「そう簡単には歪んだ考えから逃れられないかもしれないですよ」

東京地裁で、帰宅途中の専門学校生への強制わいせつ事件の傍聴をしたのですが、裁判長がなかなかの質問をしていました。何度も同じような質問を繰り返した最後に、呪いのようにつぶやいた内容でした。

河村宣信裁判長 あなたは、さきほどの被告人質問で、ナンパをしたら被害女性が話をしてくれたと言いました。

被告人 はい。

裁判長 話を応じてくれる女性にはわいせつ行為をしていいと考えたのですか?

被告人 そうは思っていません。

裁判長 では、ナンパをしたら話に応じてくれたことと、わいせつ行為とはどういう関係があるのか?

被告人 そのときはお酒を飲んで気が大きくなっていた。

裁判長 気が大きくなっていたというのはどういう意味ですか?

被告人 人と話をしたり、仲良くなりたいと思った。初めて会った女性での話しかけたくなる。

裁判長 なんで、わいせつ行為とお酒が関係するのか?

被告人 お酒を飲んでしてしまったこと。相手が嫌がっていたということに気がづけず、ちゃんとした判断ができなかった。

裁判長 お酒を飲んでいたら、わいせつ行為をしてもいいと?

被告人 相手がナンパに応じてくれたと思った。お酒を飲んでいたので、「わいせつ行為をしてもいいんだ」と思ってしまいました。

裁判長 そんな整理でいいのですか?

被告人 はい

裁判長 その考えをどうやって修正していくんですか?

被告人 やってはいけないことをしました。いま振り返れば、してはいけないことです。当時は物事を深く考えずにやってしまいました。

裁判長 歪んだ部分の認識は修正できた?

被告人 できました。

裁判長 そう簡単には歪んだ考えから逃れられないかもしれないですよ。

被告人 しっかり、修正していきます。

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