人生を考えさせられた名盤 - DUSTCELL『SUMMIT』
透き通って時に生命力を感じる唯一無二の声を操るEMAさんと、ダークなサウンドも美しいサウンドも華麗にエレクトロニックに表現するMisumiさんからなるユニット、DUSTCELL。5月20日に1st Album『SUMMIT』をリリースした。このアルバムがすごい。
私は、DUSTCELLをアルバムのファーストナンバー『CULT』とYouTubeで出会ったことから知った。その時は「勢いのあるネット発のアーティスト」という認識だった。しかし、そのイメージを持ったことは余りに軽率であったと後に思った。
私がこのアルバムで特に気に入っているのが、この『ONE』と、ラストナンバーの『終点』だ。もちろんそのほかの曲も相当クオリティが高いのだが、この2曲に関しては、心にズドンと響いた。
私たちは生きていて、いつかは死ぬ。そんなことを言っても、まるで見当がつかない。しかしDUSTCELLは、そんな当たり前だけど実感が湧かなかったことを、いつかその時がくることを、改めて教えてくれた。そして、終わりが来ることを考えると、不思議な気持ちと恐怖が生まれ、なんとなく生きている自分自身を惨めに思った。音楽を聴いてこんな思いになったのは初めてだった。だから、このアルバムは自分にとって一生大事なものになると確信し、Spotifyで聴いているだけじゃ満足ならず円盤を購入した。
実際に円盤を買って、すぐにパソコンに落として、ウォークマンの超高音質で聴いた。やっぱりCD音源を手に入れて正解だった。Spotifyでは感じることのできなかった、Misumiさんの作る音の広がりと音の粒、EMAさんの息遣いと緊張感すら漂う発声に、心を揺さぶられた。
1曲目の『CULT』から『アネモネ』という流れは、直球勝負で来たなという印象だ。3曲目の『SOIREE』から9曲目の『LILAC』は、これが「DUSTCELLワールドか」と身をゆだねるようにしてその世界観に浸った。10曲目の『ONE』からラストの『終点』の3曲はとても重い。しかし、この重さが私がハッとさせられた「DUSTCELLの根底にあるもの」なのかもしれない。そして『終点』の最後の音が響いた後の余韻が、私がこれから生きる道をしっかり見つめ、歩むエネルギーに変わる。
ぜひ、手に取って聴いてほしい1枚だ。