「なるには」が上手くいっても、そのあとが本番だから
溺れる者は藁をもつかむ、なのか、単純に根気がないのか、焦っているのか、とにかく
「こうしたら～になれる」
「この〇〇が人事にウケる」
のようなものが大人気。
就活生はもちろんのこと、そこそこの大人でもこの手の「なるには」の情報に飛びついている様子を見聞きする。危ういなあと心配している。
まあ、世の中の商売ってやつは、人の不安に付け込むように出来ているので、いたしかたない、のだろうけど、ちょっと落ち着いてねって思う。
ただね、少なくとも私や私の信頼する同業者は皆「入っちゃえばおしまい」とは思っていない。まあ言い古された話でいうと「結婚はゴールじゃない。スタートだ」ってやつよね。そこから始まるのだから。
たとえば、狭き門の仕事を目指す人がいる。
その仕事にどうしてもつきたい、ということでいろいろ情報を集める。狭き門の仕事だからこそ、その手の「なるには」が玉石混交にはびこっている。それに合わせて書類を作り、自己PRを作り暗記する。ウケると言われる服装や髪形を調べる。そのあたりになるともう、「それUFOを見たって話？」くらいに真偽のほどが怪しいものもある。でも当人は「念のため」すべてを抑えようとする。ただ、話を聞いているとその仕事に当然求められる要素には、その当人の望む働き方とギャップがあるものもある。いや…向いてないんじゃないの？と思うことも出てくる。でも「なるには」に合わせて自分を構築していると、それが見えなくなる。中の自分じゃなく、外の基準のほうが正義ってなってしまう。
そんな風に狭い門をこじ開けて入ったあとに、全然思っていたように働けない、楽しくない、つらい…ってなったら、本当につらい。でも少なくない。
そこまででなくとも、こういうことはある。
門を開ける、そこに入る、が目的になってしまうとか、目先の苦しさを解消するための「裏技」みたいなものを取りに行くとか、相手先になんとしても合わせようとするとか…
それって、ひとめぼれした相手を振り向かせ引き留めるために、本当の自分の好みじゃない服装をして貢いでる、みたいな行動だけど。そりゃ長続きは無理だよね。
そう考えると、企業研究をしてみて「あちゃー、ハードル高いな」と思ったり、「好きだけどかなり振り向かせるには無理があるな」と思ったらそこで「ここじゃないのかもな」って考えてみるのもありだよ。
その「相手の好みに寄せていく」だけが自分の人生（キャリア）を充実させる方法ではないから。あなたの譲れないもの、あなたの自然に発揮できることがその環境に置いてしっくりくるか、のほうが、重要だよ。
もちろん言うまでもないけど、今の自分を1ミリも無理させない、って話じゃなくてね（今の自分で100％マッチする環境を探すのも、これまた迷子になる要因だからさ）。
過剰な無理をして居させてもらう、みたいなことではなく、でも、縁があってそこにいるのなら（誘われたのなら）、そこで頑張ってみる。そうしたいと思える場所に行く。
…ということはそれこそ「長い人生の中で自分と仕事のイイ関係を築くこと」なんだよね。
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