のストーリーが描かれていてとても好きだ。
また、実力はミュージシャンが一発録りでのパフォーマンスを披露する「THE FIRST TAKE」が注目を集めているが、マカロニえんぴつのはっとりもこの曲で参加した。音楽番組でライブをしているのを一度観たことがあるが、音源からクオリティを下げることなく、さらに熱が入ったはっとりさんの歌声とバンドの演奏は、とても魅力的だった。「THE FIRST TAKE」でも、彼の持ち味を存分に発揮している。
CMのために書き下ろされた『青春と一瞬』では、何気ない日々が歌われる。高校生たちの日々とマックで過ごす時間がCMでは描かれる。高校生という時間は、振り返るとなぜあんなに輝いているのだろうか。
毎日、部活で汗を流し、大量の宿題に追われながら睡魔と闘いながら風のように過ぎ去った日々。特別なイベントとかなくても、充実していた毎日。というか、いくら時間があっても足りなくて、部活では怒られまくってズタズタになって、でも歩みが止まることはなかった。いつも周りには誰かがいて、笑い合って、他愛もないことを話した。そんな時間は、振り返ると本当に愛おしいし輝いている。
そんな、過ぎていく何気ない時間の尊さを、この曲は思い出させてくれる。退屈な時間だって、それは美しいのだと気づかせてくれる。とか書いていたら、鳥肌が立ってしまった(笑)。素敵だなあ。まっすぐなバンドのサウンド、下手に飾られているわけでもないし、ド派手なソロパートがあるわけでもないけど、体に染み渡る。これもまた心に触れる音楽、ありがとうマカえん。
今にいっぱいいっぱいになって見失うことがたくさんある。過去にこだわったり、未来に希望をいだいたりすることは、あまり価値のないことだ。でも、たまに過去を振り返ってみると、大切なことを思い出すことがある。そして、今の人生をよりよくしなきゃと思う。そういう瞬間が、もっと高く跳べる自分を作ってくれる。そういう瞬間を生み出してくれる音楽がある。
戻らない時、憂うことなくもっといい今を作っていこう。
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