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再会
キッチン下収納の奥を掃除していたら見慣れない古い木箱が出てきた。
開けてみたら包丁とカービングフォークが入ってた。
調べたらクッソ高いブランドのナイフセットだった。
当然買ったおぼえなんかない。なにこれ怖い。
と思って数瞬の後、かすかな記憶の緒からするすると出てきた出来事。
これアレだ、20年くらい前に出向してたゲーム会社のクリスマスパーティのビンゴでもらったやつ。提供は当時のプロデューサーからで「買ったけど、俺、料理しないんだよね」という理由だった。
そして当時は私自身も今ほど台所に立つ習慣がなく、そのまま箱に入れっぱなしで巣鴨の薄暗い部屋で眠り、そして北千住での生活中も一度も日の目を見ることなく、なぜか今日、千歳船橋で目覚めた。
箱は内外だいぶ傷んでいるものの、本体は新品に近いらしく、切れ味抜群。貼りっぱなしの品質保証シールをきれいに剥がすのに苦労した。
長い長い時間を経ての思いがけない再会だった。
今なら存分に振るってやれる。さあ何を作ろうかな、思うと当時に、あれから20年も経つのかと、みるみる当時の仕事仲間の顔や一緒に過ごした思い出が蘇り、これから新しく思い出を作るであろう古びた刀身を照らした。