夜空の星を見ながら歯磨き
今日はようやく暑さが和らぎ、秋らしく涼しい風が吹いた。
夜になって寝支度の途中、歯を磨くあいだが暇だと思ったので、外へ出て星でも見ながら歯磨きをしようと思い立った。
物干し場に出て椅子を広げ、座る。
ひさしの下から見えるだけの広くない空にも、星が数え切れないほどたくさんあった。
星もそれぞれに大きさや光り方が異なる。
視力の限界も感じつつ目を凝らしていると、絞り出すように強く光ったと思ったら、すぐに弱まるのを何度も繰り返して点滅するように見える星があった。
その星が、ただひとりの人間には到底想像が及ばないくらい果てのない遠くの空から、消えそうになりながらも懸命に光っていると思うと、
「星になって消える」とか「死んで星になって」だとか、当然のように星になれると思って疑わないことの傲慢さに恥ずかしくなって笑ってしまった。
耳を澄ますといくつかの種類の虫の声も聞こえた。一体どれほどの数の虫が鳴いているのかわからないことに聴力の限界を感じながら、こちらが聞くことのできる範囲内でかつ、こちらに聞こえるくらいの質やボリュームで鳴く虫、というだけでも、数はもちろん把握できない程たくさんいるんだとハッとした。
ありとあらゆるところに、ほんとうにたくさんの命がある。このあまたの命あるものが、死んだら同じだけ星になれるという気は全くしない。
星だって全て見たわけでもなければ見きれるわけもないのだが!(星こそ数え切れないほどたくさんあるのだろうけど)
ともかく、「星になる」というのはとても難しいことなのではないかと思うのだ。
仮になれたとしても、点滅を繰り返すあの星のように、光を、絞り出してでも発するぞと頑張り続けなければ、光って星として誰かの目に映ることもないかもしれない。
と、こんなことを考えていたらうとうと眠くなってきて、完全に寝支度が整いました。
たくさんの命と一緒におやすみなさい。
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